落書き帳の10ページ目
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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《新約 50》
- 2025/09/24 (Wed) |
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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
【『ルシスの禁忌』とは (旅立つ者達~託される者)】
《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
【『ルシスの禁忌』とは (旅立つ者達~託される者)】
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【『ルシスの禁忌』とは (旅立つ者達~託される者)】
アーデンとエイラの旅立ちの日。島で生活している人数に対して、二人を見送る者の数は多くは無かった。
常に共に有ったと言っても過言では無い従者達にとっては、今までに経験した事が無い長い別れとなる。しかも色々と心配事だらけで、とても「どうぞ、お気を付けて」と、笑顔と期待で送り出せるような心境では無い。本心を言えば、今からだって中止にしてもらいたいところだった。
また、東の大陸に渡ってからの協力者・・・従者達の信用を得て「臣下」という立場に取り上げられていた者達も、従者達とは若干異なる理由で不安顔だった。
そう言った者達は旅の序盤・・・東の大陸に渡って間もなくの、アーデン一行に付いてくる同行者達がまだ少ない段階から付いて来た者達だったので。同じ集落~近い地域の者同士で価値観や生活様式が似通っており、ここまで大所帯になった同行者達を取り纏めて来た働きからも分かる通り、彼ら同士の結束は強かった。
が・・・彼らの結束の要にあったのは、言うまでも無くアーデンで。
旅の後半になって、訳も分からず雪だるま式に増えて行った者達とは違い、彼らはアーデンに助力を乞い、それに対して恩義を感じ、だからこそここまで一行に尽くして来た。ちゃんとアーデンの旅の意味を理解していた。
だからこそ・・・今まで「絶対」と信じて尽くしてきたアーデンが居なくなる事に、不安を感じずにはいられなかった。アーデン不在でも、互いの関係が当たり前に構築され揺らぐ事の無い従者達・・・王剣の一族の者達とは違って。同じ志が持てたのは「アーデンが居るからこそ」だった臣下達は、そこまで「アーデン以外」の従者達の事情・関係に詳しくは無いのだから。
それに、彼らの眉間の皺が消えない理由がもう一つ。
旅外套を羽織ったアーデンとエイラの後ろには、件の男が手配した同行者が二名控えていた。
因みに、男がアーデンが旅立つ事を知っていたのは、裏切り者による密告では無く。彼は「次からの会合には、彼に声を掛けるように」と、アーデンとエイラ、そして従者達と臣下達で構成された会合に呼ばれていたので。
何故このタイミングで、アーデンが陸路でソルハイムに戻るのか?
その旅の目的・意図は何なのか?
どのような旅の計画なのか・・・という細部まで、情報共有されており。
その際に「従者達を連れず、アーデンとエイラの二人だけで旅立つ」事を知った男が、出発直前になって「有事の際の伝令役に」と連れて来たのが、アーデン達も信頼している臣下の青年二人だった。
なので・・・対立している男からの申し出など、胡散臭い事この上なかったけれど。
実際、何かあった時の伝令役は必要だろう。アーデンとエイラの二人では、どちらかが道中で怪我や病気で動けなくなった場合、助けを呼びに行く事も出来ない。
しかし従者達はアーデンから同行を断られていた・・・「移住してくるソルハイムの民の為にも、
その力は島の・・・新たな国の為に使ってもらいたい」と。王剣の一族の者達が持つ専門知識・技術は、多くの民の為に使って欲しいと。
そして同行を許されなかった従者達は、だからと言って「ではせめて、信頼出来る臣下を同行者に」とは言い出せなかった。それは「他所の者に主を託すなど耐えられない」と言うプライドだったのか?それとも「本当に信用出来るのか?」「もし裏切られたら・・・」と言う不安だったのか?それとも単純に、今までその様な事態に遭遇した事が無かったから「自分達以外の者を」という発想に至らなかったのか?
何にせよ・・・どの道、従者達は「自分達で、自分達以外の者」を手配する事など出来なかっただろう。主自ら選ぶならいざ知らず「主を守る者を、自分達が選ぶ」なんて、もしそれで何か間違いがあれば・・・例えそれが主の為だったとしても、その責任は余りに重い。
そのような状況のまま今日に至り、もう出発直前にまでなっていたので。
男が伝令役にと連れて来たのが良く知った顔・・・アーデンも従者達も信頼している臣下だった事もあって。アーデンが同行を許すなら「他ならぬ主が了承されたのだから」「自分達に異を唱える権利などない」と、「やはり誰かしらの同行者は必要」で「彼らなら、主に害をなす事は無いだろう」と蟠りを飲み込む事が出来た、男の申し出に賛成する事が出来た。
そしてそれは、そこまでを見越した男の策だったのだろう・・・と、エイラは思っている。
アーデンの性格を考慮すれば、「二人の旅の為だ」と言われればその申し出を断りはしない・・・それは分かっていただろうし。
従者達の在り方を考慮すれば、時間を与えれば与える程、自分達で結論を出せもしないのに、どうすべきかと考え思い悩む事になるだろう。それなら悩む時間も与えず、強引に押し切ってやった方が。有無をも言わさず「出発直前の話で、どうしようもなかった」という言い訳を与えてやった方が、彼らだって納得出来る・・・そう見越しての直前の提案だろうと。
でなければ、本当にあの男が「この件は事前の話し合いが必要だ」と思っていたのなら、こんなタイミングまで放っておく筈がない。彼は旅の計画を知っていたのだから、もっと事前に提案出来た筈だ。
それに彼はエイラを見遣り、こうも言っていた。
「同行とは言っても、あくまでも伝令役。
お二人の旅に水を差すつもりはありませんので、
どうかご安心下さい。」
伝令役として同行するだけなので、食事から宿から終始行動を共にする訳では無い・・・基本は「二人を見守るのが彼らの役割」らしい。尤も、アーデンが「一緒に」と言えば、共に行動する事になるのだろうけど。
そんな男の視線に、エイラは「大きなお世話だ」と目を眇めた。
自分はアーデンの「対の娘」「神の兄妹」として、大義の為にアーデンに付いて行くのであって。何も彼と二人で旅行気分な訳では無い、そう思われるのは心外だ、と。
でも、勝手に「そう思われるのは心外」なのは確かだけど。
男の「二人の旅に水を差すつもりは無い」という言葉に、安堵を覚えてしまったのは事実で。
(気心の知れない者と、四六時中一緒でなくて良かった。
・・・そう思っただけなんだから。)
誰にともなく言い訳をしてしまう・・・エイラはエイラで、自分でも御しがたい想いに苛まれていた。
そんな各々複雑な気持ちを持て余し、言葉少なな従者達や臣下達とは対照的に、
「シドは口は悪いですが、船に関しては間違いありません。
どうかソルハイムの皆さんにも、そうお伝え下さい。」
「おいおい何だ、その言い草は?
