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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《新約 52》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【『ルシスの禁忌』とは (レスタルム~カエムの港)】

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【『ルシスの禁忌』とは (レスタルム~カエムの港)】
 今回のアーデンとエイラの旅に同行する二人の青年は、アーデン一行が最初に立ち寄る事になった集落の者達・・・つまり「一番長い付き合いの、東の大陸の者」で。故に従者達からの信頼も厚く、島での組織化にあたっては「臣下」に取り立てられ。その信頼関係を件の男に見込まれ、今回の旅での「伝令役」兼「見守り役」にも選ばれた。
 そんな責任重大な役目を任された二人だったけれど・・・。

 今日のアーデンは、町の憩いの場でもある広場で日光浴・・・している所に、声を掛けて来る老若男女に気さくに応じ。
 彼の相棒・黒チョコボは、広場に遊びに来た子供達と一緒になって、踊ったり走ったりと大はしゃぎで。
 エイラはと言うと少し離れた場所から、そんな幸せを絵に描いたような広場の様子を、世話になっている一階で酒場を営む傍ら、二階を宿として提供している主人と話しながら眺め。
 ・・・ているのを、広場の端に設置されたベンチを男二人で占拠し、食事をして潰すには長過ぎる時間を、本を読んだり日用品の手入れをしたりしながら、かれこれ一時間ほど眺めている状況で、
「なぁ・・・オレたち、
 こんなのんびりしててイイのか?」
「俺達の役目は、有事の際の伝令役だ。
 平和なのは良い事だ・・・と、
 そう思っていればイイだろう。」
「・・・なるほどな。」
 これは役割を疎かにしている訳では無く、そう命じられているのだから正当な言い分で。付いて来たは良いが、下手すれば一日の最初と最後の挨拶しか交わさないような状況なのも「平和なのは良い事だ」・・・職務怠慢などと責められる謂れは無い。

 それに、まぁ・・・何と言うか・・・・・・。

 まだアーデン一行の旅(=往路)に同行していた・・・正確には、彼らの後を許可を得て追従していた頃。その頃はまだコミュニティーとしては小規模で、アーデンや従者達との距離感も近く、直接会話をする機会も多かったので。ずっと気になっていた疑問を、共に作業していた従者に問うてみた事があった。
「アーデン様とエイラ様は、
 恋人同士・・・では無いのですか?」
 下世話な好奇心では無く、純粋に疑問に思っていたから。強固なのは間違い無い筈の二人の関係性と、周囲の二人に対する姿勢・・・なのに何処か歪にズレている様な違和感。
 するといつも重厚な雰囲気を崩さない従者が目を丸くし、仕切り直す様な咳払いすると、
「いや、お二人は神の魂で繋がる兄妹。
 その様な関係では無い。」
 気を悪くした風でも無かったけれど・・・ソルハイムの信仰を知り得ぬ自分には、説明しても理解出来ないと判断されたのだろう。寡黙でもある彼は、それ以上の言葉を足す事は無かった。
 が・・・彼らは信仰に基づき「神の魂で繋がる兄妹」で、納得出来るとしても。
 傍目に明らかなエイラの好意を「神の魂で繋がる兄妹」で片付け・・・誰もがそうであると信じて疑わなくても。
 信仰に縛られない青年から見れば「その様な関係では無い」と断言されても「その様な関係では無い」など信じられなかった、納得出来なかった「本当にそうなのか?」「本当にそれで良いのか?」と。

 本当は、エイラ自身に聞いてみたかった。
 本当に貴女の想いを「神の魂で繋がる兄妹」で片付けても良いのか、と。

 でも、聞いたところで・・・だ。
 日の浅い自分が聞いたところで、どうなる事でもないだろう。
 どうする事も出来ないからこそ、彼女は気丈に振舞っているのだろうから。

 だから・・・だからこそ。
「折角の二人旅だ。
 今くらい、好きにさせて差し上げろ。」
「・・・分かってるさ。
 オレだって人の恋路を邪魔して、
 チョコボに蹴られたくはねぇからな。」
 今だけでも、彼女の本当の想いが伝われば良いと思う。
 ほんの僅かでも、彼女が彼を愛した「想い出・記憶」が、この世界に残れば良いと思う。

