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落書き帳の10ページ目

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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《新約 17》

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 今回はいつもと違って「レイヴス君が剣を握るに至る物語」を書いてみた。
 拙い文章ですが、何となくでも「自分の頭の中の世界」の空気感なりイメージが伝わればと思います。

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「また背が伸びたようだな、レイヴス。」
「ご無沙汰しております、レギス陛下。」
 数か月前に訪れた時よりも頭の位置が高くなったレイヴスの頭を撫で、自然とそんな言葉が漏れた。少し前まではしゃがまないと合わなかった視線の位置も、随分と高くなったように思う。
(自分の背を抜く頃には、
 きっと立派な、一人前の男になっている事だろう。)
 未だ「息子」と呼ぶ事は叶わない・・・傍で見守る事の出来ないレイヴスの成長は、レギスにとって嬉しくもあり寂しくもあった。

 公務の序でに・・・という口実を作り、レギスがテネブラエの親子の元を訪れた。
 レイヴスが12歳、ルナフレーナが8歳の頃のお話。

 レイヴスとルナフレーナの兄妹、そしてシルヴァとレギス達は、フェネスタラ宮殿から少し離れた場所にある花畑の傍に敷物を敷き、バスケットに詰めて来たルナフレーナお気に入りのお菓子を広げ、何時もの「秘密で特別なひと時」を過ごしていた。
 遡れるだけの記憶を辿っても・・・悪天候でも無い限り、いつもこの場所で細やかなお茶会を開いている。だから幼い頃からそれが当たり前ではあった。
 が・・・さすがに10歳も過ぎ、色々な事が分かるようになった頃、
「・・・母上。
 ルシスの国王陛下を歓待するのに外というのは、
 失礼では無いのですか?」
 レイヴスはふと、そう聞いてみた事があった。
 けれど母・シルヴァは「ここの方が、何時もと違って特別・・・って感じで良いでしょ?」と言い。当のレギスも「此処はゆっくり過ごせる、私のお気に入りの場所だよ」そう言って笑うものだから。
(二人がそう言うんだから、これで良いんだ。)
 それ以降、レイヴスもこの「秘密で特別なひと時」を、素直に受け入れる事にした。
 それに何より、
「だが・・・そんな事まで考えられるようになったのか。
 レイヴスは、賢い子だな。」
 敷物の上に座ったレギスに手を引かれるままに、彼の両足の間に収まる様な形で両膝を付くと、いつも通り大きな手で頭を撫でられ・・・ギュッと苦しい位に抱き締められ。
 レイヴスもそれに応える様に控え目に、広いその背に腕を回した。
(確かにルシスの国王は、人前でこんな事は出来ないだろうし。
 自分だってルシスの国王に、人前でこんな事は出来ないだろう。)
 こんな事が出来るのは、この場所だけ。
 だからこの場所で・・・自分達だけの「秘密で特別なひと時」で良いのだ、と。レイヴスはその時、子供心に思った。

「レイヴス、ルナフレーナ。
 レギス陛下と大事なお話があるから、
 貴方たちは向こうで遊んでらっしゃい。」
 レギスの傍に居られない事は残念だったけど、人目を気にせず自由に外で遊べる機会というのも稀だったので。母・シルヴァにそう促された子供達は、残念に思いながらも場所を移す事にした。
「ルナフレーナ、何をして遊ぼうか?」
 次期神凪として、人々から期待されるのは仕方なくても。期待に応える為に「無理をするのが当たり前」にはなって欲しくない。
 自分と居る時は、せめて「たった一人の妹」として甘やかしてやりたくて。

