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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《新約 44》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【『ルシスの禁忌』とは (東の果て~奇跡の道)】

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【『ルシスの禁忌』とは (東の果て~奇跡の道)】
 新たなソルハイムの地を求め・・・また、世界に散らばった同胞達を案じて旅立ったアーデン一行は、想定外の出来事に時間を取られながらも着々と歩みを進め、
「ここが・・・この大陸の果て?」
 西の大陸の西端・ウェルエタム地方のソルハイム王国より出発し。
 東の海を越え、日出ずる地を目指し・・・そして今、東の果ての地に辿り着いた。

 東の大陸を旅して分かった事は、自然災害による被害は、原因とされるラバティオ火山に近い程甚大で、離れる程に噴火そのものによる被害は軽微ではあった。
 けれどラバティオ火山から遠く離れたソルハイム王国ですら「火山の冬」・・・世界的寒冷化の影響を受けたように。どこの土地も人々も、自然災害の影響に苦しみ喘いでいて。
 それこそアーデン達が新たな地を求めたように、同じ大陸内でも被害が大きかった地域の人間達が、比較的被害の少なかった地方に流入するなどしていたので。

 西の大陸の西端から、東の大陸の東端へ。
 ここまで旅をしても、新たなソルハイムの地と成り得る土地・・・彼らを受け入れてくれる豊かな地など、見付ける事は出来なかった。

 ここで旅はおしまい・・・誰もがそう思った。
 だって小高い丘から見渡した所で、この先、道などないのだから。

 しかし海向こうを眺めていたアーデンは、この辺りに詳しい者を探すよう従者達に指示を出し。彼らが捜し出し連れて来た老人に、こう問い掛けた。
「あの島に渡る方法は、無いのだろうか?」と。
 アーデンが指さす先には、島と言うには大きい・・・現・ソルハイム王国の国土と比べても十分な大きさの、緑豊かな陸地が横たわっていた。
 すると、アーデンが言わんとする事が分かったのか。老人は昔々からお伽話のように言い伝えられてきた話だと前置きした上で、史実とも伝承とも分からぬ話を語ってくれた。

 アーデンの指す島は、古来より「夢島」と言われ。全てが満たされた「夢のような島」で、どのような「夢」も叶う・・・まさに理想郷のような場所だと信じられてきた。
 しかし人間達の欲に、神が見切りをつけたのか?
 ある時を境に、島に渡る道は海に飲まれ、島に渡る事は叶わなくなった。
 なので人々は、道が無いのなら船で渡ろうと考えたが・・・船を出せば、まるで島への上陸を拒む様な大波に飲まれ。
 結局、神に見放された欲深い人間達が、あの島に辿り着ける事は二度と無く。何時の頃からか、
「人間が立ち入るべきでは無い。
 神に認められし者しか許されぬ地・・・そう言い聞かされております。」
「神に認められし者は、許される?」
「えぇ、言い伝えでは。
 道が海に飲まれて以降も、幾度かは道が繋がった事があったとか。
 その事を、神に認められし者が島に渡った・・・と、考えたのでしょう。
 しかし、それも数百年に数度という話。真実かどうかは分かりません。」
 老人の話を聞いたアーデンは、眼下に広がる海面を眺めしばらく考え込むと、次に夜空を見上げた。
 頭上に輝く月は、彼らの到来を祝福するような・・・優しい光を注ぐ満月。
 それを確認して、アーデンはこれからの指示を待つ従者達にこう告げた。
「しばらく、この地に滞在しよう。
 神の許しが得られたなら、
 水神リヴァイアサンが導いてくれるだろう。」

 そういや遠い遠い昔「山が邪魔で、東の海が見えない」って、嘆いてる神様も居たっけ?
 ・・・ん?でもアレは、神様では無かったのかなぁ?
 何せ、人間も神様も神様みたいな存在も。この世界に生きとし生きる者が「東の海」に恋焦がれるのは、きっとそこから「希望の光」が差すから・・・なんだろうね。
 太陽が沈んで行っちゃう方向よりも、太陽が昇ってくる方向の方が「はじまり」って感じがするのかな?