まぁ、大船に乗ったつもりで・・・ってヤツだ。
コッチの事は、心配するな。」
「アーデン様に向かって何という口を。
それが口が悪い、と言うのだ。
全く・・・教養が無いモノで、申し訳ございません。」
まるで孫の不躾を詫びるような件の老人の言葉に「シドが馬鹿丁寧に敬語なんて使ったら、それこそ空から雨霰の海は大荒れだぜ!」と、見送りに来ていた漁師達は揶揄った。
彼らは自分達の伝承を「真実」としたアーデンを「神」と崇めながらも、その態度を変える事は無かった、必要以上に畏まる事は無かった。
そんな漁師たちの無遠慮な態度に、従者達は始め眉を顰めたものの。
その在りのままの振る舞いを、アーデンは寧ろ好ましく思っていた・・・「自分らしくある」事はとても大切だと思っていたから。
それに賑やかに見送ってくれるのは有難い・・・のかもしれない。自分達はとてもそんな気分にはなれないから。
しかし放っておけば出発前にも関わらず酒盛りを始めそうな漁師達の勢いに、年長の従者がそろそろ場を鎮めるべきかと周囲に目配せしたその時、
「黒チョコボ、見っけ!」
見っけ・・・と言うか。背中に子供を二人乗せた黄色い巨大な鳥に追い掛けられる形で、色違い・・・黒い個体が一団に突っ込んできた。
その黒い個体は、子供二人を乗せた黄色い個体よりも更に大きく、しかも相当のスピードで。衝突すれば、ただでは済まないだろう。従者達が咄嗟にアーデンとエイラを守る為に動く。
が・・・突然の乱入者、もとい乱入鳥は突如針路を変えると、件の男の方に駆け寄って行った。手元を見れば、何やら野菜を持っている。好物だろうか、それに釣られたのだろう・・・初めて見る動物だったので、従者達にはよく分からなかったけれど。
そのチョコボと呼ばれた動物は、一言で言えばとても大きな鳥だった。その大きさは、先程は子供二人が乗っていたけれど、大人でも十分騎乗出来る程で。
黒チョコボと呼ばれた個体は、さらに大きく迫力があった・・・が、好物を貰いご機嫌なのだろうか?それとも元来、人懐っこい性格なのだろうか?今は集まって来た子供達に囲まれ、リズムを取るように足踏みをしたり、羽をばたつかせたりしている。
が・・・何故、こんな所に?しかも四羽も?
その疑問に答えてくれたのは件の男で、
「ソルハイムまで徒歩で移動は大変でしょう。
移動兼荷運び用に、チョコボを用意しました。
お二人には馴染みの無い生き物かと思いますが、見ての通りの健脚。
長旅の供に、どうかお連れ下さい。」
前もってアーデンから「荷運びに適した動物が居なだろうか?」と相談されていた男が手配したものらしい。
成程・・・ソルハイム生まれには馴染みが無く、何となく背中に乗るなど可哀そうに思えるが。
東の大陸の者達にすればチョコボは移動に適した動物として認知されており、チョコボ達もそうやって人間達と暮らしてきた歴史があって。
その上で、こうやって人懐っこいのだから、チョコボ達にとってもそれは共生・・・人間を背に乗せる事に抵抗は無いのだろう。勿論、愛情を持ってきちんと世話をし、感謝の気持ちを忘れない事が前提で。それだって本人の言葉が分かる訳では無いので、所詮は人間側の解釈だけれど。
しかし、チョコボを知る東の大陸の者達にとっても、一際大きな体躯を誇る黒チョコボは別のようで。
「コイツは珍しいな、黒チョコボじゃねぇか?
てっきり、何十年も前に絶滅しちまったモンだと思ってたぜ。」
「此処は長らく人間の出入りが無い孤島でしたから。
閉ざされた自然環境の中、生き延びていたのでしょう。
残念ながら、黒チョコボ特有の飛行能力は失っているようですが。」
「チョコボはね、踊りも得意なんだよ!
サンボとかマンボとかワルツとか・・・ほらほら踊って!」
周りを囲む子供達が思い思いに踊るものだから・・・それに応えようというサービス精神があるのか?黒チョコボの踊りは、サンボだかマンボだかワルツだかがごちゃ混ぜになった、えも言えぬ有様で。
それを嫌々困ってでは無く、本人もノリノリで踊るものだから。
成人男性が見上げる程に大きな黒鳥が、なんだかよく分からない踊りを一心不乱に踊る様は・・・正直、恐怖を覚えないでも無かった。楽しそうな子供達の手前、そんな事は言えなかったけど。
と言うか・・・人懐っこく陽気と言えば聞こえは良いが、この少々落ち着きの無さそうな生き物が主の旅の足とは、本当に大丈夫なのだろうか?好き勝手に走り、振り落としたりしないだろうか?何かに夢中になり、主を置いてきぼりにしたりしないだろうか?
それにチョコボという生物自体が人間の移動手段として優れているとしても、このチョコボ達は野生・・・今回海を渡って来た人間を見るまでは、人間に接した事が無かった様な個体達だ。当然、人間に飼われた事も、訓練を受けた事も無い筈で。もし「人間を乗せて走るのが好き」というチョコボの本能頼りなら、
(これ以上、心配事を増やさないでくれ・・・。)
従者達は内心そう溜息を吐いていた・・・けど、動物の本能というのは大したモノで。子供達から解放された黒チョコボはアーデンの前にやってくると尻尾を左右に振り振り、
「クエッ~!」
元気良く挨拶をした・・・ように見えた。大勢の人間達の中、雰囲気だけで「主人」若しくは「この集団の長」を判断し、チョコボ達の代表として挨拶しているのだろうか?だとしたら、なかなかに賢い生き物だ。
そんな黒チョコボの愛らしい挨拶に、アーデンは丁寧に一礼し。礼儀正しく真似るように頭を下げたその首筋から背中までを、様子を窺いつつそっと撫でてみた。旅立つにあたって手袋を嵌めていたので、残念ながら掌での感触は分からなかったけど。指先に触れるそれはゴワゴワとフワフワの中間と言った所か。曰く「本来持っていた飛行能力を既に失っている」との事だったので、役目を失った風切り羽が退化しているのかもしれない・・・何せこの様な動物はアーデンも初めてだったので、こうして撫でている事自体が何だか不思議な感じがした。
そして従者達は、鳥サイズとは思えぬ巨大な嘴が、主の頭をガブっと行かないかヒヤヒヤしていた・・・どうしても大きな動物というのは恐怖心が先立ってしまう、それこそ人間の本能だから仕方が無い。
が、人間の本能の働きが若干アヤシイ主はと言うと、
「一緒に来てくれれば心強いが、
この子達は、島から出た事が無いのだろう?
私達の都合で連れ出して良いものだろうか?」
特に「黒チョコボは、島外では絶滅したとされている」なら、その珍しさから注目を集めてしまうだろう・・・その結果、良からぬ考えを持つ者に狙われる可能性もあるし。
アーデンはチョコボに詳しくなかったので「何故、黒チョコボが種の絶滅に追いやられたのか?」知らなかったけれど。せっかくこの島で命を繋いで来た黒チョコボを、自分達の都合で危険な目に合わせる・・・人間の勝手に付き合わせるなど、気の毒ではないか。この子達の事を思えば、連れて行かない方が良いのではないか、と自分では無くチョコボ達の心配をしていた。
そんなアーデンの雰囲気から・・・連れて行ってもらえない、選んでもらえない、置いて行かれる、そんな空気を察したのか?