 でなければ、余りに救われないと・・・思うから。

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 夢島から東の大陸に戻り。ソルハイムへ戻る為、西へとチョコボを走らせて来たアーデン達は、ラバティオ火山麓のレスタルムという街に立ち寄った。

 このレスタルムという街は、ラバティオ火山の麓という立地からも分かる様に。かつてソルハイム王国を発った同胞達が、自分達の主神・炎神イフリートが住まう地として崇め・・・その信仰から「新天地開拓始まりの地」として、多くの人々が居付いた土地で。
 嘗てソルハイム本国と、東の大陸の交流が盛んだった頃には、此処より南に位置するカエムの港が受入港となっていた事もあり、多くの人々に活動拠点として利用され。その様な本国からやって来た人々を相手にした観光産業など様々な商売が繁盛し。
 多くの人々が集まり交流が盛んになる事で情報が集まり、情報の共有からコミュニティーや専門的な組合(=ギルド)が生まれ。
 数あるギルドの中でも最もレスタルムを豊かにしたのが、ラバティオ火山の熱源や鉱石を利用した優れた製鉄技術、それに携わる者達、それらを支える者達で。
 このレスタルムという街は、そのような過程と共に発展してきた街だった。なので・・・、

「いや~、大昔は大陸一の街だったらしいが。
 火山の大噴火以降はサッパリさ。」
「でも大噴火なんて、何百年も昔でしょ?
 それなのに、まだ復興出来ないモノなの?」
「何せ、人が集まる事で栄えて来た街だ。
 人が集まらん事にゃ、どうにもな・・・・・・。」
 悪神に堕とされ存在すら忘れ去られた炎神イフリートに縋る者など居らず、ソルハイム本国との交流を経った事で人の流れは途切れ、ラバティオ火山が大噴火を起こした・・・火山の恐ろしさを知った事で、レスタルムを支えていた製鉄技術・主要産業は衰退してしまった。
 そうなれば人の流入は途絶え、観光産業が立ち行かなくなるのも当然で。
 主要産業も観光産業も衰退の一途を辿る街では生活していけない、と・・・街を去る住人達を引き留める事も出来ず。
「今じゃ、もっと北の方に人が集まっててね。
 後、数世代もすりゃ、
 そっちのがデカい街になるんじゃねぇか・・・ってさ。」
 酒場では、そんな話ばっかりだよ・・・と。その酒場の主人は、冗談めかして笑い飛ばしながらも、隠し切れない寂しさを滲ませていた。
 勿論、この酒場の主人だって、親や祖父母と言った先人から「大昔は大陸一の街だったらしい」と言い聞かされて来たから、こうして「大昔は大陸一の街だったらしい」と言っているだけで。レスタルムが「大陸一の街」だった頃を知っている訳では無い。大噴火の影響で、資料だって碌に残っていない・・・残されなかったのだから。

 それでも・・・自分自身、懐かしむ「想い出・記憶」を、持っていなくても。

「もう一度、取り戻したいって思うんだ。
 大陸一の街・・・賑わいってヤツをさ。
 その為にゃ、俺達がココで踏ん張らねぇとな!」

 例え、街が廃れ行くのが自分達のせいでは無くても。
 時代や、情勢・・・その他、自分達ではどうしようもない様々な事柄が原因だとしても。
 それを理由に、諦めたくはなかった。
 自分達が諦めてしまったら、この街が「大陸一の街だった」事も、皆の記憶から忘れ去られてしまうだろう。
 それだけは、それだけは・・・、

