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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《新約 48》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【『ルシスの禁忌』とは (ソルハイム移住計画~海の民)】

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【『ルシスの禁忌』とは (ソルハイム移住計画~海の民)】
 正直、アーデンが何を考えているかは、対の娘であるエイラであっても分からない。
 正確には「彼はいつだって民の事を考えている」のは分かるのだけれど。
 単純な知識量の違いだけでは無い・・・どこか視点が違うと言うか、その「民の為」に必要な知識や行動は突拍子も無さ過ぎて、
「ソルハイムからの移住に、海を渡るなど・・・!」
 アーデンが夢島へ渡る方法として「海を歩いて渡る」と宣言した時に「海を歩いて渡るなど・・・無茶が過ぎます!」と異を唱えた若い従者は、今回もまた驚きの声を上げた。

 話は遡って、数週間前。

「然るべき場所に身を隠して頂き。
 表向きには、アーデン様は亡くなったと発表する。」
 件の男は「実際に命を奪う事までは考えていない」と言っていたけれど、王に選ばれなかったアーデンは存在する事すら許されない。きっとその「偽りの死」すら、幼いソムヌスを王たらしめる為に利用するつもりだろう。
 差し詰め「悪神と共に闇に堕ちた兄を、多くの民を守る為に自らの手で葬った幼き初代王」と言った所か・・・なるほど邪魔なアーデンを排しつつ、幼さ故に王としての実力に乏しいソムヌスに箔をつけるには、お誂え向きの建国神話と成り得るだろう。
 皆を守る為に、彼は涙ながらに尊敬する兄を討った。
 そうまでして、皆を守ろうとしたのだと。
 そしてアーデンもその想いを汲み、弟の手で葬られる事を選んだのだと。
 こうしてこの国は守られた・・・幼いソムヌスに、そんな誰もが同情し涙する様な美しい物語を背負わせて。

 勿論そんな事、許せる筈が無い。許せる筈が無いのだけれど・・・今のままでは打つ手も無く、状況は益々不利になってくばかりで。
 どうすれば、この状況を打破する事が出来るか?
 その唯一の方法として、エイラは「ソルハイムからの移住計画」・・・つまり祖国に残してきた、アーデンを王と慕うソルハイムの民らをこの島に呼び寄せる事が出来れば、この今現在の圧倒的数的不利を覆せるのではと考え、
「そろそろソルハイムからの移住計画を、
 本格的に考えてはどうかしら?
 彼らが来てくれれば、私達も心強いと思うの。」
 と、その日の会合の場で議題に挙げた・・・自身の本心も、件の男の話も伏せたまま。