 幼い妹の手を引き、そう尋ねる。

 するとルナフレーナは頭の中を一巡する間の後、少し言い辛そうに視線を逸らせながら、
「この前、庭師さんが言ってたの。
 外れの森の中で、珍しい青い花を見たって。」
 庭師さんでも初めて見た・・・この世の物とは思えない程、綺麗な花だったって。
 だから、お兄様やお母様やレギス陛下に見せてあげたいなって。
「外れの森か・・・。」
 想定外の申し出に、思わずレイヴスも言い淀む。
 その外れの森と言うのは、今いる場所から見えている直ぐそこの森で、距離にして1~200m程度。当然、距離的には行けなくはない。
 ただ森の中というのは宮殿の傍とは言え、何が潜んでいるか分からない。
 事実、過去には安全面の確保という側面から「森を伐採した方が良いのでは?」という意見もあった程で。日頃から「危ないから、立ち入ってはいけない」と言い聞かされている、子供にとっては近くて遠い場所。
 でもレイヴスは、普段は人を困らせるような事を言わない妹だからこそ、その願いを叶えてやりたかった。だから、
「分かった。
 でも森の奥に入るのは危険だから。
 まずは森の際から覗いてみよう。」
 森の際から窺うだけなら、レギスやシルヴァの位置からコチラを確認出来るし。
 青い花であれば森の中でも目立つ筈だから、見付ける事が出来れば皆で見に行けば良い。
 レイヴスの提案は、ルナフレーナが望む満点の答えではなかったかもしれないけど。てっきり「そんな危ない事はダメだ」と叱られるとでも思っていたのか・・・それでもルナフレーナは満面の笑みを浮かべて頷いた。

 テネブラエの森はフェネスタラ宮殿の近くにある事からも分かる様に、基本的にはきちんと管理された森で、自然のままでも放置林という訳でも無く。故に森の外側と内側の境界線がハッキリしている。そういう意味では、ウッカリ奥まで踏み入ってしまう心配が無く「森の際から覗く」のには都合が良い森だった。
 でもそれは「外界から見た外側の森」の話で、内側を覗いてみれば日中であっても薄暗く。
 森を伐採出来ない理由「森の湖の傍には時折、一角獣が姿を現す」とも言い伝えられる、その非日常的な何とも言い表せない雰囲気は、レイヴスから見れば神秘的でもあり不気味でもあった。
 そんな兄の不安も他所に、青い花を探すのに夢中なルナフレーナにすれば周囲の様子など気にならないようで。
「ルナフレーナ、僕の後ろ・・・って約束だよ?
 そんなに前に出たら危ない。」
 ついつい夢中になり過ぎて森の中へ踏み込みそうになっては、しっかり手を繋いだままのレイヴスに引き戻される・・・というのを何度も繰り返している。

 そんなやり取りを何度繰り返したか・・・最初から数えてなどいなかったけど、レイヴスは根気強くルナフレーナの其れに付き合った。
 が、突然ルナフレーナはレイヴスに寄り添い、その手をキュっと引いた。小さな動きながら力強く。
 その動作にレイヴスは、飽きて二人の元に戻りたくなったのかと思い振り返ると・・・自分を見ているとばかり思っていた彼女は、未だまっすぐ目の前の森の中を見詰めていた。
「どうした、ルナフレーナ?」
 彼女らしからぬ、鋭くも怯えた様な・・・只ならぬ眼差し。
 しかし問い掛けても彼女から言葉は無く。不思議に思い妹が見ている方向に視線をやると、
「・・・・・・・・・?!」
 森の隅々まで青い花を真剣に探していたルナフレーナだからこそ、佇むソレに気付いたのだろう。
 実際、レイヴスは動きの無いソレを見付ける事が出来ず。意識を向けてようやく、薄暗い森のずっと奥・・・立ち並ぶ木々の隙間から、一体の大きな生き物がジッとコチラの様子を窺っているのを確認出来た。
 大きな生き物・・・と言うかモンスターに分類されるソレは、距離が空いているせいか、それとも基本的に好戦的な種では無いのか。レイヴスが気付いてからでも既に十数秒は経つが、今すぐ襲い掛かって来る様子ではない。
(このまま刺激しなければ、逃げられるだろうか?)
 勿論、襲い掛かって来る様子が無いのは良いのだけど。
 反面、これだけの時間が経っても様子を見るだけで動こうとしない・・・と言うのは、向こうが立ち去ってくれる見込みも薄いという事で。
 何時、襲い掛かって来るか分からない。この緊迫した状況で、幼い妹が何時までも大人しく待って居られるとは思えなかったし。
 レギス達が気付いてくれるのを待つのも、それは何時になるか?レギス達が気付いてくれるのが先か?いや、モンスターが襲ってくるのが先かもしれない?それこそレイヴスに分かる筈が無い。
 それなら・・・彼らとの距離は1~200m程度しか離れていない。仮に逃げ切る事は出来なくても、こちらの様子から危機的状況にある事が伝われば、きっと大人達が様子を見に・・・助けに来てくれるに違いない。
 ココで立ち尽くすのは良策では無いと判断したレイヴスは、怯えるルナフレーナを庇い促しながら、モンスターから視線を外さず少しずつ後退った。
 正確には、視線を外す事が出来なかった。
 距離もあるし、自分達との間には木々も立ち並んでいる。一瞬目を離した程度で、いきなり目の前に迫っているなんて事は無し、あんな巨体を見失う事も無いと頭では分かっていても。
 少しずつ少しずつ、ジリジリと後退る。そんな自分達を見て「どうしたのかしら?」と、母は気付いてくれただろうか・・・背後の状況を確認したかったけど、振り返る事は出来ない。
 と、その時・・・、
「・・・・・・キャッ!」
 少しずつとは言え、恐怖に震える足で後退る事は簡単では無く。重心を崩したルナフレーナが足を縺らせ転んでしまった。
 その大きな動きと少女の高い悲鳴が、モンスターを刺激してしまったらしい。立ち並ぶ木々を物ともせず、二人をターゲットと定めて向かって来る。
「立って、ルーナ!」
「お兄様、お兄様・・・!」
 12歳のレイヴスには、8歳のルナフレーナを担いで逃げる程の筋力も走力も無い。何とか手を引いて走って逃げたいが、いよいよ自分に向かって走って来るモンスターを前にして、混乱状態にある妹に兄の声は届かない。有りっ丈の力で左腕に縋り付かれ、レイヴス自身も碌に動けない。
 そうこうしている間にも、先程までの沈黙が嘘の様にモンスターは迫って来る。
(ルナフレーナは、僕が守る・・・!)
 だからレイヴスは左腕を預けたまま、転んだままのルナフレーナに覆い被さった。

