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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《新約 39》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【『ルシスの禁忌』とは (版図拡大~新たな土地へ)】

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【『ルシスの禁忌』とは (版図拡大~新たな土地へ)】
 兄上と姉上の髪色が、自分のそれと違う事を不思議に思う事は無かった。
 兄上は『炎神イフリート』で、姉上は『氷神シヴァ』なのだから特別なんだ・・・って、ずっとそう思っていた。
「兄上、姉上!
 待って、僕も一緒に行く!」
「そんなに走っては、転んでしまうわよ?」
「だって・・・置いて行かれてしまうと思って。」
「置いて行く訳が無いだろう。
 私たちは何時も一緒だ・・・ほら、おいで?」
 何時だって優しい笑顔で、抱き留めてくれる姉上が大好きだった。
 歩幅が合わないからと、おぶってくれる兄上が大好きだった。
 三人は何時も一緒で。
 三人一緒の自分達を見守る大人の目は、いつだって慈愛に満ちていた。
 そんな嬉しそうな・・・幸せそうな大人達を見るのも大好きだった。

 それが大人達が決めた仕来りだったなんて、大人の都合だったなんて。
 本当は血が繋がっていない兄姉弟だったなんて・・・そんな事、知る筈無くて。
 それを知った時は、やっぱり悲しくて辛くていっぱい泣いた。でも、

 生まれた時から兄姉弟として育てられた、接してきた。
 ずっと育んできたその絆は本物だって、そう信じてる。
「兄上、姉上!
 待って、僕も一緒に行く!」
 どれだけ年月が流れても、どれだけ世界が変わっても・・・兄上は兄上で、姉上は姉上。
 例え僕が変わってしまっても、きっと僕は兄上と姉上が大好きだ。

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 ソルハイムの人々がイオスの世界に広がり、その地に根付いて数世代。
 古代ソルハイム王国の領地とした四つの地域は、遠く離れていても「ソルハイム王国・〇〇地方」として王国に属していた。
 直接会う事は難しくても、彼らの王はアーデンであり。
 身近に感じる事が難しくなっても、彼らの主神は『炎神イフリート』だった。

 しかしそれは「そう言い聞かされているから」であって。
 世代が下るにつれ王も神も、彼らにとって実感を伴う存在では無くなっていた。
 離れた地に根付いた人々にすれば、自分の周囲が自分の生きる世界で在り。
 遠く離れた王よりも、目に見えない神よりも。
 自分の日常に密に関わる、その集団組織の長の庇護を得る事の方が・・・日々、その中でどう生きて行くかが、何よりも大事な事だったから。

 勿論、国もそれらを知って放置していたつもりは無かった。少なくとも彼らは、ちゃんと対処出来ているつもりだった。
 遠く離れていてもソルハイム王国であって、主権は王国に在り王に在る。
 当然、彼らはソルハイムの法に従う必要が有るので、その地を統治する役人を派遣し。
 当然、彼らが崇める神は『炎神イフリート』なので、その地に宣教する聖職者を派遣していた。
 初めの頃より、彼らの統治・守護者には、国でも信頼のおける者達を派遣していたのだから。王の御名の元「正しく民を導く様に」と主命を与えれば、彼らはそれに従い「民を正しく導いてくれる」と、今でも信じていた。
 王剣の一族を始め、王の近くに在る者達は、今でも彼らが自分達と同じ様に、王を神を尊い存在として崇拝していると信じて疑わなかった。

 そんな彼らだって、遠く離れた未開の土地に根付いて数世代。
 何もかもが手探りの中、自分に任された人々の生活や安全を守るのに精一杯で。
 精一杯尽くせば尽くす程、民らが懐いてくれるのを邪険にする事も出来なくて。
 感謝の想いから「遠く離れた王よりも、頼りになるのは領主様だ」と言う、民らの言葉を諫める事も出来なくて。
 そんな関係が・・・少しずつ、彼らの国に対する考えを変えて行き。
 こうして本国と地方の関係は、長い時間を掛けて、少しずつ少しずつ傾いて行った。