 アーデン達の本来の目的は、ソルハイムからの移住計画「寒冷化により居住に適さなくなった現ソルハイム王国から、住み良い土地に移住する為の新天地探し」で。祖国に残してきたソルハイムの民をこの夢島に迎え入れ、初めて宿願達成と言える。なので、この新天地・夢島を見付けて終わり・・・にする訳には行かない。
 だからこれは何も「この様な状況に陥ったから」と言う訳では無い、始めから成すべき計画だったので。唐突な提案ではあったけれど、その議題自体は極自然に受け入れられた。
 が、受け入れられはしたけれど唐突な提案だけに、具体的にどうすれば良いのか・・・直ぐに良い案など出せる筈も無く、従者達は押し黙ってしまった。
 ソルハイムからの移住計画の場合。アーデン一行の旅とは違って既に目的地が定まっているし、人助けの為に足止めを食らう事も無い・・・にしても、徒歩での移動ともなれば月~年単位の月日を覚悟しなければならないだろうし。
 西の大陸から東の大陸への航路や、行く先々での食料調達や野営設備の事を考えれば、一度に全員は無理と言わざるを得ない。残る者達の生活が先細っていくのは心配要素ではあったけれど、現実的に考えて数回に分けての移住計画となるだろう。
 何にせよ、それなりの人数を世界地図の西端から東端まで移動させようと言うのだから・・・大事業になるのは間違いない。
 そして何より問題なのが、その移住計画に回す人員を確保出来るかと言う事。
 何故ならソルハイムからの移住計画なんて、この島の大多数を占める現地の人達にすれば関係無い事・・・寧ろ彼らにとっての「他所者」を受け入れる手伝いなんて、したくなくて当然だし。
 従者達はソルハイムを発った時から一時も忘れる事無く、新天地への移住を望んで来た。それを目的にここまで旅して来たのだから。でも今の彼らはアーデンを守るのに手いっぱいで、そちらに人員を割く事も出来ない。だから・・・、
「ソルハイムからの移住計画は、我らが宿願。
 必ずや成し遂げるべきと心得ておりますが。
 現状、アーデン様の警護と平行してとなると、
 我々だけでは・・・、」
「でも、このまま様子を見たところで、
 私達に協力してくれる者が増えるかしら?」
「それは・・・そうですが。」
 エイラが言う事は尤もだったけれど・・・従者達を悩ませるのは、移住計画に回せる人数だけの話では無かった。
 そもそもの話。自分達ですら楽な旅では無かったソルハイムからこの地までの移動が、老若男女入り混じった集団で可能なのだろうか?本当にそれは夢物語ではない、現実的な話なのだろうか?
 ソルハイムの民らの為、新天地への移住を目指し旅を続けてきた。
 それは揺るがない事実で、今だってそれを願っている。
 願っているけど・・・気が付けば、主に導かれるまま世界の端。自分達は遠くまで来過ぎてしまった。
 でもそれは当然、アーデンという導き手あっての事で。
 自分達は疑う事無く、彼に付いて行けば良かったからで。
 アーデンの導き無しに、多くの民をこの地まで移動させるなど・・・どうすれば良いのか?
「ソルハイムから此処までの道案内の他、
 長い道中、旅を補佐する者。
 それに賊などから守る護衛も必要でしょう。
 しかしその人数は、
 一度に移動させる人数が決まらない事には・・・、」
 決められないでしょう・・・そう続けようとしたところで、
「・・・え?」
「・・・・・・え?」
 不思議そうな声を漏らしたのは、従者達のやり取りを見守っていたアーデンで。
 その不思議そうな主の声に、その場に居た者達は皆、不思議そうな視線を寄こしてしまい。
 従者達の不思議そうな視線を受けたアーデンは目をパチクリさせ、一転「う~ん」と首を傾げると、
「いや・・・まだ確認待ちだから。
 その話、報告が来るまで待ってもらって良いかな?」
 皆が外で仕事してくれてる間、私も部屋で出来る事をと思って色々考えてみたんだ。
 ・・・外に出してもらえない事を、皮肉っている訳では無いのだろう。そう言って微笑むアーデンは、何時もと変わらぬアーデンで。
 まさか自分達の知らぬところで、そんな計画を立てているなんて・・・やはり彼の考える事は、長く付き従ってきた従者達でさえ想像もつかないものだった。

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 それが数週間前の出来事で。
 話は冒頭の「ソルハイムからの移住に、海を渡るなど・・・!」に、戻る。

 数週間前に自身が言っていた「確認待ち」の報告を受け、従者達に告げられたアーデンの「ソルハイムからの移住計画」は、こうだった。

 ソルハイム王国がスカープ地方にあった時代。人口増加に対する国策として、対岸の東の大陸に渡って行った同胞達・・・との関係が良好であった時ですら、王が主神・炎神イフリートが住まうラバティオ火山を訪れる事が無かった事からも分かるように。古来よりソルハイムの王は、玉座が据えられた「時の王都」から離れる事は無かった。
 なのでアーデン自身も、現・ソルハイム王国の領土から出るのは初めての事だった、けど。
 スカープ地方からの移住はソルハイム王国からの独立では無く、人口増加に対する版図拡大が目的だったので。開拓された土地・・・具体的にはソルハイムの一部となった4つの地域の情報は、全てソルハイム本国に報告され。既にその時代には、各地域の情報・位置関係を纏めた結果の「世界地図」に近いモノが出来上がっていた。
 だからアーデンは現・ソルハイム王国の領土から出るのは初めてだったけど、東の大陸が全くの未知の土地だった訳では無く・・・その「世界地図」で把握できる程度には、世界の全体像を理解していて。
 東の大陸に渡ってからは、現地の人々から情報を聞き修正を加え。その旅の中で「古の世界地図」は、より正確・精度の高い「現代の世界地図」へと改良されていった。