 今の自分に出来る事・・・レギス達が駆け付けてくれるまで、少しでも時間が稼げるように。

 ルナフレーナはテネブラエにとって大事な次期神凪で。
 自分にとっては大事な「たった一人の妹」だから。
 例え自分が犠牲になってでも。
 絶対に、こんな所で、死なせちゃダメなんだ・・・と。

 神様に伝えるのは「願い事」では無く「感謝」だと。
 神に仕える神凪の一族として「神頼みではダメ」と教えられて来たレイヴスは、最後まで「神様」には縋らなかった。
 だからそれが、神に仕えて来た神凪一族への「神様」の慈悲だったかは分からない。

 でもそれは当に、神の奇跡のような出来事だった。

 直ぐ近くでザッと草を踏み締める音が聞こえ、いよいよかとレイヴスは覚悟したけれど・・・その後に続くと予想していた、身を割く様な痛みは一向に襲って来ず。緊張に強張ったままの筋肉を何とか叱咤し、モンスターが居た筈の背後を見やる。
 しかし、そこにあったのは想像していたソレでは無く、人1人分の真っ黒い人影。
「二人は無事か?!」
 最後、レイヴスは目を瞑ってしまったので。件のモンスターは牽制に慄いて逃げてしまったのか、それともあの一瞬で倒されてしまったのかは分からなかったけど。
「・・・お怪我はありませんか?」
「あ・・・・・・、」
 大丈夫です、と・・・続けた言葉は、ほとんど声に出ていなかったけど。
 有難う、という感謝の言葉も、唇の動きだけでしか伝える事は出来なかったけど。
「ルナフレーナ!レイヴス!」
「お母様!」
 遅れて駆け寄った母に、二人一緒くたに抱き寄せられる。
 母には散々「本当に怪我をしていないか?」と心配されたが、幸いレイヴスにケガはなく。
 ルナフレーナの方も、どうやら先程転んだ時に足を捻ってしまったそうだが・・・様子を見るに、骨折している風でも無い。数日もすれば普通に歩けるようになるだろう。
 と・・・一先ず、ルナフレーナの怪我の状況を確認出来た途端、妹を守りきれたという安堵から緊張の糸がプツリと切れてしまった。
 ・・・のも束の間。今度は「もし彼の助けが間に合っていなければ・・・」と、今になって両手の震えが止まらない。