「でなきゃ、悔しいじゃねぇか?
 俺達の時代で終わり・・・、
 ご先祖様達が頑張って来た事も、
 この街がたくさんの人に愛されてきた事も、
 遠い未来じゃ、全部全部無かった事になっちまうなんてさ。」
 道を違える事になったけれど。新たな土地に根付いたソルハイムの同胞達の・・・子々孫々、脈々と受け継がれてきた愛郷心を垣間見た様で、
「この街を、愛していらっしゃるのですね・・・。」
 だとしても、いざ面と向かって言われると気恥ずかしいらしく。
「ま、他に居場所もねぇってのも有るけどな・・・って。
 あ~、そうじゃなくて・・・何の話してたっけな?」
「お部屋、長い間お世話になってしまって、
 大丈夫かしら、と。」
「あぁぁ、そうそう!
 そんなもんで、宿屋の客なんかからっきしでさ。
 二週間でも一カ月でも、好きなだけ泊って行ってくれよ!
 それにさ・・・、」
 照れ隠しの様に話題を変えると、子供達とじゃれ合う黒チョコボに視線を移し。
 その視線に気付いた・・・というか。酒場の主人がゴソゴソと麻袋を漁っているのを目敏く見付け駆け寄って来た黒チョコボの頭を撫で、
「アンタらのチョコボが客寄せしてくれるんで、
 ウチの屋台は大盛況の大助かりさ。
 なぁ、お前。
 ウチの看板娘・・・じゃなくて、看板チョコボにならないか?」
 酒場の主人は、珍しい上に愛嬌の有る黒チョコボ目当てに人が集まるのを「酒場なんてのは夜しか回らないから、昼に稼ぎ場が出来て有難い」ビジネスチャンスと捉え、その傍らで軽食を取り扱う屋台を出していた。昼は屋台、夜は酒場・・・なかなかに商魂逞しい。
 そんな本気とも冗談とも聞こえる酒場の主人の言葉に、差し出されたギザールの野菜を機嫌良く啄んでいた黒チョコボは、
「・・・クエッ?クエ~ッ!」
 大きな翼をバサバサ足を踏み踏みしながら「そんなのトンデモナイ!」と、言わんばかりに後ずさった。

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 アーデン達がレスタルムに到着したのが、かれこれ一週間前。
 ここから先は、この街から南下しカエムの港へ向かい。
 そこから海を渡り、ソルハイム王国のある西の大陸を横断・・・となるので。
 何時か必要になるかもしれない・・・と、灯台を守り続けてくれた灯台守の一族が、ひっそり暮らすカエムの港での物資の補充は難しく。
 また海を渡った西の大陸の受入港も、普段は立地上孤立している集落だけに生活に余裕など無い。勿論、アーデンの頼みとなれば、彼らは自分達の貯えを差し出す事も厭わないだろうけど・・・だからこそ、彼らに負担を強いるような事はしたくない。
 なので一行はこのレスタルムで、船旅~ソルハイム王国の道中で寄るつもりの「炎神の祭壇」・・・剣神の一族が守る集落までの必要物資を買い揃え。それら準備が整い次第、カエムの港へと向かうつもりだった。

 筈なのに・・・急ぐ旅で、何故彼らが一週間も街に滞在していたのかというと。それはアーデンの体調を気遣う、エイラの提案だった。
 とは言え、アーデン自身に自覚症状がある訳では無く。体調を心配するエイラに対し、彼自身は「別に普段と変わらないけど?」と首を傾げる。
 実際の所、傍から見て咳き込んだり、眩暈を起こしたりという症状も見られず、発熱や頭痛を訴えるでも無いので。エイラ自身も「何故、アーデンの体調が優れないと思うのか?」と言われれば、明確な答えは返せない。
 ただ・・・ずっと傍に居たエイラから見て「どこか具合が悪いのでは?」と感じる。そうとしか答えようが無い。自分でも言葉にできない、それは微かな違和感。
 さて、どうしたものか・・・そうは言われても、アーデンとしては全く自覚が無いので「心配いらないよ」と、エイラの提案を見送る事も出来た。何せ先を急ぐ旅でもある。悪天候など船の都合で足止めを食らうならまだしも、身に覚えのない自身の不調で・・・と言うのは、どうにも時間が勿体無いと思ってしまう。だから、
「自分の身体の事なら、自分が一番分かってるよ。
 私の事なら心配無いから。先を急ごう。」
「でも・・・・・・、」
 アーデンに対し、対等に意見を言えるのは「対の娘」であるエイラの特権と言えた。
 でもそれは「対等に意見を言える」のであって、決定権はアーデンにある。それは揺るぎ無い事で、エイラ自身も弁えている。彼の決定を無視して自分の意思を通す、そんな事は出来ないとも。
 だからアーデンがエイラの説得に応じず、その提案を見送るのなら、エイラであってもどうしようもない。それがソルハイムの信仰に基づく仕来りだから・・・そう納得しようとしたその時、