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 アーデン一行が夢島を見下ろせる丘に到着・滞在する事、約一週間。
 毎日欠かさず行ってきた、一日の最後に焚火を囲んでの報告の場で、
「海を歩いて渡るなど・・・無茶が過ぎます!」
 明日以降の見通しとしてアーデンが宣言した「計画」に、年若い一人の従者は異を唱えた。
 アーデン曰く「もしも神が我らを認め許すなら、近日中に島への道が繋がるだろう」と。
「あの老人の話を信じると言うのですか?
 だとしても、数百年に数度と言っていたではないですか?
 そんな都合良く・・・、」
「そんな都合の良い事・・・だからこそだよ。
 もしそんな奇跡が起きたなら、神が味方して下さっているという事だ。
 私はそう信じて、目の前の道を進みたいと思う。」
 それは・・・そうかもしれない。もしも「数百年に数度しか起きない奇跡」が起きるのなら。
「勿論、皆に無理強いはしない。
 我らが神に許された事が、証明できれば良いんだから。
 島へは、私一人で向かうつもりだ。」
 それに何より我らが王が神が・・・主が「奇跡は起こる」と宣言するのなら。
「我らは常に王と共に・・・何処までも、お供致します。」
 例えそれが、どんな危険と隣り合わせだったとしても・・・危険と隣り合わせだからこそ、我が命に代えてでも、全てを捧げても、何もかも失う事になっても。
「全ては 我らが 王の為に。」
 ソルハイムの王を神を魂を守り続ける・・・例え、何時か何処かの世界の自分が「今」を忘れてしまったとしても。

「こんな時でも、手の内は見せないのね。
 貴方らしいと言えば、貴方らしいけど・・・。」
 彼が考え至った「本当の理由」を言ってやれば、彼らだって納得できるかもしれないのに・・・そう続けようとして、エイラは言葉を飲み込んだ。
 エイラにすれば「本当の理由」を説明してもらった方が、よっぽど納得出来るけど。
 彼らにとってはそうでは無く。現実的な「本当の理由」よりも、アーデンが告げる「奇跡」の方が、よっぽど納得出来る・・・それを分かっているから、アーデンは「本当の理由」を告げないのだろう。エイラはそう思っていたから。

 この地に辿り着いた日。丘から海を見下ろし聞いた老人の話を、アーデンはこう解釈していた。
 おそらくこの大陸と夢島は、元々陸続きの大陸だった。
 しかし気候変動(温暖化)により海面が上昇し、辛うじて出ていた陸地は海面に沈んでしまい。
 陸地が沈むような海面上昇ともなれば、当然、潮の流れも変わり荒れる事も多かっただろう。
 その結果、船で渡ろうとした人間は荒波に飲まれ、島に辿り着く事が出来なくなった。
 そして、ここまでを以上の様に解釈した上で「と、言われているだけで、実際に夢島に渡った人間は居ない」・・・この部分は後世に付け足された物語で。
 このお伽話の本質は「この危険な海域に船を出すべからず」という教訓。そこから生まれたモノだと結論付けた。
 何故ならこのイオスの世界の人類は、全てソルハイムに繋がる。
 そのソルハイムの民らが本国を離れ、イオスの世界に散っていったのが千年前程度で。
 且つ、民族の移動ルートを考えれば、東の大陸でも東端であるこの地に人々が辿り着いたのは、もっと後年になる筈だから。
 仮に彼らの祖先が、この地にやって来たのが500~700年前だとして。
 その間に、このような「お伽話」の元になる「自然災害」が実際に起こった「記録」が、何処にも残されていないのなら・・・やはりその部分は「教訓」に説得力を持たせる為の「後付けの物語」なのだろう、と。

 しかし「後付けの物語」にも、そのような「物語になった理由」はある筈で。

 老人の「大波に飲まれ、船での上陸は不可能(=この危険な海域に船を出すべからずという教訓)」「道が海に飲まれて以降も、幾度かは道が繋がった事があった」という話から、アーデンは「数百年に数度の気候条件によっては姿を現す程の海面近い位置に、この大陸と夢島を繋ぐ陸地が走っている」・・・この部分は「真実」と考えた。
 海面下に隠れて見えないだけで、海面に近い位置に陸地が走っているのなら。波に飲まれた拍子に船底が見えない陸地に底触し、場所によっては座礁する事もあるだろうし。
 それこそ、その様な場所に陸地が走っているのなら、条件が揃えば水位が下がり陸地が顔を出す事もある、かもしれない・・・その条件が揃うのが「数百年に数度」と言うのが問題だけど。