 妹を守りきれた・・・?
 違う。
 自分では妹を・・・ルナフレーナを守る事は出来なかった。 

「レイヴス。
 貴方はよく頑張ったわ、もう大丈夫よ。」
 きっと真面目な子だから、自分のせいでこんな事になってしまったと悔いているのだろう・・・そう思ったシルヴァは、
「ルナフレーナを守ってくれて、有難う。」
 震えを隠す様に握り締められた彼の拳に、幼い妹を守り続けてくれたその手に、有りっ丈の感謝を込めて手を重ね。
「あぁ・・・あの状況で、大したものだ。」
 レギスは心底安心したように溜息を一つ吐くと、緊張で強張ったレイヴスの背中を宥める様に優しく摩ってくれた。

 でもレイヴスは、二人のその想いを素直に受け入れる事が出来なかった。
 妹の願いを聞いてやりたいと思ったのは本心だから、それを悔いてなどいない。
 悔いているのは、自分に妹を守る力が・・・強さが無かった事。
 だから「強くなりたい」と思った。
 誰かに頼るでも、神様に縋るでもなく。
 大事な人を、物を・・・自分の力で守れるようになりたい。

 それなら、こんな事でいつまでもへたり込んでいる場合では無い。
 もう少し二人の温もりに浸っていたいと、言う事を聞かない体を無理矢理立たせ。常にレギスの傍にある・・・先程、二人の命を救ってくれた人物の前に歩み出て、

「コル将軍、僕に剣術を教えて下さい。」

 普段から感情を表に出す事があまり無い彼なので・・・レイヴスからの突然の申し出をどう捉えたのか、傍目からそれを察する事は出来なかった。
 そんなコルとは対照的に、母・シルヴァは思いもよらない息子の言葉に驚きを露わにし、
「レイヴス・・・無理をしなくて良いのよ。
 貴方が、剣を握る必要なんて・・・、」
 咄嗟にそう言ってしまったが・・・どう告げるべきか、それはとても難しい事だった。
 本人が強くなりたいと望むならと・・・背中を押してやりたい、男の子の母としての想いと。
 神凪の一族としての在り方・・・民を想えば思い留まらせるべきと言う、神凪としての想い。

 そんな板挟みの想いに揺れるシルヴァの肩を、レギスは蟠りを押し出す様にポンッと叩いた。
 その意図は何かと顔を窺い見れば、彼は戸惑う自分とは打って変わって誇らしげ・・・嬉しそうでもあって。
 それだけで、レギスの想いはシルヴァに伝わった。

 この子は神凪の血を引く巫(かんなぎ)であると同時に、ルシス王家の血を引く王子でもあるのだから。
 守られるばかりではない・・・守る強さを求めるのは、この子にとって当たり前の事なのだ、と。
 両刃の神剣で、神に捧げる剣舞を舞い。
 片刃の真剣で、守るべき人々の為に剣を振るう。
 相反する様な其れは、レイヴスにとってはどちらも「自分の在るべき姿」であって・・・それはさながら、とうの昔に忘れ去られし古の伝承で語られた「剣の神」の様。

