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落書き帳の10ページ目

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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《新約 45》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【『ルシスの禁忌』とは (伝承とお伽話~建国宣言)】

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【『ルシスの禁忌』とは (伝承とお伽話~建国宣言)】
 遥か昔。ソルハイム王国が、西の大陸・スカープ地方にあった頃。
 安定した国故の、人口増加に対応する為。国策として、新たなソルハイムの地を求める者達が、東の大陸へと渡り。ラバティオ火山の麓・クレイン地方を足掛かりに、その版図を広げていった。
 つまり東の大陸に渡って行った者達は、ソルハイム王国を追われた訳でも、自らの国を建てる為に出て行った訳でも無く。ソルハイムの民が住む国土を広げる為、豊かな土地を求め旅立っていった・・・という事。
 その経緯を考えれば、このようなソルハイムから遠く離れた、東の大陸の東端に定住する事を選んだのは「自分の領地を持ちたいという思いから、未開の地を進んだ者」か。
 或いは「既にある集団の中で生活する事が困難で、未踏の地へと逃れなければならなかった者達」だろうと、想像出来た。
 勿論、想像の話なので。それが何時頃の話かまでは、断言出来ないけれど。
 人の居ない地を求めた結果がココだと言うのなら、それは移住開始より何十年何百年も後の話で。この大陸にも多くの人々が生活し、それなりのコミュニティーが形成され。その中で「出て行く事を選んだ」「出て行かざるを得なかった」者達が出てきたのではないか、と。

 だとすれば、この地に辿り着いたアーデン達がそうであってように。
 海を挟んだ向こう・・・緑生い茂る豊かで広大な「島」は、彼らにとても魅力的に映っただろう。
 それこそ「何としても、あの島に渡りたい」と、願う程に。

 だから彼らは舟を組み、対岸より島へ渡ろうと考えた。
 とは言え、付け焼き刃の見様見真似で造れる舟など、高が知れていて。彼ら自身、舟の出来には不安があったからこそ、島への最短距離を針路に取った。実際、見た目に距離も無い・・・何なら「この距離なら、泳いで渡れるのでは?」とすら思える距離だったから。
 この様に、海に縁遠い内陸から流れ着いてきた者達は、海を甘く見た結果。
 ある者は舟が海流に耐えられず瓦解し、ある者は舟ごと潮に流され、ある者は海面下の見えない岩場に櫂を捕らわれ・・・と。無謀にも島を目指し、命を落とす者が絶えなかった。

 なので、先にこの地に辿り着き定住していた者達は、先祖より伝わる「月と日の引き潮が重なり、南からの強風が吹き荒れる時。水神リヴァイアサンの背・・・島への道が現れる」という伝承を用い、

 海向こうの島は、古来より「夢島」と言われ。全てが満たされた「夢のような島」で、どのような「夢」も叶う・・・まさに理想郷のような場所だと信じられてきた。
 しかし人間達の欲に、神が見切りをつけたのか?
 ある時を境に、島に渡る道は海に飲まれ、島に渡る事は叶わなくなった。
 なので人々は、道が無いのなら船で渡ろうと考えたが・・・船を出せば、まるで島への上陸を拒む様な大波に飲まれ。
 結局、神に見放された欲深い人間達が、あの島に辿り着ける事は二度と無く。何時の頃からか、
「人間が立ち入るべきでは無い。
 神に認められし者しか許されぬ地・・・そう言われるようになった。」
「果たして貴方が、神が認めるに相応しい心をお持ちか?
 ・・・今一度、自分自身に問うて御覧なさい。」
 無謀な開拓者達に、そう言い聞かせるようになった・・・これがあの老人が話してくれた、お伽話が生まれた経緯。

 実際にそういう出来事があって、そういう話が出来たんじゃなくて。
 そういう出来事が起きないよう、そういう話が出来たんだ・・・戒めとしてね。
 だけど長い長い時の中で「その話が出来た経緯」なんて、忘れ去られちゃって。
 その話の内容だけが、その時々で都合良く解釈され。
 意図しない意味を伴って、後世に語り継がれていった結果。
 何が真実で、何が脚色で、何が解釈違いかなんて、誰にも分からなくなっちゃった。
 世の中なんて、そんな話だらけだよ・・・きっとね。