 だからこそ、そこが「奇跡」だった。
 その頻度が「数百年に数度」である以上、日に2回の干潮程度では引きが足りない筈で。
 更に条件を加えるなら、月の満ち欠け。
 この地にやってきた時、頭上の月は「満月」だった。
 それから一週間。今、夜空に輝く月は「下弦の月」・・・過去を遡ってもソルハイム王国は「海洋学」とは縁遠く、正直、月の満ち欠けが潮の満ち引きにどのような影響を及ぼすかはアーデンにも分からない。
 けれど・・・月は古来より、様々な「夢のような奇跡」を与え。
 そして人々はそこに「夢のような物語」を、思い描いてきた。
 だから、もしかしたら・・・月が「奇跡」を起こしてくれるかもしれない。
 それでも月の満ち欠けなら、月に一度は条件を満たす事になる。まだ「奇跡」を引き寄せるには足りない。
 もっと大きな・・・それこそ「数百年に数度」しか起きない、人智を超えた何か。
 それが何なのか?
 それが最良のタイミングで起こるのか?
 そんな「数百年に数度の奇跡」を、引き寄せる事が出来るのか?
 その「奇跡」を引き起こす事が出来れば。
 例えそれが、偶然が積み重なった自然現象の結果であっても、彼らは「神の奇跡」と信じるのだろうから。
「彼らがその偶然を、奇跡と言うのなら。
 それが彼らが望む「真実」なんだろう。
 なら望まない「真実」を・・・私が手の内を明かす必要は無いさ。」

 例え私が、手の内を明かさずとも。
 そこに「真実」を見出す者が現れれば、いずれ別の「真実」も生まれるだろう。
 その「真実」が私の「手の内」と同じかは、別の話だとしても。
 ・・・なんてね。まぁ「望んで苦労する人にしか、掌・・・じゃなくて手の内は見せない」って事かな?
 でも、ファンタジーってね。突き詰めれば突き詰める程、リアルに近付く・・・「夢」から覚めちゃうんだよ。
 だから「夢」を求める人に、望まない「真実」を突き付ける必要は無いんだ。
 尤も、世界を創造する側の人間は、望まない「真実」でも知る必要があって・・・自分の「夢」ばっかり追っ掛けて「そんな事、知りませんでした」では困るんだけど。

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 アーデンの宣言から数日。海面の見張りを任せていた者達から「大きく海面が低下している」との報告を受け、アーデン一行は夢島を臨む対岸へと向かった。
 その際、一行に付いて来ていた同行者達には、この丘に留まるよう指示を出していた。
 道が繋がる保障はない・・・寧ろそれは奇跡に近い確率で。
 道が繋がったとしても、日々の干潮時間を目安にするのであれば4時間前後。
 しかし、その他の条件次第では更に前後する可能性も有り。正確にどれだけの時間、道が保たれるかなんて分からない。
 そのような道を、老若男女さまざまな百人単位の群衆を率いて渡る事は、現実的に考えて不可能だろう・・・何より本人たちが、それを恐れただろうから。
「我らが神に認められ、島に踏み入る事を許されるのか。
 神の審判を、皆にはここで見届けて貰いたい。」
 従者の一人の言葉を聞いて・・・この場に残れとの指示に、多くの者は内心胸を撫で下ろしたに違いない。皆、大なり小なり一行には恩はあるが、自分の命を懸ける程の信頼があるかと言われれば、彼の従者達程に「奇跡」を信じる事は出来なかったから。
 だから正直彼らは、本当にその様な「奇跡」が起こるとは信じていなかった。
 信じていなかったからこそ、そこに赴く彼らに「尊敬」「希望」「羨望」「疑念」「悲壮」・・・それぞれの思いを胸に抱き、アーデン一行の背を見送った。しかし、
「神が迎え入れて下さったら。
 必ず、皆さんを迎えに来ます。
 それまで待っていてくださいね。」
 すれ違いざま。まるで、そうなる事が当たり前の様に言う・・・最後の最後に掛けられた、一際幼い少年の言葉。
 それを聞いた者達は「信じてみよう・・・」と、理屈など関係無しにそう思えた。
 きっと神は、彼を迎え入れて下さるだろう・・・と。

