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落書き帳の10ページ目

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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《新約 37》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【唐突に大昔(1年前)の、記事を一部訂正します】
 【『ルシスの禁忌』とは (人類誕生~六神神話)】

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【唐突に大昔(1年前)の、記事を一部訂正します】
 かれこれ1年前の《儀典21》の内容なので、下の頭出しを読んで「そんな昔の事、覚えてない」「そもそも、その頃の記事を読んでいない」という方は、スルーして頂いて大丈夫なんですが。
 今回書く記事に間接的に関わって来る部分なので、一応念の為に修正してスッキリさせておきます。

 人間達が「剣神(バハムート)」の神性を、
「勝利を齎す戦の神だったが、力に任せた己の行いを悔い改め。
 人間達の為に、神と人間とを仲介する聖なる神となった。」
 と、自分勝手に改編してしまったせいで、元通りに戻る事は出来なかった・・・特に見た目などは青年のままで、嘗てのような幼い子供の姿に戻る事は無かったけれど。

 と書きましたが。これを、
 嘗てのような幼い子供の姿(6~8歳位)にまで、戻る事はなかったけど。
 青年(25歳位)のまま、では無く。
 少年(12~14歳位)に落ち着いた・・・というラインに修正します。

 と、修正していたのを、これを更に「嘗てのような幼い子供の姿(6~8歳位)に戻った」と再修正します。

 そもそも最初《偽典 18》「嘗ての神性を取り戻した剣神バハムート」の見た目を「特に見た目などは青年(25歳位)のまま」としていたのは、
 ⇒この「剣神バハムート(幻獣)」のイメージが、「ソムヌス(人間)」に反映される。
 ⇒アーデンの旅の目的は「魔大戦が原因で世界中にちらばったソルハイムの人間達(=転じて、世界中の人間達)を救う」事。
 ⇒そんな過酷な旅に、子供のソムヌスが同行するのは現実味に欠ける。
 ⇒【FF15】のソムヌスに近付ける為にも、子供ではなく青年にしておいた方が良い。
 という判断からだったのですが。

 そこを後日《儀典21》「嘗てのような幼い子供の姿(6~8歳位)にまで、戻る事はなかった」けど「少年(12~14歳位)に落ち着いた」と修正したのは、
 ⇒【FF15】作中のソムヌスが「オレには 何も与えられなかった どんなに求めても オレには」と言っていたけれど、ソムヌスが青年なら「オレには 何も与えられなかった」って事は無い筈(彼は彼なりの方法で人々を守っていた=人々を守れるだけの力を持っていた)。
 ⇒「オレには 何も与えられなかった」を「何の力も持っていなかった」と解釈する為には、ソムヌスが「何も出来ない子供だった(子供だから仕方が無い)」状況に持って行きたい。
 ⇒でも本来の「嘗てのような幼い子供の姿(6~8歳位)」にまで戻してしまうと、やっぱり「過酷な旅に、子供のソムヌスが同行する」という設定に無理がある。
 ⇒だから間を取って、何とか「過酷な旅にも同行出来そうな少年(12~14歳位)」に修正した。

 でも、結局何度も修正している事からもお察しの通り、ここは最初からず~っと収まりが悪くて。
 と言うのも、この世界の「素材」や「役者さん」は「想い出・記憶」が歪む事で役割が変わってしまう事はあっても、基本出揃っている筈・・・って考え方です。
 だから一連のイオスの世界に「ノクティスみたいな黒髪の少年(12~14歳位)」が存在しないのであれば、そもそもそんな「役者さん」は存在しなかったって事になり。
 演じてくれる「役者さん」が居ない以上、ソムヌスが「ノクティスみたいな黒髪の少年(12~14歳位)」だった・・・ってイメージは見えにくくなってしまう。
 そこを詰める意味では、イオスの世界には「ノクティス(8歳)」の「役者さん」は居るので。本当は「嘗てのような幼い子供の姿(6~8歳位)」に戻すのが「テネブラエで療養してた頃のノクティスか・・・」ってイメージすれば良いので、一番分かり易い。
 でも、やっぱり「嘗てのような幼い子供の姿(6~8歳位)」だと、一番大事な「過酷な旅に、子供のソムヌスが同行する」との間に無理が生じてしまう。
 だから「過酷な旅にも、何とか同行出来た」けど「自分には何も与えられなかった(大人と同様に、役割を果たす事は出来なかった)」が通用するギリギリのラインとして、幼過ぎず大人過ぎずの「少年(12~14歳位)に落ち着いた」で妥協した。ここまでが、今までの経緯&設定。