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 実際どのような島かも分からない段階で、大陸に残してきた者達を迎え入れる訳にはいかないので。安全確認の為、夢島に渡ってから数日掛け、島内を調査してみた結果。
 その様な伝承に守られていたお陰か、夢島はまさに全てが満たされた「夢のような島」・・・自然のままに生い茂る草木は、雪原の大陸に生まれ育った一行にすれば雑多に思える程で。
 それらに集まる虫を食料とする小動物。
 更にそれらを狙う中型動物。
 嘗て陸繫がりだった頃に渡り、そのまま繁殖・生息しているのか。種類は多くはないものの、一定種の大型動物も見受けられた。このような隔離された島で、遠い昔に渡った大型動物が生存し続けているという事は、この島内での食物連鎖の仕組みが安定していたという事だろう。もし自然災害や何らかのトラブルによって生態系のどこかが欠けてしまえば、大型動物なんて生きながらえる事が出来ないのだから。
 そしてそれは、人間にとっても住みよい環境である・・・と言う事。人間と個々の動物では適応力に差はあれど。これだけの多種多様な動植物たちが生きているという事は、人間だって生きて行く事くらいは出来るだろう。
 生きて行く事さえできれば、人間には炎神イフリートより授かった知恵がある。きっと自分達が得て来た知恵や技術があれば、新たな地に再び王国を築き上げる事だって不可能では無い。
「随分、遠くまで来てしまったけれど。
 この地なら寒さに脅えず、皆が心穏やかに暮らせる筈だ。
 ここまでの移住には、年単位の時間が掛かるだろうが。
 ソルハイムの未来を思えば、今が決断すべき時だと私は考える。」
 どんなに生きて行くに困難な環境であっても、生まれ育った土地。当然、今の土地を離れたくない者達もいるだろう。
 しかし実際、数世代前の祖先達は「炎神の神託」を信じ、ラバティオ火山の対岸・スカープ地方から、大陸でも最も離れたウェルエタム地方へと王都を移した。今の自分達より知識も技術も乏しかったに違いないにも関わらず、それでも「生き延びる為」と心を奮い立たせて。
 その結果。ウェルエタム地方へと逃れていたソルハイム王国は「炎神の裁き」・・・ラバティオ火山の大噴火による被害から免れた。
 ラバティオ火山を望む炎神の祭壇より、その噴火の様を・・・その被害を目の当たりにした剣神の巫の記録によると、

 もし我々の祖先が「炎神イフリートの神託」を蔑ろにし、
 スカープ地方に留まり続けて居たら。
 ソルハイム王国は滅亡していたでしょう。

 ラバティオ火山の噴火に誘発された海底火山が噴火し、海は荒れ狂い。
 噴火による火砕流に大地は飲まれ、ひび割れ、陥没崩落し。
 火山口から噴き出す噴煙により大気は乱れ、幾重もの激しい稲光が空を走った。

 もしもあの時、時の民らが「故郷を捨てるなど、出来る筈が無い!」と反対し。時の王が「そのような大事業は、民意が得られない」と断念していれば・・・ソルハイム王国はスカープ地方で滅んでいた。
 それを覆した遠い先祖の決断が、今の自分達に繋がっているのだと。
 ソルハイム王国が歩んできた歴史が、それを証明しているのなら。
 安定した国の在り方、後に続く子々孫々の事を思えば。未来永劫、寒さや飢餓に脅える事の無い・・・全てが満たされた「夢のような島」への移住は、自分達にとっては受け入れがたい事であっても、未来の為に今の自分達が成し遂げるべき困難だろう。
 そして「王」の役目は、民にそう決断してもらえるよう行動をもって示す・・・人々の先頭に立ち導く事。
 自分を信じ、付いて来てくれた民の為に。
 例えそれがどんなに困難な道であっても、決して立ち止まる事無く歩み続ける事。
「まずは人々の生活が先・・・生活基盤を整えるのが先だけど。
 皆の知恵と力があれば、成し遂げられると信じている。
 今一度、全てのソルハイムの民が心穏やかに暮らせる国・・・、
 この地に、新たなソルハイム王国を打ち建てよう。」
「玉座にて王が宣言された地・・・そこが我らの国。
 遠くない未来に、それも成し得ましょう。
 皆がここまで玉座を運んで下さったお陰です。有難う。」
 漸く悲願が果たされるのだと、アーデンとエイラの言葉に涙が溢れる。
 この長い長い道のりを「石の玉座」を担いで旅して来た事は・・・自分達の苦労は無駄ではなかったのだと。それらの日々は、確かに国の王の神の為になったのだと。