 岸まで赴いてみれば、報告通り海面は日々の干潮時の潮位より下がっていた。加え、月の満ち欠けによる力も働いているのかもしれない。
 が・・・海面下の陸地は目視出来る程の位置に確認出来るも、とても歩いて渡れる様な深さでは無い。膝下の水位でも歩行困難な事を考えれば、この距離を・・・しかも「石の玉座」を担いで渡るなら、やはり完全に海水が引かなければ無謀だと言わざるを得ない。もたつきながら渡っている途中で、戻った海水に飲まれてしまうだろう。
 やはり数百年に数度の「奇跡」など、王の力を持っても起きないのか?
 その場に居た従者達は、波打つ水面に視線を落としたまま何も言い出せない。
 王はこのような状況で、一体、何時まで、待つつもりなのだろうか?
 まだ希望を捨てず、「奇跡」を信じておられるのだろうか?
 誰も何も言い出せず、波打つ音と、風の音だけが、やたらと耳に煩く触る。
 が・・・それは心情的な「気のせい」では無かった。
 夢島を真っすぐに見据え、その時を待っていた一行の背を、突如強烈な風が襲い掛かった。
 否、突風は彼らではなく、目前の海に襲い掛かり。
「うわぁっ、あ、兄上っ?!」
 南から北への突風に押された海面は、元々干潮によって潮位が下がっていた事もあり、大陸から夢島への道を露わにした。

「海が・・・割れた?!」
 丘から一行の様子を見守っていた者達には、まさにその様に見えた。海が割れ、島への道が繋がった様に。
 数百年に数度の「奇跡」が、本当に起きたのだと!

「まさか・・・本当に道が・・・・・・、」
 それは「奇跡」を目の前にしても、信じられない出来事で。
 でも確かに目の前に道は現れた、それは紛れも無い「真実」で。
「何時まで持つか分からない、急ごう。」
 この様な時でも、何時もと変わらぬ調子のアーデンの声に我に返ると、従者達は全員で「石の玉座」の担ぎ棒を担いだ。
 誰一人欠ける事無く、ここまで忠誠を捧げて来た・・・アーデンに付き従ってきた従者は12人。
 その他の対応に人員を回す為、何時もは井形に組んだ担ぎ棒四か所を二人ずつ、計8人で担いで来たけれど。今回ばかりは安定感とスピードを優先し、三人ずつの計12人全員で担ぎ上げる。
 ・・・のだけれど。
「ソムヌスは玉座に、早く。」
「そ、そんな!
 背が足りなくて、担ぐ事は出来なくても。
 歩いて付いて行く事くらいは出来ます!」
「島までは距離もあるし、
 何時まで持つか分からない以上、急いだ方が良い。
 ソムヌスには玉座に座っていたもらった方が、
 私が安心出来るんだ・・・いいね?」
 ソムヌスの代わりは、私が担ぐから心配無い。そしたら12人だから、問題無いだろう?
 出発から、早数年。あの頃より年を重ね、身長も伸びたけど・・・まだ足りない。子供の自分が、力を持たない自分が、歯痒くて悔しくて情けなくて。
 でも今は、そんな事でゴネて居る場合では無い。それに「私が安心出来るんだ」そんなズルい言い方をされたら・・・、
「分かりました。
 兄上、宜しくお願いします。」
「あぁ、任せておきなさい。
 ソムヌスは振り落とされないよう、気を付けて。
 エイラ、君は私の手を・・・、」
「あら、エスコートして下さるの?
 何て・・・そんなスマートな道では無さそうね。」
「だからこそ、だよ。
 転んでもらっては困るからね。」
(はぁ・・・相変わらず、女心の分からない人。)

 そんな遣り取りを挟んでも、しばらくは干潮の影響で、海面は下がる傾向にあるらしく。
 一行が準備を整え、その一歩を踏み出した時には、
「夢島への道が・・・。
 本当に、このような奇跡が起こるなど・・・。」
「おぉ・・・当に、神の道。
 水神リヴァイアサンの背の様じゃ・・・。」
「言い伝えは、本当だったんだ!
 神は・・・彼らを認めたんだ!」
 全てが満たされた「夢のような島」へ・・・夢島への道は、より確かな「希望の道」となっていた。

 そりゃ、海が割れたらビックリだよね。
 でも条件が重なれば、本当に自然現象の結果として「海が割れる」可能性はあるらしいよ。
 じゃあ、自然現象で「海が割れる」事が「奇跡」なのかな?
 それとも「海が割れる」ような自然現象が重なる事が「奇跡」なのかな?
 ん~、分からない?
 そりゃそうだよ。だって人間は分からない時に「奇跡」とか「神」なんて「不可思議な力」に答えを求めるんだから。

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