 その歴史と知識が詰まった世界地図を、皆が囲む大きな机の上に広げ。従者達が注目する中、アーデンは指差しながらこう言った。
「ソルハイム王国のあるウェルエタム地方がココで、
 今、私達が居る島がココ。
 つまり海を挟んで、斜め隣同士なんだよ。
 だから陸路より、航路の方が近いんじゃないかな・・・って。」
「・・・・・・・・・?」
 ウェルエタム地方は世界地図の西端、そしてこの夢島は東端・・・どう見ても「斜め隣同士」では無い位置関係に「どこがですか?」とも言えず、従者達は沈黙するしかなかった。
 が・・・残念ながらアーデンは、その沈黙の意味を察する事が出来ないので。
 理解出来ない事に対するフォローではなく、あくまでも自分のペースを崩さず話を進めて行く。広げていた世界地図の左端と右端を合わせ、筒状に丸めた状態のソレを指し示しながら、
「ほら・・・こうしたら、ね?」
 土地柄ソルハイム王国は、ラバティオ火山の噴火による世界的寒冷化以前から極寒の地だったので。生きていく為の知恵として、季節や日照時間を知る方法「天文学」が発展していた。
 なので「月を見れば、イオスの星が球体だという事は分かる」・・・それはソルハイムの民にすれば、子供でも知っている常識であったし。
 それだけ重視されているのだから、それぞれ専門職を与る「王剣の一族」には天文学を専門とする一族も含まれており。今回の旅にも、その一族の代表が同行していた。天文学に関してならアーデンより彼の方が詳しい筈だった・・・なのに。
 北と南だったら、そうはならないんだけどね・・・何でもない事のように笑いながら言うアーデンに対し。
 彼は天文学を専門としているにも関わらず「イオスの星が球体なら、世界地図の左端と右端は繋がる」なんて。アーデンの話を聞くまで考えた事も無かった。

 知識と知識を結び付け、新たなビジョンを描く。
 こんな時、本当に・・・主の視点はどこにあるのだろうと、思わずにはいられない。

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 終始置いてけぼりの従者達を他所に、話を続けると・・・。
「アーデン様は、いつから気付いておられたのですか?
 ソルハイムとこの島が、海を挟んで隣り・・・と言う事に。」
「・・・え?
 最初から・・・だって地図を見れば、分かるでしょ?」
 世界の果てを目指せば、始まりに戻ってくる・・・それが分かっていたからこそ、ここまで来れたんだ。いや、変に中途半端な場所に土地見付からなくて良かったよねぇ。
 でも元は古い時代の世界地図だし、実際の海がどんな感じか分からなかったから。
 地元の漁師さん達に調べに行ってもらって、その報告を待ってたんだ。
 つまり最初から「ソルハイム王国のあるウェルエタム地方とこの島が、海を挟んで斜め隣同士」である事を知っていたアーデンは、実際に海を渡ってウェルエタム地方に行く事が可能かどうか、操船のプロである漁師達に調査を依頼。この数週間、その報告を待っていた。
 そして戻って来た彼らからその報告を聞き、総合的に考えて「移動方法は陸路より航路の方が適している」と判断した・・・詳しい説明はなかったけれど、そういう事らしい。なので、
「ソルハイムからの移住に、海を渡るなど・・・!」
 詳しい説明も無くそんな事を言われれば、何も知らない若い従者が咄嗟にそう言ってしまうのも仕方が無い事だった。