 遠くの王様より、近くの領主様・・・中央と地方の温度差ってヤツ?
 まぁ、それだけの月日が経てば仕方ない気もするけどね。
 領主が民を幸せにしてくれるなら。
 民がそれを望むなら。
 別に独立しても良かったんだと思うよ、うん・・・。

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 関係が修復される事なく、更に時代は進み。
 独立では無く、それぞれの地域ごとに自治を認める事で、未だ「ソルハイム王国」としての態を保っていたものの。
 文化・技術力が発展し、力を得過ぎた地域では・・・一部の人間達による新たな火種が燻っていた。

 ソルハイムの民らの移住先の足掛かりとなったクレイン地方。そこは主神『炎神イフリート』の住まう地として、多くの民らが移住を希望し。
 その恩恵・・・ラバティオ火山の熱源を利用した地金・製鉄加工に漕ぎ着けた事で、本国よりも発展した文明を手にしていた。
 そうなると移住者が多かった事、加え高い文明水準に達した事で、更に周囲の地へと勢力を広げて行く事となり。その過程での覇権争い・・・同じソルハイムの民同士で衝突する事も珍しくなかった。
 尤も覇権争いと言うのは、それなりの地位にある人間達のいざこざなので。それに振り回される市井の人々にとっては迷惑な話でしかなく。王は視察に向かわせた役人からの報告、民らからの嘆願を聞く度にそれを憂い心を痛め「民の為の国で在る様に」と、現地の領主たちを諫めて来た。
 が、王の言葉を以てしても、彼らは「より良い土地を広く手中に収める事は、民らの為である」として、そのやり方を変えようとはしなかった。

 それに対し、王剣の一族は「王に対する不敬である」と、再三彼らに警告。
 そも『炎神イフリート』の許可も無くラバティオ火山に立ち入る事、その資源を利用する事も、彼らにとっては許しがたい事だった。
 文明レベルでは、彼方の方が圧倒的に上となってしまった・・・それは認めるけれど。
 我らの元には王が、そして神が居られるのだから・・・例え力のバランスが逆転してしまっても、彼らにとってのソルハイム王国の中心は本国で。その誇りに掛けて「他の地域は、本国に従うべきである」との姿勢を崩さなかった。

 その様なギクシャクした関係が続く中。剣神の一族の巫が、ある事に気が付いた。
 ラバティオ火山の様子を観察する事は、神の信託を授かる一族の巫としての大事な職務の一つで。毎日欠かさずその姿を見て来たからこそ、今までにない場所から噴煙が上がっている事に気が付き。
 それを見た巫は、こう思った。
「きっと炎神様が、お怒りになっているに違いない。」と。
 王剣の一族によると、年月が経つにつれクレイン地方での争いは激しさを増し。今や王の言葉を以ても収拾が付かないと言う。だからきっと炎神様は、その事を・・・人間同士の争いを憂い、怒っていらっしゃるのだ、と。そう思ってしまい。

 その夜、巫は不思議な夢を見た。
 火を噴くラバティオ火山を背に『炎神イフリート』は、自分に向かってこう言った。
『早く逃げろ・・・!』と。

 その巫の夢は神託として受け取られ、クレイン地方の領主たちにも急ぎ伝令が送られた。
「そなた等の身勝手な行いに対し、炎神イフリートはお怒りである。
 このままでは、炎神の粛清は免れぬ。
 直ちにそのような争いを止め、神に懺悔の言葉を捧げよ。」
 しかしそれでも彼らは、本国からの助言を聞き入れず「ラバティオ火山に関しては自分達の方が詳しい」と、そう高を括って相手にもしなかった。
 中には「そんな言い掛かりを付けて、我らが築いた文明を横取りしようという魂胆では無いのか?」「こちらの方が強大な国となるのが、許せんのだろう」と、邪推する者達まで居た。