 しかしだからと言って・・・否、だからこそ悠長に腰を落ち着けている場合では無い。
 国とは、そこに生きる民が居るからこそ国なのであって。
 その国を治める王とは、そこに生きる民を守り導く責を負う者。
 だから民の信を得て「この方なら」と認められた者でなければ、真に王とは言えず。
 また建国宣言は、民に認められた王により、然るべき場所で民に向けて行われてこそ、その意味を持つのであって。ただ「石の玉座」に座って宣言すれば良いという事では無い。
 それに直近の問題として、対岸に待たせている数百の者達を迎え入れる手筈も整えねばならないので。国としての体裁が整い、新たなソルハイム王国の建国を宣言出来るのは、もう少し先の事となるだろう。
 その「もう少し先」を、少しでも早める為にも、
「兄上!
 対岸に向けて、合図を出しましょう。
 きっと皆さんも、今か今かとお待ちですよ!」
「そうだね。
 それに、この様な島の状況だ。
 何をするにも、人手があるに越した事は無い。
 彼らの力を借りる事が出来れば、作業も円滑に捗るだろう。」
 残念ながら、アーデン一行が渡った「希望の道」は、数時間で海面に沈んでしまったので。彼らがこの島に渡るには、別の方法を考えなければならない。
 が・・・その辺りは心配しなくても、この辺りに定住していた人々は伝承を信じ「神の怒りを恐れて、島への海域(=神域)を避けていた」だけで。生きる糧となる海産物を得る為にと、神域以外での漁には出ていた。なので当然、操船や造船の技術自体は持ち合わせていたし。
 そんな海を知る彼らが、丘の上から「海が割れる」様子を見ていれば。島への最短距離(=神域)を行こうとするから、浅瀬や岩礁に引っ掛かるのであって。例え大回りになってでも、そのような危険水域を迂回して進めば「船での着岸は可能」だと理解出来ただろう。だから彼らが島に渡る方法は、彼らに任せておけば間違いない。

 こうして一度は各地に渡り、道を違えたソルハイムの民らだったけれど。
 新たな国の為、今一度、同じ「夢」に向かって同じ道を歩む事になったんだ。
 全てが満たされた「夢のような島」で、どのような「夢」も叶う・・・まさに理想郷のような場所で「夢見る事」を夢見てね。
 でも「全ての人の夢が叶う」・・・それを「叶える」なんて事、本当に出来るのかな?

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 アーデン一行が夢島に渡り。その後を追って、多くの希望者達も島へとやって来てから約一年。
 島で賄える資材の種類は限られていて。島外から持ち込むには船での輸送頼みとなるので、これまた多くを用意する事は出来なかったけど。
 様々な地域から集まった老若男女の知恵と技術は大したもので。建築、狩猟、医療に教育から、日々の料理や賄い、針仕事まで。それぞれ得意分野とする者を指導役に置き、組単位で動かす事で、作業効率だけでなく個々の知識技術も向上し。
 一年も経てば「一人一人が、その道の職人」と言って良い程の、知識や技術を身に付けるに至っていた。その上達具合は、共に仕事に当たる仲間として頼もしい事、この上ない。
 正直な所。始め「王剣の一族」の者達は、得意な役割・職種では無く、同じ集落や近い地域の者達で組みを構成する方が良いのではないかと考えた。同じ物事を得意にしているとは言っても、異なる地域の者同士で同じ物事に対応するのは、生活文化・思想的に難しいのではないかと思ったから。
 しかし、今の仕組みを推したのはアーデンだった。曰く、
「離れていたソルハイムの同胞が、
 再びこの地に集った・・・それだけの事だ。
 きっと皆、同じ未来に向かって歩んで行けるさ。」と。
 確かにイオスの世界の人間は、全てソルハイムに繋がるので。離れていたソルハイムの同胞が、再びこの地に集っただけ・・・というアーデンの言は、理想が過ぎる様にも思えるが正しく。
 加え、現実的な話。これからは同じ国・・・新生ソルハイム王国の民として、共に生き暮らして行く事になるのなら。民らの結束を強める為にも、国にとって一番最初の「国を建ち上げる」という一大行事を、既存の関係に捕らわれず皆で成し遂げる。そう言った共通の経験・成果を持たせておく事は、後の国家形成の為にもなると思えた。
 尤も、主がどこまで見据えていたかは、従者達には分からなかったけれど。
 何なら王は本当に「同じソルハイムの民なのだから」と、信じていただけかもしれないけど。