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 だったんだけど『ルシスの禁忌・アダギウム』の内容を考えてたら、寧ろ「過酷な旅に同行するのが難しい、幼い子供(6~8歳位)じゃなきゃならない」って事に気付いたので。
 嘗ての神性を取り戻した剣神バハムートは「嘗てのような幼い子供の姿(6~8歳位)」に戻り。
 剣神バハムートのイメージが反映されるソムヌスも「嘗てのような幼い子供の姿(6~8歳位)」だった。
 こう再修正する事にしました・・・これなら確かに色々とスッキリ&納得だし。

 尤も《儀典》と《新約》は、同じ「イオスの世界(親要素)」の中の話だけど、個々としては別の「イオスの世界(子要素)」なので、全く同じ設定の話ではありません。実際同じトコもあるけど違うトコも多いし。
 なので今更再修正する必要も無いんですが・・・ここは結構「イオスの世界」の共通部分なので、この機会に再修正としました。
 再修正した一つ目の理由は、割と直ぐに分かると思います。
 尚、二つ目の理由は・・・この設定が活きるのは《預言書》の終盤かな。なので全然先の、書くかどうかも分からん予定は未定って感じなので、気にしてもらわなくて大丈夫です。

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【『ルシスの禁忌』とは (人類誕生~六神神話)】
 前回の記事で、舞台裏「この世界のノクティス達は、何をしていたのか?」が一段落。
 今回は第二章本編に戻したいトコですが「『ルシスの禁忌・アダギウム』の内容を明らかにしてからでないと説明出来ない」と書いていた様に、ココから先は「結局『ルシスの禁忌・アダギウム』って何ぞや?」ってのを説明してからでないと意味が通じないと思うので。
 まずは『ルシスの禁忌・アダギウム』・・・昔話大好きおじさん・アーデンの昔話を、拾い上げて行きたいと思います。

 因みに、今回は「分かり易さ重視」なので、普通に固有名詞を使っていますが。
 アーデンがレイヴス君に語り聞かせていた時は、もうちょっとザックリ&固有名詞はボカしていた・・・という解釈で宜しくお願いします。でないとレイヴス君も昔話聞いた時点で「『ルシスの禁忌・アダギウム』=アーデンの事」ってネタバレになっちゃうから。

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 昔々、イオスの世界に産み落とされた人類の祖。
 彼らは比較的穏やかな気候だった、今の時代で言うニフルハイム帝国領・ピストアラ地方を主な生活拠点としてその数を増やしていった。
 しかし「穏やかな気候」とは言っても、当時はイオスの世界全体が、今とは比べ物にならない程の寒冷地だったので。彼らは少しでも暖かく過ごしやすい土地を求め、
「こちらの方が、少し暖かい気がする。」
「コッチの木には木の実が生っている。」
「向こうに小動物が走って行くのを見た。」
「そちらに向かえば、それらを狙う獣も居るかもしれない。」
 まだ知恵を備えていなかった彼らは、生まれながらの逞しい生存本能・・・まるで自然の摂理に導かれる様に、大陸の中では一番「穏やかな気候」だったスカープ地方へと辿り着いた。

 その頃の彼らには、知る由も無い事だったけれど。
 帝国領の中でもスカープ地方が生きるに易い土地だったのは、海を挟んだ向こうの土地・クレイン地方に聳えるラバティオ火山群の火山活動が関係していた。
 イオスの世界創世の頃から見れば落ち着いているものの、ラバティオ火山だけでなく海底火山等、この辺りの地域では大小様々な活火山が活動を続けていて。本来なら忌避されるそれらの火山活動によって発生する「熱」が、凍えたイオスの世界と人間達を温める貴重な「温もり」となっていた。