 それでも、それでも・・・王は何度でも伝令を走らせた。
 本当であれば、自ら赴き説得したいところだったけど「万が一にでも、王に何かあれば」と、心配する臣下達がそれを許さなかったから。
 この頃には「王や神の意志に背くのであれば、致し方無い事です」と、説得を諦める臣下達も居たけれど。
 王は、アーデンは最後まで諦めなかった。
 全てのソルハイムの民が心安らかであるように、と。
 この名と共に、何百年と受け継がれて来た・・・それはソルハイムの王の使命。

 自然をよく観察し、その予兆を捕らえ、それを「神からの神託」と考えた。
 結局のトコ、この頃には「神託」って言っても、自然現象をよく見てた・・・ってだけの話なんだ。
 だから「何かが起こる予兆」である事は分かっても、神サマの考えが分かる訳じゃない。
 この時だって、本当に『炎神イフリート』は怒ってたのか・・・分からないんだけどね。

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 しかしある日、遂に決定的となる出来事が起こった。
 伝令に向かわせた者が、殺された。しかも彼らが「持ち帰れ」と従者に持たせた物は、
「これは・・・剣?」
 血に塗れた、片刃の剣で・・・それが彼らとの決別を決定的なモノとした。
「王よ、奴らを救う必要などありません。
 奴らは神聖な剣を、人殺しの道具とした。」
「しかし・・・それは一部の人間だけかもしれない。
 多くの民は・・・・・・、」
「奴らは『剣神バハムート』に・・・、
 貴方の弟に、人を殺させたという事です!!」
 最早我々とは相容れない・・・王に神に忠誠を誓う者達故に、それはもうどうしようもない事で。
 だからこそ臣下達は、王に決断を迫った。それは、
「奴らの暴挙が収まらぬ以上、
 炎神様の粛清は避けられないでしょう。
 裁きが下される前に、皆で遠い地に逃れるべきかと。」
「この地を、神を捨て逃げろ、と・・・?」
 先祖代々の地を捨て、主神である『炎神イフリート』の力の及ばぬ所まで逃げ延びる・・・と言う事。

 勿論それは、この場に居る誰もが受け入れがたい決断だった。でも、
「炎神自ら逃げよと仰ったのなら、それは神の言葉。
 この地に住まう民らを巻き添えにしない為の、炎神のご慈悲でしょう。
 捨て逃げるのではありません。
 生き延びる為に、炎神の言葉に従いましょう。」
「しかし逃げ延びるとは言っても、何処に逃げる?
 対岸のクレイン地方と敵対した以上、寄港出来ない。
 本国の民全てを、海向こうの地域に移住させるのは難しいぞ?」
 現実問題として、この大陸から出る事は叶わない。
 しかしこの大陸は、人間が生きて行くには寒さ厳しい白銀の大地が大部分を占めている。
 その上、今現在この地に残っているのは、残りたくて残っている信心深い人間達だったので。この極寒の大陸で『炎神イフリート』の加護無き土地に移るなど・・・生きて行けるとは思えなかった。何なら「ここを離れる位なら・・・」と、覚悟を決める者すらいた。

 が、対岸のラバティオ火山より「原初の火」が『炎神イフリート』より齎され。彼らがその奇跡に感謝し、ソルハイム建国時に『炎神イフリート』を主神としただけで。
 元よりこの地は『死の女神』と呼ばれた『氷神シヴァ』が治めていた地。雪と氷の白は、彼女の力によるもの。だから、
「この大陸で、移住先を探しましょう。
 今は私が・・・『氷神シヴァ』が、
 兄『炎神イフリート』の名代として、皆を導きます!」
 その娘の・・・否『氷神シヴァ』の言葉を聞き、ソルハイムの民らは「我らが妹神が、氷神様が導いて下さるのなら」と。
 彼らは今の地を捨て、主神『炎神イフリート』の力が及ばぬ土地・・・対の双子神『氷神シヴァ』に導かれ、大陸の反対側・ウェルエタム地方へと逃げる事となった。

 ウェルエタム地方。
 今現在其処には、ニフルハイム帝国・帝都グラレアが置かれている。
 つまりココが、古代ソルハイム王国の民が逃げ延びた地・・・って事。
 うん、そう・・・ウチの首都。

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