「クエッ~!」
黒チョコボは威嚇する様に、大きな羽をバサッと広げると・・・、
ふぁさっ、と・・・威嚇ではなかったらしい。
広げた大きな左の羽で、アーデンの背中から左肩までを覆い込んだ。
その様子が、人間が親しい相手の肩に腕を回す様に見えて。
自分達は、もう相棒だと告げている様で。
その微笑ましい様子に、周囲の人間たちは・・・ずっと不安顔だった従者達ですら、思わず笑ってしまった。何故だか分からないけれど、この黒チョコボは一目見たその時からアーデンの事を主人と認め、彼に尽くすと決めたらしい。それなら自分達と同じ志を持つ仲間だと、そう素直に思えた。
加え、いつもは澄ました表情を崩さない件の男まで、笑いを堪える様に口元を手で隠しながら、
「その様子では、置いて行くと言っても聞かないでしょう。
チョコボは適応力が高く、
体躯に見合った戦闘能力も有しています。
それに帰巣本能が優れていますので、
仮にはぐれたり、逃がす事になっても、
自力で此処まで帰って来れるでしょう。」
あぁ・・・海は移動できませんので、正確には「対岸まで」ですかね。そこまで何とか言い切ると、戸惑いが隠せないアーデンと、自信満々の黒チョコボを改めて見遣やり。
緩みそうになる表情を誤魔化すように、ふいっと顔を背けてしまった。
その青味掛かった黒髪・・・俯き加減の前髪に隠れた眼差しは、驚く程に穏やかなもので。
そんな表情が出来るなんて、知りたくなかった。
最後の最後でこんな事、気付きたくなかった。
彼は自ら憎まれ役を買っていたのであって、本当は人一倍心優しい人間なのだろう。思えば、幼少期に読み聞かされた昔話を信じ続け、三十路も間近になって昔話の・・・ソルハイムの王や民の役に立ちたいと、今までの生活を投げ捨て単身付いて来た様な人間だ。これで優しくない訳がない、寧ろバカが付く位のお人好しと言っていい程で。
アーデン同様「全てはソルハイムの民の為に・・・」と、嘘偽りなくそう言える類の人間だ。
でも・・・そこまで分かってしまっても、エイラは認めたくなかった。
親子程に、年の離れたソムヌスでは無く。
貴方がアーデンの弟だと、間違われていたかもしれない。
誰よりもアーデンの側に在り続けた自分が、そう思ってしまう。
それ程までに、アーデンと貴方は「どこか似ている」だなんて。
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アーデンとエイラの旅立ちは、チョコボと言う愛らしいマスコットキャラの登場で一時は和んだものの。
「君たちの知恵と技術があれば、
どのような困難にも対処出来るだろう。
私達が戻るまで、その力で皆を守って欲しい。」
アーデンとしては本当に「ちょっと、そこまで」感覚なのか、全く全然微塵も別れの辛さや悲しさが伝わって来なくても。
初めてのチョコボに上手く乗れた事を無邪気に喜ぶアーデンに、情緒をグチャグチャに乱されても。
やはり・・・旅立ちの挨拶が終わり、いよいよ別れかと思うと、生涯の忠誠を誓った従者達としては辛く悲しいもので。
食事を抜かないように、小さな怪我を甘く見ないように、睡眠時間を削ってはいけません・・・あれこれ考える時間がある時には、言っておきたい事が山ほどあった筈なのに。
「どうか無理をなさらぬよう・・・無事にお戻りください。」
いざその時になったら、最年長の従者であっても、そう告げるだけで精一杯で。
無事に戻ってきて欲しい・・・それだけが従者達がアーデンに望む、たった一つの願いだった。
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兄姉と離れ離れの夜なんて、何年振りだろうか?
ソムヌスが「剣神バハムートの御子」に選ばれ、二人との「神の兄姉弟」という関係が結ばれたのは、その役割上、物心が付く前だったので・・・それを思い出そうにも思い出せない。
けど、以降本当の兄姉弟の様に常に一緒に在ったのだから。幼い自分が覚えていないだけで、実は生まれて間もない頃から振り・・・なのかもしれない。
それ位の長い時間、ずっと一緒だった兄と姉が居ない夜。
アーデンとエイラの旅立ちの際。終始、不安気なソムヌスに対し、他の従者達は「共に王を支える王剣の一族の人間としては、その様な事では頼りない」と思いつつも「神の兄姉弟として本当の兄姉弟のように育てられたのだから、それも仕方が無いだろう」と。
本来なら王剣の一族の仕来りとして、役割を負う以上は年齢は考慮されない・・・それはソムヌスにも言える事だったけれど。
今回の件に関しては、ソムヌスがまだ子供と言える年齢だった事もあり、従者達もそれ位には一定の理解を示していた。
けれど・・・ソムヌスの心中にあったのは、従者達が思うような「兄姉と別れる事に対する、幼さ故の寂しさ」等では無く。
本当にこの旅は、ソルハイムの民を迎えに行く・・・それだけで済むのだろうか?
月明かりが照らす窓辺に佇むソムヌスの視線の先には、寝台の横に設えられたチェスト・・・に仕舞い込んだ、彫り込まれた細工が美しい小箱。
それは昨夜、アーデンとエイラから託された物で。
その中には、二人がそれぞれ身に付けていた「指輪」と「首飾り」が収められていた。
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「・・・これは、どういう事でしょうか?」
きっと今、自分は酷い顔をしているだろう・・・思い掛けない中身に声が、指先が震える。
技術的評価は勿論、ソルハイムの歴史と魂が込められた物として、ソルハイムの「三種の神器」と崇められていたのが、
一つ。代々継承されてきたソルハイム王の証・・・アーデンが身に付けていた、職人達が丹精込めて作り上げた細工が美しい「光輝く指輪」と。
二つ。対の娘に継承される・・・エイラの胸元で揺れ輝いていた、高度な技術でもって多角面にカットされた、まさに氷神の娘に相応しい純氷の様な石をあしらった「水晶の首飾り」。
三つ。三種の中でも一番最初の「始まりの王」の時代より、時の職人たちが精巧な細工を彫り込み続けた結果。石製でありながらもこの頃の時代には芸術作品と言える程の美しさと、座面には綿を詰めた革布を張るといった、玉座としての機能性にも配慮された・・・従者達が此処まで担ぎ運んで来た「王の玉座」で。
その内、石製の「王の玉座」は、持ち出せる筈が無いとのアーデンの判断で、最初はソルハイムに残して旅立つもりだった。正確には「わざわざ重い石の塊を運ばせる。従者達にそんな負担を掛けてまで持ち出す必要は無い」と、アーデン自身は思っていたから。
けれど従者達の「座する王の居ない玉座など、歴代王に申し訳が立たない」という熱意に押される形で。分解して軽量化したり、井方に組んだ担ぎ棒の上に固定したりと、様々な工夫を凝らした上で「王の玉座」は、この遠く離れた土地まで運ばれて来た。
が「光輝く指輪」と「水晶の首飾り」は「普段から二人が身に付けている、代々の王より彼らに貸し与えられた物」だったので・・・事情が変わって持ち出した「王の玉座」とは違い、この二つを置いて行こうなんて思いもしなかった。
常に指に、胸元に有るのが当たり前で・・・この先の知れない新天地を探す旅にあっても、ずっとアーデンとエイラが大事に身に付けていた物。
それを何故、この様な小箱の中に・・・?