 その「温もり」を頼りに、人間達が定住してそれなりの年月が過ぎたある日。
 ラバティオ火山が噴火した。
 その様相は対岸のスカープ地方からも確認する事が出来、人間達はその恐ろしい光景を前にして「火の山」の恐ろしさを思い知った。
 とは言え、規模としては小規模だったので、スカープ地方にまで噴出物による被害が及ぶ事は無く。
 寧ろそれは、人間達にある奇跡「ギフト」を齎した。
 ラバティオ火山から噴出した熱せられた岩石の一つが海を越え、偶然にも彼らが就寝時に暖を取る為にと保管していた枯草の上に落下し、その乾燥していた草に引火・・・つまり「火」が起こった。
 その初めて間近に見る「火」という未知の存在を、人間達は自分達のテリトリーから排除しようと試みた。人間達の本能が、得体の知れない「火」を恐れたから。
 でも揺らめく火の動きに警戒しながら恐る恐る近付くと・・・それはとても「暖かい力」を持っていた。
 当然「火」なので近付き過ぎると火傷をする、人間に危害を与える「恐ろしい力」でもあり。実際、加減が分からず近付き過ぎたり、捉えようとして火傷をする人間も居たけれど。
 そんな「痛い目」を経験しながらも人間達は、
「コレの近くは、とても暖かい。」
「放っておくと弱ってしまうけど、枯草を与えると元気になる。」
「この傍に魚を置いておいたら、何時もと違う魚になった。」
「でも中に放り込んでしまうと、
 黒くなって食べられない。勿体無い。」
「良い香りの草と一緒に置いておくと美味しくなるし、
 いつもより日持ちする・・・気がする。」
 生きる事に直結する「食」を発端に、「火」が齎す様々な恩恵、それを扱う知恵を得て行く過程で、人間達は「火を扱える唯一の生物」として進化していった。

 その頃の彼らには、まだ「神様」という概念なんて無かったけど。
 それでも彼らは「神様」の様に「火」を大事に大事に守り、その恩恵を受け、感謝の念を忘れなかった。
 だから彼らは「火の山」から授けられた「原初の火」を絶やす事なく、人間社会はその「火」を中心に形成されて行った・・・これが『古代ソルハイム文明』に繋がる、人間達と「原初の火」の物語。

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 海の向こうの「火の山」から「原初の火」を授かって以降、人間達の社会は「原初の火」が中心となり、その中で様々な役割が生まれた。
 「火」を絶やさぬよう、枯葉をくべる係の者。その為に、捧げる枯葉を集める係の者。
 「火」の力を借りる為の、決まりを管理する者。そのルールに基づき、秩序を守る者。
 「火」に感謝の心を伝える為、祭事を執り行う者。皆の想いを預かり、祈りと舞いを捧げる者。
 こうして徐々に「火」を中心とした集団は組織化されて行き、それに伴い知識や技術も急速に発展し。知恵を得た事で自ら考え、頭の中で想像し、それを他者に伝える言語を獲得した事で、
「今の自分達が在るのは、
 この特別な力が、導いてくれたからだ。」
 と・・・その様な共通観念が社会全体に浸透し。古来より人間達の中心にあった「原初の火」は何時しか崇拝の対象、つまり「神様に近い存在」となって行き。
「このような「特別な力」を授けてくれた「火の山」には。
 それはそれは「強大な力を持つ特別な存在」が居られるに違いない。」
 彼らの崇拝の対象となっている「原初の火」は、対岸のラバティオ火山から噴出され、奇跡的に彼らの集落に落下した岩石で。ラバティオ火山の噴火の様子を見ていた彼らの祖先は、彼らの元にやってきた物を「原初の火」と崇めているに過ぎず。実際は同じ様な物が、無数に噴出していた事を知っていた。
 つまり「火の山」にはこの様な「原初の火」を、無数に生み出し与える事が出来る「強大な力を持つ特別な存在」が居るのだと。
「我らに授けられた「原初の火」一つでも、これ程の力を持つのに。
 その力を無数に生み出し、与える事が出来るなんて。
 その様な「強大な力を持つ特別な存在」とは、
 一体、どのような姿形をした存在なのだろう?」
 言わば「原初の火」の生みの親とも言える「火の山」も当然崇拝の対象となり。人々は目には見えない「火の山」の特別な存在に想いを馳せ、そのイメージを膨らませて行った。

「日々生きる事も困難だった我らの祖先に、
 この「原初の火」を与えて下さったのだ。」
「我らの知恵も技術も全て、この「原初の火」が齎したもの。
 力強いだけでなく、慈悲深く、聡明な御方に違いない。」
「御方?僕たちと同じ、人間みたいな感じなの?」
「だったら「火」の様な真っ赤な髪と、赤褐色の肌!」
「「火」の猛々しさだけでなく、聡明だなんて・・・。
 きっと面立ちも、優れてらっしゃるのでしょうね。」