「・・・お言葉ですが、」
 普段は従順で余計な口など挟んだ事が無かった臣下の青年の、控えめながらも芯の通った声が場の流れに変化を齎した。その場に居たアーデンとエイラ、そしてもう一人の臣下の青年の視線を受け。続きを促す沈黙に、一息吐いてから口を開く。
「自分では気付けない・・・、
 他者でなければ気付けない違和感も有るかと思います。
 特にエイラ様は、長年アーデン様の傍に居られた方。
 その方が違和感を覚えると言われるのなら、
 その感覚は軽視出来ないモノかと。」
 幼い頃の記憶・・・熱を出して寝込む自分に掛けられた「お母さんが貴方の事、ちゃんと見てくれてて良かったね」「母親が我が子に覚える違和感は、医者の目より鋭いのよ」という、医者の助手を務める女性の言葉が、幼い自分には理解出来なかった「僕はシンドイのに、なんで?全然良くないよ?」と。
 その言葉の意味が分かるようになったのは、ずっと後・・・。
 元々辺境の集落故に、医療が発達していなかった事も原因だろうけど。常に子供を見ている母親の目・感覚は、それを生業とする医者よりも鋭く、その感覚を馬鹿にしてはいけない・・・その感覚が我が子の命を救う事もあるのだ、と。そういう事だったのだろう。
 多分「お母さんが貴方の事、ちゃんと見てくれてて良かったね」・・・そうでなければ、自分はもっとヒドイ事になっていた。もしかしたら大病を患い、命を落としていたかもしれない。
 だからこそ・・・その気付きが、命を救う事になるのかもしれない。
 命だけでなはい。何に対しても、事態の悪化を未然に防ぐ事が出来るかもしれない。
 そう思えば、僅かな違いも見落としたくなかった、違和感を「ただの気のせいだ」と見過ごしたくなかった。
 彼自身、そう思って生きて来たから。エイラがアーデンに覚える違和感を「ただの気のせい」と、やり過ごす事など出来なかった。

 そこに、もう一人の青年が助け舟を出す。
「それにここから先は、
 何かあっても助けも呼べない旅。
 ここで体調を万全にしてからってのは、
 理に適ってると思う・・・って、思います。」
 慣れない敬語に四苦八苦しながらも、ここでの滞在に一票を投じる。
 実際ここから先は、カエムの港から海上に出てしまえば勿論、西の大陸に着いて以降も「炎神の祭壇」までは人気も疎らな土地が続く。その様な旅路では何かあっても・・・アーデンが病に倒れても、助けを期待する事など出来ない。確かに自分達は「伝令役」では有るけど、伝令を伝える相手が居ないのでは意味が無いのだから。
「それにソルハイムってのは、此処より随分寒いんだろ?
 だったらチョコボ達も、
 此処らでゆっくり休ませてやりたいし・・・。」
 付け足すように呟いた発言は、独り言・・・という態で敬語を使う事を諦めたようだった。元より「堅苦しいのは苦手だ」とアーデンの方から言われているのだから、気持ちの問題で一応敬語らしい言葉遣いを心掛けているだけで、これを不敬だと責められる事は無い。
 後、チョコボに関して言えば・・・チョコボは適応力に優れた生き物だという事だし、そのフカフカの羽毛を見ても、寒さには耐性があるように思える。が・・・あの島から出た事が無いこの子達にすれば、経験した事が無い寒さになるだろう。その様な寒さの中、どこまで耐えてくれるかは未知数と言えた。

 なるほど、そういう事であるなら・・・皆の体調を万全に整える為、少し長めの滞在も必要だろう。
 自覚も無い「自分の体調不良の為」に、休息が必要だとは思えなかったけれど。
 皆の為であるなら、皆が必要とするのなら・・・休養が必要だと、それも必要な時間なのだとアーデンも納得出来た。