 ・・・けれど。よくよく考えれば、距離的にも近く、食料も確保でき、安全な船旅が保証出来るなら。世界の西端から東端まで長い道中を、老若男女自力で歩かせるより楽な旅だろう。荷物も持たず、船に任せるまま乗っていれば良いのだから。
 それに船単位の案内人や、世話役、護衛の人数も少なくて済むだろうし・・・人手不足に悩む従者達にとっては当に渡りに船、と言えた。
 ただ気になる事があるとすれば・・・、
「漁師の協力なんて、よく取り付けられましたね。」
 漁師達と言えば、夢島に渡る前・・・つまり旅も最後になって合流した者達で。それこそアーデンに対する理解が乏しく「こいつのせいで、自分達はこんな苦しい生活を強いられているんだ!」と、声高に凶弾するような悪感情強い者達だと思い込んでいた。 
 そんな従者達にすれば、彼らがアーデンの要請を受け、遠くソルハイムまでの航路を確認に行ってくれた・・・と言う事にも、その内容にも不信感を抱かずにはいられない。
 勿論、勝手な先入観で決めつけるべきではない・・・とは分かっている。
 分かっているけれど・・・海上に出てしまえば、彼らに命を預けるも同然で。
 果たして東の大陸の彼らの言う事を、信じて大丈夫なのだろうか・・・と。
 大事なソルハイムの同胞達の命を預ける事になる以上、良くない事だと分かっていても必要以上に疑い深くなってしまう。

 しかしそれに関しては、結論から言えば杞憂に終わった。
 と言うのも、アーデンが調査を依頼したのは「この辺りに詳しい者を探すよう従者達に指示を出し、彼らが捜し出し連れて来た」夢島への伝承を教えてくれた、あの時の老人で。
 その老人は、突如やって来た素性の知れない従者達の「この辺りに詳しい者は誰か?」という呼び掛けに対し、周囲の人間達から「〇〇のじいさんなら、なんとか収めてくれるだろう」と信頼され、推挙された人物・・・つまり、地位としての「権力者」かどうかは別にしても、その地域の者達に一目置かれている、実際に人を動かせる力・人望を持っている人物だった。
 なのでその老人がアーデンからの調査依頼を引き受けた時点で、彼の影響力が及ぶ範囲の者達・・・多くの漁師達が彼の説得に応じ、協力してくれる事となった。
 とは言え勿論、始めは彼らもアーデンを「こいつのせいで、自分達はこんな苦しい生活を強いられているんだ!」と・・・口には出せなくても、心の内では思っていた。
 そんな彼らがアーデンを信じた理由・・・それはアーデンが彼らを信じたから。
 アーデンは自分達ですら事実か作り話かも分からないような伝承を信じ、その奇跡を起こして見せた。自分達が先祖代々継承して来た伝承は、子供騙しの与太話では無かった・・・自分達は「真実」を守って来たのだと証明してくれた。
『島への道を開く事が出来たのは、
 貴方方が伝承を蔑ろにせず、
 大事に語り継いでくれていたお陰です。』
 有難う・・・と。穏やかな笑みを浮かべ、両の手を取り、そんな風に言われれば、
『こいつのせいで、自分達はこんな苦しい生活を強いられているんだ!』
 目の前の人物が、諸悪の根源だなんて・・・そんな風に思える訳無かった。

 我らが継承してきた伝承を「真実」とした・・・それは当に神の奇跡で。
 それを成し遂げた彼こそ、神の御遣い。
 否、神に違いない・・・と、件の老人はそう信じ、仲間達にもそう説き。

 これは我らにしか成し得ない、神から与えられた尊い役儀。
 我らを信じて下さった神に、その想いに報いる為。
 その大義、必ずや成し遂げて見せよう・・・老人の言葉に心を動かされた多くの漁師達が、アーデンの力になろうと決意した。

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 こうして暗礁に乗り上げていたソルハイムからの移住計画は、アーデンの単独行動により漁師達の協力を得られた事で「陸路ではなく、航路での移動」に、舵を切る事となった。
 とは言え従者達にすれば、ソルハイムは海洋学には縁遠い故に「航路での移動」は未知過ぎて、どうしても不安が拭えない・・・けれど。こうなったら主と、彼らの主への想いを信じるしかない。
 主を信じるのは、彼らにとっては当然の事で。
 主を信じると言うのなら、それは正しく「自分達と想いを同じくする同胞」なのだから。

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