 この様にアーデンは「同じソルハイムの民なのだから」という言葉をよく用いたが。その言葉ほど、古来より王に忠誠を捧げて来た・・・それを誇りとして来た「王剣の一族」の者達の心を搔き乱す言葉は無かった。
 彼らの祖先が東の大陸へと渡って行ったのは、人口増加に対応する為の国策。その様な、やむを得ない事情があったからだとしても。
 後の彼らが王の許し無くラバティオ火山に踏み入り、ソルハイムの主神・炎神イフリートを蔑ろにし。
 剰え、王よりの「炎神の神託」を携えた使者の命を奪い、神託を無視した結果。
 炎神の裁き・・・ラバティオ火山は火を吹き、海は大地を襲い、大地は隆起し、空には雷が走った。世界規模の自然災害に見舞われ、イオスの世界は荒廃の一途を辿って行った。
 それもこれも「私利私欲に走り人間同士で争い、剣を人殺しの道具とした人間達に対する炎神イフリートの粛清は、彼らが受けるべき当然の報い」だと。
 このような事態になったのは、我らが王を神を国を裏切った、嘗ての同胞らのせいだと・・・そう言い聞かされ、結論付けていた彼らにとって。
 確かにこの旅の中で、彼らに対する考え方は幾分か改まった・・・それでも「王を王とも思えない」者達と、自分達とが「同じソルハイムの民」と一括りにされるのは、正直心穏やかでは居られなかった。

 それでも王の心に添う為に、彼らを許そうと思った。
 少なくとも、王と共にここまで歩んできた者達は、自分達と同じ。王を慕い信じる「同じソルハイムの民」なのだと。
 きっと彼らとなら、我らが王・アーデンの下「同じソルハイムの民」として。
 新たな国「新生ソルハイム王国」を興し、同じ未来を見据え、共に生きて行けるに違いないと・・・そう自分自身に言い聞かせて。

 王の為に、彼らを許そうと、そう自分自身に言い聞かせてきたのに。

 建国宣言の日。神殿として建てられた石造りの建物に、ソルハイム王国から運んできた「石の玉座」は据えられ。
 その玉座の眼前・・・神殿の前の広場には、この島の住人全てが集められていた。
 この玉座にアーデンが座し、民らを前に「新生ソルハイム王国」の建国を宣言すれば。
 彼らの悲願は果される・・・筈だったのに。
 玉座の前に立つアーデンの姿に、集められた島民達は騒めき出した。
 王が建国を宣言される、記念すべき瞬間だ。それも致し方あるまい・・・側に控えていた「王剣の一族」の者達や。東の大陸に渡って以降、アーデンに対する恩義から同行して来た者達・・・アーデン達の信頼を得て「王剣の一族」では無いけれど、アーデンに近い位置に取り立てられていた者達は、始めそう思っていた。
 しかし彼らの様子から窺えるのは「喜び」や「期待」「歓迎」と言った、前向きな感情では無く、今の状況に対する「疑問」の表情で。
 どういう事だ・・・壇上の臣下達はそれこそ「疑問」に思いつつも、場を鎮めようと進行役を務める従者に目配せをした。
 その時・・・思わぬ者から「疑問」の答えが齎された。
「ねぇ、王様はソムヌス様じゃないの?」
 それは無邪気な子供の声だったが・・・数百人が集まる広場に、やけに大きく響いた。
 そしてその「何気ない子供の言葉」に、ざわついていた広場が静まり返る。
 彼らが何故、玉座の前に立つアーデンを見て疑問に思っていたのか・・・答えは明白だった。
「何を言うか・・・。
 この新生ソルハイム王国の王は、アーデン様である。」
 子供の言う事だ、感情的になる事では無い・・・そう言い聞かせ、努めて平静を装い答えを返すも。
 ・・・ソムヌスが王だと?何故、その様な話になる?
 アーデンに近い人間程、内心とても平静でいられる心境では無かった。
 しかし、そんな彼らの心境などお構いなしに「新生ソルハイム王国の王は、アーデン様である」この発言に、再び場は先ほど以上に騒めいた。
 ソムヌスが王だと信じていたのは、先ほどの子供だけでは無かったと・・・全員では無いものの、多くの人間がそう信じていたのだと思い知らされる。
 彼らのそんな考えを、ざわめきを振り払いたくて、
「・・・静まれ!
 古来よりソルハイム王国の王は、
 炎神イフリートの現人神より、脈々と継承されし尊い血統。
 チェラム王家の、アーデン様と決まっている!」
 この様な王に対する侮辱、許せる筈が無い・・・居ても立っても居られず、若い従者の一人が声を荒げた。
 しかしそれは・・・逆効果となった。
 彼が声を荒げた事が、では無く。
 その内容が、東の大陸の者達の忌まわしい「想い出・記憶」を、引き出してしまった。
「炎神イフリートじゃと・・・?!
 儂のじいさんから聞いた事がある。
 ソイツはワシ等の土地や家族を奪った、悪神ではないか?!」
「じゃあ、私達がこんな苦しい思いをしているのは、
 その神様のせい・・・って事?」
「なんだって?!
 その様な神を掲げるなど・・・そんな事、認められるか!」
「そうだ、思い出したぞ!
 ソルハイム王国・・・炎神イフリートを主神と崇める国。
 過去の文献に、そう書かれておった。」
「悪い神様なの?
 僕、悪い神様の国の子供になるの・・・?」
 そんなの嫌だよ・・・幼い子供が愚図り泣く声、大人たちのヒステリックな叫び声、物知り然とした老人の知ったような物言い。
 一方的に浴びせられる言葉の数々に、広場は最早、建国宣言どころではない。
「静まれ、静まれっ!
 今日はこれにて解散とする。
 各自、自分の持ち場に戻るように・・・!」
 騒いでいるのは広場でも後ろの方に立っていた者達・・・その場が示すように、立場的にも中央から遠い立場の者がほとんどで。
 逆に広場でも前の方に立っていた者達は、アーデン達に比較的近い立場にある各組の指導者達だったので。各自それぞれ納得具合に差こそあれ、壇上から出された指示には従い。
 暴徒と化す寸前の群衆は、そんな指導者に対しても不平不満をぶつけながら、渋々持ち場に連れ帰られて行った。