そして何故、その小箱を僕に・・・?
これを「嫌な予感」・・・などとは、思いたくない。
頭を過った考えを否定して欲しくて。
頭一つ半以上背が高いアーデンを見上げ、彼の言葉を待つソムヌスに対し、
「今回は、ソムヌスに預けて行こうと思って。」
「それが、どう言う事なのかと・・・!
だって・・・今までずっと・・・、
兄上と姉上が大事に身に付けていた物じゃないですか?」
「それなのに・・・今回の旅に限って、
何故、預けて行こうなど・・・・・・?」
理由は分からない、けど。
途轍もなく恐ろしい事に思えた・・・何に対する恐怖なのかも分からずに。
そんな二人のやり取りを見ていたエイラは、相変わらずのアーデンの対応に溜め息一つ吐くと。小箱を持つ手で涙を拭う事も出来ないソムヌスを抱き寄せ、
「驚かせて御免なさいね。
でも大丈夫、安心して。
今回、指輪と首飾りを貴方に預けて行くのは、
戻れない事を危惧してでは無いの。
ほら、アーデン。ちゃんと説明してあげないと・・・、」
全く・・・貴方はそういうトコ、言葉が足りないんだから。
そう嗜める様なエイラの眼差しを受け、漸く「成程、そういうモノか」と思い至ったアーデンは、今回の経緯をこう説明した。
「三種の神器とされる玉座・指輪・首飾りには、
神と歴代王の力が宿っていて。
三つ同じ場に揃ってこそ、真価を発揮する。
今回の旅の成功・・・奇跡も、その加護によるものだろう。」
「勿論、それが真実かなんて確かめる術は無い。
でもソルハイムの民らは、今回の出来事からそう信じるだろう。
三つの神器が揃っていたからこその奇跡。
石の玉座を運び旅をする・・・その信心に神が応えたのだ、と。」
「そして民らが、神器にその様な物語を描き信じるのなら。
私達は彼らの物語を信じ、寄り添わなければならない。」
あるべき物を、あるべき場所へ・・・あるかもしれない、いつかどこかの世界の為にも。
「だから、私達が玉座から離れるなら、
この指輪と首飾りは、玉座の側に残して行くべきだろう。
三種の神器とされる玉座・指輪・首飾りは、
三つ同じ場に揃ってこそ真価を発揮する。
・・・そうに違いないと、思い描き信じる人達の為に。」
例えそれが今では無い・・・何時か何処かの時代、世界だとしても。
そう信じられていた、それを信じる人達がいた・・・それもまた、このイオスの世界が在り続ける為に必要な「想い出・記憶」なのだから。
と・・・どうやらアーデンの説明は終わったらしい。
そう判断したソムヌスは、話は終わりと言わんばかりに黙ってしまったアーデンから、自分を抱き締めたままのエイラに困惑の視線を移した。
だって・・・説明を聞いたところで、よく分からなかったから。
三種の神器とされる玉座・指輪・首飾りは、三つ同じ場に揃ってこそ真価を発揮する。
だから、指輪と首飾りは玉座の側に・・・ソムヌスに預けて旅に出る。
と、いう話なら分かる。どうしたって二人で玉座を運び旅する事など不可能なのだから「三つ同じ場に」なら、指輪と首飾りを玉座の側に残して行くしかないだろう。
でもアーデンの言い様ではまるで・・・、
「兄上は、皆がそうであると信じるから、
そうであるよう努めているだけで。
その物自体の力を信じてる訳では無い・・・のですか?」
民がそうである事を願うから・・・それすらソルハイムの民の為?
だとしたら、アーデンにとっての神とは奇跡とは・・・一体「何」だと言うのか?
思わず問い掛けた後で、自分の不敬に気付き「御免なさい」と項垂れたソムヌスの髪を、アーデンの指先が優しく梳く。
自分の背がもっと低かった頃は、視線を合わせる為にしゃがみ込み、大きな手で頭を撫でながら慰めてくれた。自分よりもずっと大きな手、その指に光る指輪の輝き・・・その指で髪を梳かれるのが嬉しくて、わざと困らせた事もあったのを、今でも覚えている。
でも今、その指に「光輝く指輪」は無く。
「いや、私はその物自体の力も信じているよ。
人々の想いを受けてこそ、物はそれに相応しい力を持つのだから。
彼らがそう夢見て信じるのなら、
その物は本当にそのような力を持つだろう、と。」
「・・・難しくて、分かりません。」
「お前は賢い子だから、いずれ分かるよ。」
人々の想いを受けてこそ、物はそれに相応しい力を持つ。
つまり物が特別な力を持つ為には、その物を特別な物に仕立て上げるだけの人々の想いが必要で。その為には、多くの人々の共感が得られる・・・それに相応しい「物語」が必要だと言う事。
逆から言えば、どれだけ美しい水晶であっても人々の想いが得られなければ、ただの美しい水晶でしかなく。美しいというだけで、それが特別な力を持つ事は無い。
では美しい水晶が奇跡の力を持つには、多くの人々の「そう信じる想い」が必要で。
多くの人々の共感を得る為には、それに相応しい「物語」が必要だと言うのなら。
その「物語」の主人公に選ばれるのは、
美しい水晶が奇跡の力を持つ為にと、生贄に捧げられるのは誰なのか?