 残念ながら、人間は人間に想像出来る範疇でしか物事を考えられなかったので。
 目には見えない「火の山」の特別な存在は、この様な人間達のイメージから「火の様な赤い髪と、赤褐色の肌を持つ。見た目にも優れた、力強くも慈悲深くそれでいて聡明な、逞しい男性の姿を持つ存在」と定められ。
 人間に近い姿形を持ちながらも、人間を超越した力を持つ存在・・・つまり「人間」とは異なる別の存在「神様」として崇め奉る様になった。

 とは言っても、この頃はまだ「人間に近い姿形を持ちながらも、人間を超越した力を持つ存在」って概念が生まれたってだけで。大層な「神様」なんて言葉自体は、もっと後の時代になってから生まれた言葉なんだけどね。
 これが人間達の「火の山」に対する「人間に近い姿形を持ちながらも、人間を超越した力を持つ存在」ってイメージから生まれた・・・後に『炎神イフリート』と呼ばれる「火の神サマ」誕生の物語。

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 人間達がスカープ地方に流れ着き「原初の火」を授かり、そこを安住の地としてからどれ位の年月が経ったか。「原初の火」を中心に興った人間社会は発展を続け、その時代としては高度な文明を持つに至っていた。
 しかし彼らの中心はあくまでも「原初の火」なので、それに対する社会構造は確立されていても、「人間社会」に対する絶対的な統治者や支配層は存在しておらず。
 人間達にとって「一番偉い存在」は、その「原初の火」を与えてくれた、対岸のラバティオ火山に住まう火の神様・・・信仰崇拝だけに留まらず、全てにおいて彼が絶対的存在だった。

 また「火の山」のイメージから『炎神イフリート』を生み出したように、彼らは「様々な自然の脅威は「神様」の力によるものだ」と考え、脅威ではあるけど無くてはならない存在だった、
 周囲を覆う広大な海、人間が生きて行くに欠かせない水から『水神リヴァイアサン』を。
 自分達が住まう大地、生命の芽吹きと繁栄を齎す大地から『巨神タイタン』を。
 夜空を走る閃光、作物に実りをもたらす稲光から『雷神ラムウ』を。
 これらもきっと「神様」による「特別な力」に違いない、そう考えた。

 つまり彼らが言う「神サマ」は、人間達のイメージから生まれた存在で。
 本当は「神サマ」は「神様」じゃないんだよ。だって「神様」は目に見えないし、声も聞こえないんだから。
 でも流石は「神様」・・・その人間達が思い願う「神サマ」を、本当に創っちゃったんだよ。
 目に見えないし、声も聞こえない。そんな自身の代わりとして、人間達の願いを聞き届ける為にね。

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 その様にして、人間達の「神様」という概念が定まっていった人間社会だったけど、その反面、集団組織が大きくなる事の弊害が少しずつ起こり始めていた。
 人間達の社会は「原初の火」が中心だったので、未だ「人間社会」に対する制度は未熟だった。
 つまり「火」を勝手に持ち出そうとした者に対する刑罰、それを裁き執行する者は居ても。
 人間同士のいざこざに介入し、それがどのような罪で、どのような罰を与えるべきなのか、誰がそれを執行するのか・・・そういった「人間社会」に対する明確なルールが確立されていなかったので。
 集団組織が大きくなる事で、色々な人間同士の問題が発生し。それを纏める仕組み、その頂点に立つ指導者を持たない今、火の神様に神頼みしても仕方が無いような事も、
「一体どうすれば、
 争う事なく皆で生きていけるのでしょうか?」
 そう助言を乞う事しか出来なかった。彼らにとって『炎神イフリート』は、それ位に「絶対的存在」だったから。

 そんなある日。古より「原初の火」を守る一族に、赤ん坊が生まれた。
 『炎神イフリート』から授けられた「原初の火」・・・それを古より守る一族の娘とあって、集落では殊更期待が集まっていた。生まれる前から、守り人として期待されていた赤ん坊。
 しかし生れ落ちた赤ん坊を見て、出産に携わっていた産婆達は驚愕した。
 生まれたばかりで疎らではあったけど、その赤ん坊の髪は「火」の様に赤く。産後、時間が経ち落ち着いても、その肌の赤味が収まる事は無かった。
 赤い髪に、赤褐色の肌。赤い髪の人間など見た事が無い・・・自分達とは、明らかに異なる特徴。それはまるで『炎神イフリート』を思わせる物で。
「この赤ん坊こそ、
 我らが火の神様の、化身に違いない!」
 人間達は生まれたばかりの赤ん坊を『炎神イフリート』の現人神と考え。
 人間達は「この赤ん坊こそ『炎神イフリート』の現人神である」として集落の頂点・・・即ち「王」に据え。
 人間の「王」を得た事で、集落は今で言う「古代ソルハイム王国」となり。
 人間社会は「神様」であり「王」でもある、この赤ん坊を頂点に「国」として再形成されて行った。