「・・・アーデン様。」
 王が見据えるのは、先ほどまでの喧騒が嘘のような静まり返った広場。
 彼は最初から身動ぎもせず、真っすぐ前を見据えていた・・・まるで「全ての真実」を、その目に焼き付けるように。どの様な事であっても「全ての真実」から、目を背けてはならないとでも言うように。
 そんな主の瞳が、裏切られた悲しみに染まっていなければ良いが・・・と願った。
 それと同時に、やはり彼らと思いを共有する事など出来ないのだと、怒り或いは失望に揺れていればと・・・願ってしまった。
 王・アーデンは、ソルハイム王国は、やはりソルハイムの民の為のモノであると・・・アーデン自身に、そう思って欲しかった。
 しかし従者の呼び掛けに振り返った王の瞳は、まるで何もなかったように・・・いつもと変わらず凪いで居て、
「物事には必ず理由がある筈だ。
 まずは彼らの話を、取り纏めて欲しい。
 どうすべきかは、それを聞いてから考えよう。」
 やはり王は人では無いのではと・・・思わずにはいられない。
 従者達の迷いが晴れぬ中、アーデンは誰よりも彼らを信じていた。それなのにこんな酷い仕打ち、このような状況に置かれ、何故その様に平静でいられるのかと。

 何時だって従者達は「王の心に添う」・・・彼の心を知りたいと願っていた。
 しかし、そのような考えこそが烏滸がましいと、今回の出来事で思い知らされた。
 王の心を窺い知るなど・・・高が人間に過ぎない自分達に出来る筈も無いのだと。
 だって王は何時だって、神の視点で世界を・・・人間達を見ているのだから。

 夢島には、旅の道中で付いて来た、様々な地域の老若男女が集まった。
 同じ東の大陸でも西端から東端ともなれば、生活様式や学術文化の伝播には格差があって。
 同じソルハイムの血で繋がっていても、長い長い年月を経る中で突然変異や劣勢因子が表に出た事で、見た目に異なる容姿を持つ集団も現れた。
 つまり「同じソルハイムの民」とは言っても、実際は随分と異なっていた・・・独自の発展を遂げていたんだけど。
 でもね、唯一変わらなかったモノがある・・・それが「言語」だった。
 多少の訛りや揺れはあったけど「言語」が同じ・・・彼らは「ソルハイムの公用語」を忘れていなかった、失っていなかった。
 だから一緒にやっていく為に一番大切な、コミュニケーションに困る事は無かったんだ。
 本当、神サマに「言語」を取り上げられなくって良かったよね・・・当たり前すぎて、皆何とも思ってなかったかもしれないけど。

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