その「いずれ」が一体、何時になるのか・・・十と少しを過ぎたばかりのソムヌスには、当然分からなかった。そんな自分がこんな大事な指輪と首飾りを預かるなんて・・・、
「私には、荷が勝ちすぎます。
それにこの様な重要な事は、
他の方々の賛同を得てからでなければ・・・、」
王剣の一族の在り方に反する、と・・・ソムヌスはそう続けようとしたけれど。
「ソムヌス・・・これは王剣の一族としてではなく。
兄姉として、弟の貴方にお願いしたいの。」
他の者達に言えば、きっと大騒ぎになってしまうから・・・と肩を竦め、エイラは茶目っ気たっぷりにソムヌスの言葉を封殺すると。
彼の銀糸の様な髪を耳に掛け、秘密の内緒話とでも言うようにこう続けた。
「だから、これは私達だけの秘密。
私達が戻るまで・・・どうか守り抜いて。」
古くより「王の玉座」「光輝く指輪」「水晶の首飾り」の三種は、ソルハイムの歴史と魂が込められた物として、ソルハイムの「三種の神器」と崇められ。
それら玉座・指輪・首飾りには、神と歴代王の力が宿っており、三つ同じ場に揃ってこそ真価を発揮する・・・とされていた。
この伝承を 物語を 守り抜いて 語り継いで、
偽りの「物語」で 塗り替え 書き換え られないように。
・・・イオスの世界が 忘れてしまわない ように。
【『ルシスの禁忌』とは (旅立つ者達~託される者)】
アーデンとエイラの旅立ちの日。島で生活している人数に対して、二人を見送る者の数は多くは無かった。
常に共に有ったと言っても過言では無い従者達にとっては、今までに経験した事が無い長い別れとなる。しかも色々と心配事だらけで、とても「どうぞ、お気を付けて」と、笑顔と期待で送り出せるような心境では無い。本心を言えば、今からだって中止にしてもらいたいところだった。
また、東の大陸に渡ってからの協力者・・・従者達の信用を得て「臣下」という立場に取り上げられていた者達も、従者達とは若干異なる理由で不安顔だった。
そう言った者達は旅の序盤・・・東の大陸に渡って間もなくの、アーデン一行に付いてくる同行者達がまだ少ない段階から付いて来た者達だったので。同じ集落~近い地域の者同士で価値観や生活様式が似通っており、ここまで大所帯になった同行者達を取り纏めて来た働きからも分かる通り、彼ら同士の結束は強かった。
が・・・彼らの結束の要にあったのは、言うまでも無くアーデンで。
旅の後半になって、訳も分からず雪だるま式に増えて行った者達とは違い、彼らはアーデンに助力を乞い、それに対して恩義を感じ、だからこそここまで一行に尽くして来た。ちゃんとアーデンの旅の意味を理解していた。
だからこそ・・・今まで「絶対」と信じて尽くしてきたアーデンが居なくなる事に、不安を感じずにはいられなかった。アーデン不在でも、互いの関係が当たり前に構築され揺らぐ事の無い従者達・・・王剣の一族の者達とは違って。同じ志が持てたのは「アーデンが居るからこそ」だった臣下達は、そこまで「アーデン以外」の従者達の事情・関係に詳しくは無いのだから。
それに、彼らの眉間の皺が消えない理由がもう一つ。
旅外套を羽織ったアーデンとエイラの後ろには、件の男が手配した同行者が二名控えていた。
因みに、男がアーデンが旅立つ事を知っていたのは、裏切り者による密告では無く。彼は「次からの会合には、彼に声を掛けるように」と、アーデンとエイラ、そして従者達と臣下達で構成された会合に呼ばれていたので。
何故このタイミングで、アーデンが陸路でソルハイムに戻るのか?
その旅の目的・意図は何なのか?
どのような旅の計画なのか・・・という細部まで、情報共有されており。
その際に「従者達を連れず、アーデンとエイラの二人だけで旅立つ」事を知った男が、出発直前になって「有事の際の伝令役に」と連れて来たのが、アーデン達も信頼している臣下の青年二人だった。
なので・・・対立している男からの申し出など、胡散臭い事この上なかったけれど。
実際、何かあった時の伝令役は必要だろう。アーデンとエイラの二人では、どちらかが道中で怪我や病気で動けなくなった場合、助けを呼びに行く事も出来ない。
しかし従者達はアーデンから同行を断られていた・・・「移住してくるソルハイムの民の為にも、
その力は島の・・・新たな国の為に使ってもらいたい」と。王剣の一族の者達が持つ専門知識・技術は、多くの民の為に使って欲しいと。
そして同行を許されなかった従者達は、だからと言って「ではせめて、信頼出来る臣下を同行者に」とは言い出せなかった。それは「他所の者に主を託すなど耐えられない」と言うプライドだったのか?それとも「本当に信用出来るのか?」「もし裏切られたら・・・」と言う不安だったのか?それとも単純に、今までその様な事態に遭遇した事が無かったから「自分達以外の者を」という発想に至らなかったのか?
何にせよ・・・どの道、従者達は「自分達で、自分達以外の者」を手配する事など出来なかっただろう。主自ら選ぶならいざ知らず「主を守る者を、自分達が選ぶ」なんて、もしそれで何か間違いがあれば・・・例えそれが主の為だったとしても、その責任は余りに重い。
そのような状況のまま今日に至り、もう出発直前にまでなっていたので。
男が伝令役にと連れて来たのが良く知った顔・・・アーデンも従者達も信頼している臣下だった事もあって。アーデンが同行を許すなら「他ならぬ主が了承されたのだから」「自分達に異を唱える権利などない」と、「やはり誰かしらの同行者は必要」で「彼らなら、主に害をなす事は無いだろう」と蟠りを飲み込む事が出来た、男の申し出に賛成する事が出来た。
そしてそれは、そこまでを見越した男の策だったのだろう・・・と、エイラは思っている。
アーデンの性格を考慮すれば、「二人の旅の為だ」と言われればその申し出を断りはしない・・・それは分かっていただろうし。
従者達の在り方を考慮すれば、時間を与えれば与える程、自分達で結論を出せもしないのに、どうすべきかと考え思い悩む事になるだろう。それなら悩む時間も与えず、強引に押し切ってやった方が。有無をも言わさず「出発直前の話で、どうしようもなかった」という言い訳を与えてやった方が、彼らだって納得出来る・・・そう見越しての直前の提案だろうと。
でなければ、本当にあの男が「この件は事前の話し合いが必要だ」と思っていたのなら、こんなタイミングまで放っておく筈がない。彼は旅の計画を知っていたのだから、もっと事前に提案出来た筈だ。
それに彼はエイラを見遣り、こうも言っていた。
「同行とは言っても、あくまでも伝令役。
お二人の旅に水を差すつもりはありませんので、
どうかご安心下さい。」
伝令役として同行するだけなので、食事から宿から終始行動を共にする訳では無い・・・基本は「二人を見守るのが彼らの役割」らしい。尤も、アーデンが「一緒に」と言えば、共に行動する事になるのだろうけど。
そんな男の視線に、エイラは「大きなお世話だ」と目を眇めた。
自分はアーデンの「対の娘」「神の兄妹」として、大義の為にアーデンに付いて行くのであって。何も彼と二人で旅行気分な訳では無い、そう思われるのは心外だ、と。
でも、勝手に「そう思われるのは心外」なのは確かだけど。
男の「二人の旅に水を差すつもりは無い」という言葉に、安堵を覚えてしまったのは事実で。
(気心の知れない者と、四六時中一緒でなくて良かった。
・・・そう思っただけなんだから。)
誰にともなく言い訳をしてしまう・・・エイラはエイラで、自分でも御しがたい想いに苛まれていた。
そんな各々複雑な気持ちを持て余し、言葉少なな従者達や臣下達とは対照的に、
「シドは口は悪いですが、船に関しては間違いありません。
どうかソルハイムの皆さんにも、そうお伝え下さい。」
「おいおい何だ、その言い草は?