 この時「『炎神イフリート』の現人神」とされた赤ん坊の名前は「神の神性を持って生まれた、最初の人間」「神でもあり人でもある尊い名」として、代々継承されて行く事となる。
 古代ソルハイム王国・始まりの王・・・その赤ん坊の名前は「アーデン」と言った。

 尤も「古代ソルハイム王国」何て言っても、この頃は精々数百人規模の集落だけどね。
 でも人間はこうやって長い時間を掛けて人口を増やし、国を発展させて行ったんだ。
 大体「神サマ」ですら、人間達のイメージから「神様」が創った存在なんだから。このイオスの世界のほとんどは、長い歴史を歩んで来た人間達の「想い出・記憶」の結果だよ。

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 生まれたばかりの赤ん坊・アーデンが「『炎神イフリート』の現人神」として持て囃されていた一方。彼の母親を始め一族の者達は、ある大きな問題に直面していた。
 アーデンの母親が産み落とした赤ん坊は二人・・・つまり双子だった。
 一人は「赤い髪と、赤褐色の肌」を持って生まれた為「『炎神イフリート』の現人神」とされた男の子・アーデン。
 対するもう一人は「白銀の髪と、白い肌」を持つ女の子で・・・その特徴が問題とされた。
 何故なら「白銀の髪と、白い肌」は、遺伝子レベルで刻み込まれている寒さと飢えの象徴・・・遥か昔の祖先より苦しめられて来た「死の女神」を思わせる物で。
「そのような不吉な子、直ぐに処分すべきだ!」
 ずっと苦しめられて来た、数え切れぬ同胞が犠牲になった・・・雪や氷、その人間を拒絶する極寒の白は、人間達にとって受け入れがたいものだったから。

 しかし母親にすれば、どちらも同じ様に慈しみ愛情を注ぎ、生まれる日を待ち望んだ子。
 そもそもこの時代、生まれる前に双子かなんて分かる筈も無く。当たり前に「我が子」として育んで来た・・・それを「片方だけ」なんて有り得ない。だから、
「アーデンが神の子だと言うのなら。
 この子達が二人一緒に生まれたのには、必ず意味がある筈です。
 ですから、どうか・・・この子も・・・・・・、」
 そこに身を清める為に連れ出されていたアーデンが戻って来た・・・が、産婆が言うに「まるで火が付いた様に」泣いて泣いて心配だと、母親の元に身を寄せ耳打ちした。
 産婆に抱かれ大泣きする息子と、母親の腕の中で静かに眠る娘・・・両極端な二人。
 するとまだ目も開いていないのに、自分の対の存在に安心したかの様に息子は泣き止み、娘は微笑むように口角を上げた。真っ赤にして泣いていた息子の肌色も落ち着き、娘の白かったその肌は薄っすらと色付いた。
 その様はまるで、息子の中の「火」の力を、娘が持って生まれた「雪や氷」の力で制御している様にも。
 息子から「火」の力を得る事で、娘も凍えた心や体に「温もり」を・・・死の女神では無い存在に生まれ変わろうとしている様にも見え。
 その様子を目の当たりにした人間達は、きっと二人は初めから「互いに補い合う、対の存在」なのだと・・・その為に「神様」が双子として遣わせたのだと理解した。

 勿論、そんな事は偶然かもしれない・・・でもこのイオスの世界にとって大事なのは、人間達が「そう思う事」なので。
「我らが炎の神様の力は、
 人間の・・・事、赤子の体には強過ぎる故に。
 その強大な力を幾分か抑える為にと、氷の女神を伴われたのだ。」

 それに伴い。今まで「雪や氷」から連想されるのは、人間を拒絶する恐ろしい「死の女神」だったけれど。
 人間達を導く『炎神イフリート』の現人神・アーデンを支える為に、共に人間達の元に降臨された「氷の神様」と改められる様になり。
 業火を纏う『炎神イフリート』の対の神、双子神として、
 大地を凍えさせる冷気、業火を凪ぎ宥める氷雪から『氷神シヴァ』が生まれた。