 そのような経緯を経て「ここから先の旅の為、一週間の休養を目的とした滞在」を、アーデンは決定とした。
 だからこそアーデンは、町の憩いの場でもある広場で日光浴に勤しんでいたし。
 黒チョコボは休息・・・ではなく、しばらく遊べなくなるので子供達とはしゃぎまくり。
 エイラはアーデンを遠く見詰めながら、その日その日で何気無い世間話に花を咲かせていた。

 そう・・・これが一週間前の出来事で。
 今日がその一週間が終わる日・・・今日の夜には、今後の予定を決めなければならなかった。

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「さて・・・今日で、
 一週間の休養が終わった訳だけれど。
 皆の体調は、どうだろうか?」
 問題が無ければ、三日後には出発したいから。明日から早速物資の補充をお願いしようと思うんだけど・・・と、元はと言えばアーデンの体調を思っての休養だった筈だけれど。相変わらず彼の中では、自分の事など二の次らしい。若しくは端から、自分の事など考慮していないのか。
 一番気に掛けて欲しいのは自分の・・・アーデン自身の体調なのに。
 一週間前のエイラの指摘に「別に普段と変わらないけど?」と首を傾げていた位なので。
 休養後にそれを再確認したところで「別に普段と変わらないけど?」としか答えないだろう。元より「具合が悪い」という自覚が無いのだから「良くなった」と思える筈もない。それが分かっていても・・・、
「貴方の体調は、どうなの?」
「別に普段と変わらないけど?」
 聞かない訳にはいかなかった。だってエイラから見て、とても「良くなった」とは思えなかったから。

 相変わらず、違和感は消えない。
 でもこれ以上、此処での滞在を延ばす事も出来ないだろう。

 この街に滞在して一週間。アーデンの人柄が人を引き寄せるのか、広場で寛いでいても声を掛けて来る人々が日に日に増え。個々への対応はほんの数分程度だとしても、あれだけの人数を相手にしていては、とても休養とは言えない・・・と、離れた所から見ていたエイラは思っていたし。
 これより先。ソルハイム王国領・西の大陸は冬の時期を迎える。
 勿論、西の大陸でも多少の寒暖の差はあるけれど。年間通して雪と氷に覆われている地域の冬ともなれば、それはとても旅など続けられるものでは無く。
 冬が去るのを待つしかない・・・そんな旅の途中での立ち往生を避ける為にも、出来るだけ早くソルハイム王国領に渡り、冬が来る前に大陸を駆け抜ける必要があった。
 なので、この違和感が無くなるまで、この街に二週間も一カ月も滞在・・・という訳にはいかない。

 相変わらず、違和感は消えない。
 でもこれ以上、此処での滞在を延ばす事も出来ないだろう。
「・・・なら、良かった。
 じゃあ出発は三日後、宿の方にもそう伝えておくわ。
 旅の物資の補充も、それまでに済ませましょう。」
 何よりこれ以上、彼の決断を先延ばしに出来ない事も分かっている。
 だってアーデンは、迎えを待つソルハイムの民らの為にも、立ち止まる事など出来ないのだから。

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「おぉ、アーデン様、エイラ様。
 ご無事で、何よりです・・・!」
 あれから三日後。
 カエムの港でアーデン一行を迎え入れた老紳士は、従者達「王剣の一族」の者達が同行していないのに不安な顔をしたものの。主の「彼らは新たな土地で、力を尽くしてもらっている」という言葉に胸を撫で下ろした。
 彼らが無事で良かったという想いと、彼ら無しで主が無事辿り着けて本当に良かった・・・と、いう二重の意味で。