まぁ、大船に乗ったつもりで・・・ってヤツだ。
コッチの事は、心配するな。」
「アーデン様に向かって何という口を。
それが口が悪い、と言うのだ。
全く・・・教養が無いモノで、申し訳ございません。」
まるで孫の不躾を詫びるような件の老人の言葉に「シドが馬鹿丁寧に敬語なんて使ったら、それこそ空から雨霰の海は大荒れだぜ!」と、見送りに来ていた漁師達は揶揄った。
彼らは自分達の伝承を「真実」としたアーデンを「神」と崇めながらも、その態度を変える事は無かった、必要以上に畏まる事は無かった。
そんな漁師たちの無遠慮な態度に、従者達は始め眉を顰めたものの。
その在りのままの振る舞いを、アーデンは寧ろ好ましく思っていた・・・「自分らしくある」事はとても大切だと思っていたから。
それに賑やかに見送ってくれるのは有難い・・・のかもしれない。自分達はとてもそんな気分にはなれないから。
しかし放っておけば出発前にも関わらず酒盛りを始めそうな漁師達の勢いに、年長の従者がそろそろ場を鎮めるべきかと周囲に目配せしたその時、
「黒チョコボ、見っけ!」
見っけ・・・と言うか。背中に子供を二人乗せた黄色い巨大な鳥に追い掛けられる形で、色違い・・・黒い個体が一団に突っ込んできた。
その黒い個体は、子供二人を乗せた黄色い個体よりも更に大きく、しかも相当のスピードで。衝突すれば、ただでは済まないだろう。従者達が咄嗟にアーデンとエイラを守る為に動く。
が・・・突然の乱入者、もとい乱入鳥は突如針路を変えると、件の男の方に駆け寄って行った。手元を見れば、何やら野菜を持っている。好物だろうか、それに釣られたのだろう・・・初めて見る動物だったので、従者達にはよく分からなかったけれど。
そのチョコボと呼ばれた動物は、一言で言えばとても大きな鳥だった。その大きさは、先程は子供二人が乗っていたけれど、大人でも十分騎乗出来る程で。
黒チョコボと呼ばれた個体は、さらに大きく迫力があった・・・が、好物を貰いご機嫌なのだろうか?それとも元来、人懐っこい性格なのだろうか?今は集まって来た子供達に囲まれ、リズムを取るように足踏みをしたり、羽をばたつかせたりしている。
が・・・何故、こんな所に?しかも四羽も?
その疑問に答えてくれたのは件の男で、
「ソルハイムまで徒歩で移動は大変でしょう。
移動兼荷運び用に、チョコボを用意しました。
お二人には馴染みの無い生き物かと思いますが、見ての通りの健脚。
長旅の供に、どうかお連れ下さい。」
前もってアーデンから「荷運びに適した動物が居なだろうか?」と相談されていた男が手配したものらしい。
成程・・・ソルハイム生まれには馴染みが無く、何となく背中に乗るなど可哀そうに思えるが。
東の大陸の者達にすればチョコボは移動に適した動物として認知されており、チョコボ達もそうやって人間達と暮らしてきた歴史があって。
その上で、こうやって人懐っこいのだから、チョコボ達にとってもそれは共生・・・人間を背に乗せる事に抵抗は無いのだろう。勿論、愛情を持ってきちんと世話をし、感謝の気持ちを忘れない事が前提で。それだって本人の言葉が分かる訳では無いので、所詮は人間側の解釈だけれど。
しかし、チョコボを知る東の大陸の者達にとっても、一際大きな体躯を誇る黒チョコボは別のようで。
「コイツは珍しいな、黒チョコボじゃねぇか?
てっきり、何十年も前に絶滅しちまったモンだと思ってたぜ。」
「此処は長らく人間の出入りが無い孤島でしたから。
閉ざされた自然環境の中、生き延びていたのでしょう。
残念ながら、黒チョコボ特有の飛行能力は失っているようですが。」
「チョコボはね、踊りも得意なんだよ!
サンボとかマンボとかワルツとか・・・ほらほら踊って!」
周りを囲む子供達が思い思いに踊るものだから・・・それに応えようというサービス精神があるのか?黒チョコボの踊りは、サンボだかマンボだかワルツだかがごちゃ混ぜになった、えも言えぬ有様で。
それを嫌々困ってでは無く、本人もノリノリで踊るものだから。
成人男性が見上げる程に大きな黒鳥が、なんだかよく分からない踊りを一心不乱に踊る様は・・・正直、恐怖を覚えないでも無かった。楽しそうな子供達の手前、そんな事は言えなかったけど。
と言うか・・・人懐っこく陽気と言えば聞こえは良いが、この少々落ち着きの無さそうな生き物が主の旅の足とは、本当に大丈夫なのだろうか?好き勝手に走り、振り落としたりしないだろうか?何かに夢中になり、主を置いてきぼりにしたりしないだろうか?
それにチョコボという生物自体が人間の移動手段として優れているとしても、このチョコボ達は野生・・・今回海を渡って来た人間を見るまでは、人間に接した事が無かった様な個体達だ。当然、人間に飼われた事も、訓練を受けた事も無い筈で。もし「人間を乗せて走るのが好き」というチョコボの本能頼りなら、
(これ以上、心配事を増やさないでくれ・・・。)
従者達は内心そう溜息を吐いていた・・・けど、動物の本能というのは大したモノで。子供達から解放された黒チョコボはアーデンの前にやってくると尻尾を左右に振り振り、
「クエッ~!」
元気良く挨拶をした・・・ように見えた。大勢の人間達の中、雰囲気だけで「主人」若しくは「この集団の長」を判断し、チョコボ達の代表として挨拶しているのだろうか?だとしたら、なかなかに賢い生き物だ。
そんな黒チョコボの愛らしい挨拶に、アーデンは丁寧に一礼し。礼儀正しく真似るように頭を下げたその首筋から背中までを、様子を窺いつつそっと撫でてみた。旅立つにあたって手袋を嵌めていたので、残念ながら掌での感触は分からなかったけど。指先に触れるそれはゴワゴワとフワフワの中間と言った所か。曰く「本来持っていた飛行能力を既に失っている」との事だったので、役目を失った風切り羽が退化しているのかもしれない・・・何せこの様な動物はアーデンも初めてだったので、こうして撫でている事自体が何だか不思議な感じがした。
そして従者達は、鳥サイズとは思えぬ巨大な嘴が、主の頭をガブっと行かないかヒヤヒヤしていた・・・どうしても大きな動物というのは恐怖心が先立ってしまう、それこそ人間の本能だから仕方が無い。
が、人間の本能の働きが若干アヤシイ主はと言うと、
「一緒に来てくれれば心強いが、
この子達は、島から出た事が無いのだろう?
私達の都合で連れ出して良いものだろうか?」
特に「黒チョコボは、島外では絶滅したとされている」なら、その珍しさから注目を集めてしまうだろう・・・その結果、良からぬ考えを持つ者に狙われる可能性もあるし。
アーデンはチョコボに詳しくなかったので「何故、黒チョコボが種の絶滅に追いやられたのか?」知らなかったけれど。せっかくこの島で命を繋いで来た黒チョコボを、自分達の都合で危険な目に合わせる・・・人間の勝手に付き合わせるなど、気の毒ではないか。この子達の事を思えば、連れて行かない方が良いのではないか、と自分では無くチョコボ達の心配をしていた。
そんなアーデンの雰囲気から・・・連れて行ってもらえない、選んでもらえない、置いて行かれる、そんな空気を察したのか?