 だから神サマなんて、元々は存在しなかったんだよ。
 『炎神イフリート』と『氷神シヴァ』だけじゃない・・・『水神リヴァイアサン』も『巨神タイタン』も『雷神ラムウ』も、神サマなんて全部人間達の想像の産物を、神様が本当に実体化させただけって事。
 彼らの主神が『炎神イフリート』だから、彼らにとっての一番は『炎神イフリート』。
 でも世界における影響を考えれば、水とか大地が先に無きゃオカシイ・・・だから帳尻を合わせた結果『炎神イフリート』より先の三柱を「古い神サマ」って考えたんだ。とんだご都合主義だよね。

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 『六神』と呼ばれる神様のウチ「五神」が出揃い、随分と年月が経ったイオスの世界・・・古代ソルハイム王国は『炎神イフリート』への信仰を中心にしつつ、歴代の王・アーデンの統治により安定した社会秩序を保っていた。
 人間達の思想・知恵・技術などは高いレベルに達し、自分達に必要なモノは何かを考え、どの様なモノであれば解決出来るかと考え、それを形にする技術を身に付け創り出し。社会全体を住みやすく快適に、自分達の望む社会に近付けようと切磋琢磨した。どんな事にだって、彼らは努力を怠らなかった。
 そんな中で、尤も発展を見せたのは神事・祭事といった「神様に関わる事」だった。
 これは元々、古代ソルハイム王国の始まりが『炎神イフリート』とされているので、人々の根本に根付いている・・・当たり前に「神を敬う気持ち」が「神様に関わる事」への関心と探求心を高め、常に「神様が心安らかに、見守って下さるように」と、そうであるよう様々な仕来りや行事や供え物が捧げられた。
 何せ「神様が心安らかに、見守って下さる」事が、自分達の生活に直結している・・・と、考えているのだから、それも当然とも言えた。

 その捧げ物の中で、近年見られるようになったのが「剣」だった。
 ただ当時のそれは「剣」とは言っても、神事の為に創られた「両刃の剣」であり。神様に祈りを捧げる為の物なので、殺傷能力など必要無く皆無だった。
 言ってみれば「剣」としては何も切れない鈍らだったけど。
 人々の想いを乗せ、巫がそれを手に舞い、祈りを込めて祭壇に捧げる・・・それは神様と心を通わせる「神聖なる道具」として認知される様になり。
 何時しかその「両刃の剣」自体が「神様と人間を繋ぐ特別な存在」として神格化されていった。

 それはつまり、先の「五神」から長い年月を経て、遂に人間達は自らが創り出した物から「神様」を生み出した・・・自然由来では無く、最後の神様は当に「人間達が創り出した神様」だった、と言う事。
 だから人間達はそこに「年の離れた幼い子供」「先の五神と比較すれば若輩者」というイメージを見た。
 それは「五神」の誕生から長い年月が経っている事と、自然由来では無く「人間達が創り出した神様」という部分に遠慮があった事。
 それに加え「純真無垢で清らかな子供」が、神剣を捧げる役割を担っていた・・・そのイメージから「剣の神様も、お稚児さんの様な幼い子供だろう」と解釈されたから。
 こうして「五神」から長い年月を経て、人間達が創り出した「両刃の剣」から創造された幼い神様。
 神様と人間を繋ぐ、祈りの為の「両刃の剣」から『剣神バハムート』が生まれた。

 この幼い神様『剣神バハムート』が生まれた事で、既に「神話」という概念に至っていた人間達は、
 自分達の主神『炎神イフリート』を基準に、
 「古い神様」とした『水神リヴァイアサン』『巨神タイタン』『雷神ラムウ』。
 「新しい神様」であり「双子神」でもある『炎神イフリート』『氷神シヴァ』。
 「神々の末弟」として『剣神バハムート』を加えた、これら『六神』を兄弟姉妹神とし。
 彼ら「神様の物語」は「六神神話」として、後世に語り継がれる事となった。

 何て言っても、今は「六神神話」自体が、忘れ去られてるんだけどね。今の主流は『創星記』だっけ?
 他の神サマから『剣神バハムート』が末弟・・・って事は聞いてたでしょ?
 でもそんなに「幼い神サマ」ってイメージは無かったかな?
 あぁ、でも仕方が無いよ。
 だって今の『剣神バハムート』も、イオスの世界の「想い出・記憶」の結果なんだから・・・昔々は「兄上~!」って可愛い「神サマ」だったんだけどね。

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