 嘗て、西の大陸と東の大陸の交流が盛んだった頃。このカエムの港は両大陸を繋ぐ、重要な交通施設として重宝されていた。
 しかし交流が絶たれ、ラバティオ火山の大噴火に見舞われる中・・・明確に西の大陸への渡航が禁止された訳では無かったけれど。炎神イフリートに対する敵愾心が世の中に満ち溢れる中、それを主神と崇めるソルハイム王国領に赴こうというモノ好きなどおらず。海の安全を見守り続けた灯台を残したまま、カエムの港は受入港としての役割を失っていった。
 が・・・表立って行き来する事は無くとも、何かしらの事情から渡航を望む者が居て。
 そういった者達の為にも、この港を廃港にする訳にはいかないと。
 袂を分かつてしまった両大陸の橋渡しになれるならと・・・この港を守り続けようと残ってくれた者達が居て。
 今回の旅でアーデン一行が東の大陸へと渡って来られたのも、彼らが一行を迎え入れ、此方の大陸での情報や情勢を教え、通貨の両替も手配してくれた・・・方々尽力してくれたおかげであって。もしこのカエムの港が機能していなければ、彼という協力者が居なければ、アーデン達の旅はより困難なモノとなっていただろう。
 この様な寂れた土地で、何時必要になるかも分からない・・・必要とされるかも分からない灯台を先祖代々守り続けるなど、並大抵の事では無かっただろうに。
「その忠心と献身に、感謝してもしきれない。
 この旅の成果を持ち帰る事が出来るのは、
 貴方方一族のおかげだ・・・有難う。」
「・・・勿体無いお言葉です。
 まさか私も王を・・・アーデン様を、
 お迎えする事が出来るとは思っておりませんでした。」
「きっと、我らの想いが報われたと、
 墓に眠る先達も喜んでおりましょう・・・。」
 ひっそりと佇む墓石へと向けられる視線は誇らしげで・・・このような人里離れた土地に隠れて尚、彼の所作からは「主に仕える忠臣」に通ずる教養や気質が窺い知れた。きっと自分達の使命と共に、脈々と継承されてきたのだろう。
 しかし、まだ幼い孫はそうもいかないようで。
「俺も、この港を守ってみせます!
 だから安心して下さい、王様!!」
「これ、アーデン様になんという口を・・・。」
「いや、構わないよ。
 頼もしい事だ、期待しているよ。」
 老紳士は孫の不躾を詫びるが・・・この年頃にして、一族の使命を心得ているのだから大したものだと思う。
 その継承されし想いが、使命が、役割が・・・この少年の重荷とならぬよう。
「全てのソルハイムの民が、心安らかで居られるように。
 ・・・私も頑張るよ。」
 大きな手で、少年の頭を優しく撫でる。
 その指に、光輝く指輪は無くとも・・・彼のアーデンとしての在り方は変わらない。
 いつだって彼は「ソルハイムの同胞の為」にと、当たり前に自身の全てを捧げて来た。
 だってそれが、ソルハイムの初代王より継承されし「アーデン」としての使命だったから。
 彼がそれを疑問に思う事なんて、一度たりとも、無かった。

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【補足(追記)】
 ブログの趣旨としては「想像したままにお任せ」の方が、オモシロイかなと思うのですが。
 やはり「明確に事実と違う事を勘違い」させてしまうと、話をややこしくしてしまうので。一応、補足しておきます。

 今回の話の中に出て来る「レスタルム」というのは、嘗て主要都市として栄えていた「レスタルム」・・・つまり【FF15】での「オールドレスタ」であって「レスタルム」ではありません。
 だから「ラバティオ火山の麓」に位置していて、ラバティオ火山の大噴火により一番の被害を受け衰退して行った。
 で「今じゃ、もっと北の方に人が集まっててね。後、数世代もすりゃ、そっちのがデカい街になるんじゃねぇか・・・ってさ。」と、言われていたのが【FF15】での「レスタルム」になります。

 因みに、この辺りの話が発展して。
 嘗てはカエムの港から近いレスタルム(現:オールドレスタ)が主要都市として発展していた為、そこから東方面へと人が流れ街道が出来た=カーテスの大皿の南側に街道が敷かれた。
 けど、ラバティオ火山の大噴火以降はレスタルム(現:オールドレスタ)が衰退。もっと北まで進んだ土地(現:レスタルム)に人が集まり主要都市となったので。そこから新たに東方向に人が流れ街道が出来た=カーテスの大皿の北側に街道が敷かれた。

 ・・・という風に見ています。
 まぁ、実際にゲームしていないので。ホントのトコ、どっちが寂れてるとか賑わってるとか、道が古そう新しそう・・・ってのは分からないんですけど。イメージの話。

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