「クエッ~!」
黒チョコボは威嚇する様に、大きな羽をバサッと広げると・・・、
ふぁさっ、と・・・威嚇ではなかったらしい。
広げた大きな左の羽で、アーデンの背中から左肩までを覆い込んだ。
その様子が、人間が親しい相手の肩に腕を回す様に見えて。
自分達は、もう相棒だと告げている様で。
その微笑ましい様子に、周囲の人間たちは・・・ずっと不安顔だった従者達ですら、思わず笑ってしまった。何故だか分からないけれど、この黒チョコボは一目見たその時からアーデンの事を主人と認め、彼に尽くすと決めたらしい。それなら自分達と同じ志を持つ仲間だと、そう素直に思えた。
加え、いつもは澄ました表情を崩さない件の男まで、笑いを堪える様に口元を手で隠しながら、
「その様子では、置いて行くと言っても聞かないでしょう。
チョコボは適応力が高く、
体躯に見合った戦闘能力も有しています。
それに帰巣本能が優れていますので、
仮にはぐれたり、逃がす事になっても、
自力で此処まで帰って来れるでしょう。」
あぁ・・・海は移動できませんので、正確には「対岸まで」ですかね。そこまで何とか言い切ると、戸惑いが隠せないアーデンと、自信満々の黒チョコボを改めて見遣やり。
緩みそうになる表情を誤魔化すように、ふいっと顔を背けてしまった。
その青味掛かった黒髪・・・俯き加減の前髪に隠れた眼差しは、驚く程に穏やかなもので。
そんな表情が出来るなんて、知りたくなかった。
最後の最後でこんな事、気付きたくなかった。
彼は自ら憎まれ役を買っていたのであって、本当は人一倍心優しい人間なのだろう。思えば、幼少期に読み聞かされた昔話を信じ続け、三十路も間近になって昔話の・・・ソルハイムの王や民の役に立ちたいと、今までの生活を投げ捨て単身付いて来た様な人間だ。これで優しくない訳がない、寧ろバカが付く位のお人好しと言っていい程で。
アーデン同様「全てはソルハイムの民の為に・・・」と、嘘偽りなくそう言える類の人間だ。
でも・・・そこまで分かってしまっても、エイラは認めたくなかった。
親子程に、年の離れたソムヌスでは無く。
貴方がアーデンの弟だと、間違われていたかもしれない。
誰よりもアーデンの側に在り続けた自分が、そう思ってしまう。
それ程までに、アーデンと貴方は「どこか似ている」だなんて。
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アーデンとエイラの旅立ちは、チョコボと言う愛らしいマスコットキャラの登場で一時は和んだものの。
「君たちの知恵と技術があれば、
どのような困難にも対処出来るだろう。
私達が戻るまで、その力で皆を守って欲しい。」
アーデンとしては本当に「ちょっと、そこまで」感覚なのか、全く全然微塵も別れの辛さや悲しさが伝わって来なくても。
初めてのチョコボに上手く乗れた事を無邪気に喜ぶアーデンに、情緒をグチャグチャに乱されても。
やはり・・・旅立ちの挨拶が終わり、いよいよ別れかと思うと、生涯の忠誠を誓った従者達としては辛く悲しいもので。
食事を抜かないように、小さな怪我を甘く見ないように、睡眠時間を削ってはいけません・・・あれこれ考える時間がある時には、言っておきたい事が山ほどあった筈なのに。
「どうか無理をなさらぬよう・・・無事にお戻りください。」
いざその時になったら、最年長の従者であっても、そう告げるだけで精一杯で。
無事に戻ってきて欲しい・・・それだけが従者達がアーデンに望む、たった一つの願いだった。
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兄姉と離れ離れの夜なんて、何年振りだろうか?
ソムヌスが「剣神バハムートの御子」に選ばれ、二人との「神の兄姉弟」という関係が結ばれたのは、その役割上、物心が付く前だったので・・・それを思い出そうにも思い出せない。
けど、以降本当の兄姉弟の様に常に一緒に在ったのだから。幼い自分が覚えていないだけで、実は生まれて間もない頃から振り・・・なのかもしれない。
それ位の長い時間、ずっと一緒だった兄と姉が居ない夜。
アーデンとエイラの旅立ちの際。終始、不安気なソムヌスに対し、他の従者達は「共に王を支える王剣の一族の人間としては、その様な事では頼りない」と思いつつも「神の兄姉弟として本当の兄姉弟のように育てられたのだから、それも仕方が無いだろう」と。
本来なら王剣の一族の仕来りとして、役割を負う以上は年齢は考慮されない・・・それはソムヌスにも言える事だったけれど。
今回の件に関しては、ソムヌスがまだ子供と言える年齢だった事もあり、従者達もそれ位には一定の理解を示していた。
けれど・・・ソムヌスの心中にあったのは、従者達が思うような「兄姉と別れる事に対する、幼さ故の寂しさ」等では無く。
本当にこの旅は、ソルハイムの民を迎えに行く・・・それだけで済むのだろうか?
月明かりが照らす窓辺に佇むソムヌスの視線の先には、寝台の横に設えられたチェスト・・・に仕舞い込んだ、彫り込まれた細工が美しい小箱。
それは昨夜、アーデンとエイラから託された物で。
その中には、二人がそれぞれ身に付けていた「指輪」と「首飾り」が収められていた。
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「・・・これは、どういう事でしょうか?」
きっと今、自分は酷い顔をしているだろう・・・思い掛けない中身に声が、指先が震える。
技術的評価は勿論、ソルハイムの歴史と魂が込められた物として、ソルハイムの「三種の神器」と崇められていたのが、
一つ。代々継承されてきたソルハイム王の証・・・アーデンが身に付けていた、職人達が丹精込めて作り上げた細工が美しい「光輝く指輪」と。
二つ。対の娘に継承される・・・エイラの胸元で揺れ輝いていた、高度な技術でもって多角面にカットされた、まさに氷神の娘に相応しい純氷の様な石をあしらった「水晶の首飾り」。
三つ。三種の中でも一番最初の「始まりの王」の時代より、時の職人たちが精巧な細工を彫り込み続けた結果。石製でありながらもこの頃の時代には芸術作品と言える程の美しさと、座面には綿を詰めた革布を張るといった、玉座としての機能性にも配慮された・・・従者達が此処まで担ぎ運んで来た「王の玉座」で。
その内、石製の「王の玉座」は、持ち出せる筈が無いとのアーデンの判断で、最初はソルハイムに残して旅立つもりだった。正確には「わざわざ重い石の塊を運ばせる。従者達にそんな負担を掛けてまで持ち出す必要は無い」と、アーデン自身は思っていたから。
けれど従者達の「座する王の居ない玉座など、歴代王に申し訳が立たない」という熱意に押される形で。分解して軽量化したり、井方に組んだ担ぎ棒の上に固定したりと、様々な工夫を凝らした上で「王の玉座」は、この遠く離れた土地まで運ばれて来た。
が「光輝く指輪」と「水晶の首飾り」は「普段から二人が身に付けている、代々の王より彼らに貸し与えられた物」だったので・・・事情が変わって持ち出した「王の玉座」とは違い、この二つを置いて行こうなんて思いもしなかった。
常に指に、胸元に有るのが当たり前で・・・この先の知れない新天地を探す旅にあっても、ずっとアーデンとエイラが大事に身に付けていた物。
それを何故、この様な小箱の中に・・・?
そして何故、その小箱を僕に・・・?
これを「嫌な予感」・・・などとは、思いたくない。
頭を過った考えを否定して欲しくて。
頭一つ半以上背が高いアーデンを見上げ、彼の言葉を待つソムヌスに対し、
「今回は、ソムヌスに預けて行こうと思って。」
「それが、どう言う事なのかと・・・!
だって・・・今までずっと・・・、
兄上と姉上が大事に身に付けていた物じゃないですか?」
「それなのに・・・今回の旅に限って、
何故、預けて行こうなど・・・・・・?」
理由は分からない、けど。
途轍もなく恐ろしい事に思えた・・・何に対する恐怖なのかも分からずに。
そんな二人のやり取りを見ていたエイラは、相変わらずのアーデンの対応に溜め息一つ吐くと。小箱を持つ手で涙を拭う事も出来ないソムヌスを抱き寄せ、
「驚かせて御免なさいね。
でも大丈夫、安心して。
今回、指輪と首飾りを貴方に預けて行くのは、
戻れない事を危惧してでは無いの。
ほら、アーデン。ちゃんと説明してあげないと・・・、」
全く・・・貴方はそういうトコ、言葉が足りないんだから。
そう嗜める様なエイラの眼差しを受け、漸く「成程、そういうモノか」と思い至ったアーデンは、今回の経緯をこう説明した。
「三種の神器とされる玉座・指輪・首飾りには、
神と歴代王の力が宿っていて。
三つ同じ場に揃ってこそ、真価を発揮する。
今回の旅の成功・・・奇跡も、その加護によるものだろう。」
「勿論、それが真実かなんて確かめる術は無い。
でもソルハイムの民らは、今回の出来事からそう信じるだろう。
三つの神器が揃っていたからこその奇跡。
石の玉座を運び旅をする・・・その信心に神が応えたのだ、と。」
「そして民らが、神器にその様な物語を描き信じるのなら。
私達は彼らの物語を信じ、寄り添わなければならない。」
あるべき物を、あるべき場所へ・・・あるかもしれない、いつかどこかの世界の為にも。
「だから、私達が玉座から離れるなら、
この指輪と首飾りは、玉座の側に残して行くべきだろう。
三種の神器とされる玉座・指輪・首飾りは、
三つ同じ場に揃ってこそ真価を発揮する。
・・・そうに違いないと、思い描き信じる人達の為に。」
例えそれが今では無い・・・何時か何処かの時代、世界だとしても。
そう信じられていた、それを信じる人達がいた・・・それもまた、このイオスの世界が在り続ける為に必要な「想い出・記憶」なのだから。
と・・・どうやらアーデンの説明は終わったらしい。
そう判断したソムヌスは、話は終わりと言わんばかりに黙ってしまったアーデンから、自分を抱き締めたままのエイラに困惑の視線を移した。
だって・・・説明を聞いたところで、よく分からなかったから。
三種の神器とされる玉座・指輪・首飾りは、三つ同じ場に揃ってこそ真価を発揮する。
だから、指輪と首飾りは玉座の側に・・・ソムヌスに預けて旅に出る。
と、いう話なら分かる。どうしたって二人で玉座を運び旅する事など不可能なのだから「三つ同じ場に」なら、指輪と首飾りを玉座の側に残して行くしかないだろう。
でもアーデンの言い様ではまるで・・・、
「兄上は、皆がそうであると信じるから、
そうであるよう努めているだけで。
その物自体の力を信じてる訳では無い・・・のですか?」
民がそうである事を願うから・・・それすらソルハイムの民の為?
だとしたら、アーデンにとっての神とは奇跡とは・・・一体「何」だと言うのか?
思わず問い掛けた後で、自分の不敬に気付き「御免なさい」と項垂れたソムヌスの髪を、アーデンの指先が優しく梳く。
自分の背がもっと低かった頃は、視線を合わせる為にしゃがみ込み、大きな手で頭を撫でながら慰めてくれた。自分よりもずっと大きな手、その指に光る指輪の輝き・・・その指で髪を梳かれるのが嬉しくて、わざと困らせた事もあったのを、今でも覚えている。
でも今、その指に「光輝く指輪」は無く。
「いや、私はその物自体の力も信じているよ。
人々の想いを受けてこそ、物はそれに相応しい力を持つのだから。
彼らがそう夢見て信じるのなら、
その物は本当にそのような力を持つだろう、と。」
「・・・難しくて、分かりません。」
「お前は賢い子だから、いずれ分かるよ。」
人々の想いを受けてこそ、物はそれに相応しい力を持つ。
つまり物が特別な力を持つ為には、その物を特別な物に仕立て上げるだけの人々の想いが必要で。その為には、多くの人々の共感が得られる・・・それに相応しい「物語」が必要だと言う事。
逆から言えば、どれだけ美しい水晶であっても人々の想いが得られなければ、ただの美しい水晶でしかなく。美しいというだけで、それが特別な力を持つ事は無い。
では美しい水晶が奇跡の力を持つには、多くの人々の「そう信じる想い」が必要で。
多くの人々の共感を得る為には、それに相応しい「物語」が必要だと言うのなら。
その「物語」の主人公に選ばれるのは、
美しい水晶が奇跡の力を持つ為にと、生贄に捧げられるのは誰なのか?
その「いずれ」が一体、何時になるのか・・・十と少しを過ぎたばかりのソムヌスには、当然分からなかった。そんな自分がこんな大事な指輪と首飾りを預かるなんて・・・、
「私には、荷が勝ちすぎます。
それにこの様な重要な事は、
他の方々の賛同を得てからでなければ・・・、」
王剣の一族の在り方に反する、と・・・ソムヌスはそう続けようとしたけれど。
「ソムヌス・・・これは王剣の一族としてではなく。
兄姉として、弟の貴方にお願いしたいの。」
他の者達に言えば、きっと大騒ぎになってしまうから・・・と肩を竦め、エイラは茶目っ気たっぷりにソムヌスの言葉を封殺すると。
彼の銀糸の様な髪を耳に掛け、秘密の内緒話とでも言うようにこう続けた。
「だから、これは私達だけの秘密。
私達が戻るまで・・・どうか守り抜いて。」
古くより「王の玉座」「光輝く指輪」「水晶の首飾り」の三種は、ソルハイムの歴史と魂が込められた物として、ソルハイムの「三種の神器」と崇められ。
それら玉座・指輪・首飾りには、神と歴代王の力が宿っており、三つ同じ場に揃ってこそ真価を発揮する・・・とされていた。
この伝承を 物語を 守り抜いて 語り継いで、
偽りの「物語」で 塗り替え 書き換え られないように。
・・・イオスの世界が 忘れてしまわない ように。
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