 そんなレギスの想いに気付いてしまっては、レイヴスの願いを無碍にも出来ず。
「レイヴスも男の子だものね。
 強くなりたいって・・・そう思うのも仕方ないか。
 でも絶対に無茶はしてはダメよ。それだけは約束して頂戴。」
「・・・だそうだ。
 ではコル。これからレイヴスの事、頼んだぞ。」
「・・・承知致しました。」
 やはりコルの表情から感情を読み取る事は出来なかったが、主命・・・しかもそんなに嬉しそうに言い付けられては、断る事など出来る筈が無く。
 コルは緊張の面持ちで立っているレイヴスに向き直り、鞘に収まったままの自分の刀を差し出した。
「・・・え?」
 その唐突な展開に「いきなり真剣?」と、一瞬場に戸惑いの空気が流れたが、そういう意味では無かったようで。
「きっと剣は、貴方が思っているよりも重い。」
 実際に持ってみろと言われているのだと察し、レイヴスは恐る恐る両手でコルの刀を受け取った。
 コルの刀は細身の剣の様に見えたが、剣舞用の剣しか持った事が無いレイヴスにすれば、確かに彼が言う様に想像以上に重い。
 いや、剣の重量だけの話でなく。
 その剣を持つ事で、背負う事になる責任も重い・・・という事なのだろう。だから、
「どんなに重くても、僕は逃げ出したりはしません。」
 それで守れるものが増えるなら、訓練からも責任からも逃げはしない。
 言葉少ななのはお互い様で・・・今まで特に考えた事も無かったけれど、意外と性が合っているのかもしれない。
 そんな二人だから、レイヴスの覚悟もコルには伝わったようで。彼はレイヴスから刀を受け取ると、
「貴方の剣は、此方で用意させて頂きます。
 次にお会いする機会までは、基礎鍛錬に励んで下さい。」
 確かに、戦う為の剣に対して無知な自分が用意するよりも、その道に長けた将軍の見立ての方が確かだろう。でも剣まで用意してもらうなんて、本当に良いのだろうか・・・と、戸惑いを隠せないレイヴスと。
 面倒を見るのなら、それ位は当たり前・・・とでも思っているのか?迷惑とは思っていないだろうけど、かと言って親切心の欠片も窺えない表情のコルを他所に。

 当事者二人よりも俄然やる気に燃えていたのが、ルシスの王様だった・・・とか何とか。

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 あの日から、数か月。
 まずは剣を振るだけの筋力と体力が無ければ訓練どころではない。レイヴスはコルに言われた事を守り、基礎鍛錬に励む毎日を送っていた。
 ルシスの将軍であるコルが、テネブラエを訪れる機会はそう多くはない。
 その数少ない機会を、自分の鍛錬不足で無駄にはしたく無かったから。今の自分に出来る事を、毎日毎日繰り返した。

 その努力の結果が・・・今、レイヴスのベッドの脇に立て掛けられている。
 正確には、ベッドに入ってからも手に取り眺めては、またベッドの脇に立て掛け・・・というのを何度も繰り返している。
 白い鞘に細やかな装飾が施された、一振りの剣。
 昼間、この剣を受け取った時。コルに対する印象からは意外・・・と言っては失礼だけど。鞘の美しく繊細な意匠を意外に思って見ていると、
「鞘に関しては、レギス陛下の意向だ。」
 軽い溜息と共に告げられた言葉に、レイヴスは妙に納得してしまった・・・その溜息の意味までは分からなかったけど。

 コルからの手解き一日目となる今日。教えて貰ったのは、剣を抜く、構える、鞘に戻す・・・そんな基本的な動作や、手入れの仕方だけだった。
 なので次回コルに会うまでに出来る自主練習は、今まで通りの基礎鍛錬と、今日習った基本動作といった地味な練習の積み重ね・・・と言う事になる。

 せっかく自分の剣を貰ったのに、少し拍子抜けと言うか・・・残念な気もするけど。

 確かに、色々な事を教えてもらいたいし、出来る様になりたいと思うし。
 勿論、早く強くなりたいと・・・色々なモノを守れるようになりたいとは思うけど。
 何事も基礎が大事なんだから頑張らなければと、自分自身に言い聞かせる。
 その為にも、忘れてはいけない・・・自分が強くなりたいと思った、あの日の出来事を。

 だからその戒めとして、レイヴスは自身の剣に銘を付けた。
 強くなりたいと思ったキッカケであり。
 守る為の強さを教えてくれた・・・この人の様になりたいと思った、憧れであり目標。

「アルバリオニス」

 憧れの人の名を貰って・・・なんて、さすがに恥ずかしくて誰にも言えないけれど。
 この剣を握り続ける限り、きっと自分は「強くなりたいと思った理由」を忘れない。
 自分の剣は「大切な人を守る為の剣」と・・・レイヴスは愛剣を抱き締め、そう誓いを立てた。

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《結論》
 今回の落し所。
 第二章のレイヴス君の、剣(=サーベル)のお師匠さんは「コル将軍」・・・って事になります。

 これに関しては前回書いた様に、自分が最初期から「レイヴスの剣に関わる要素&雰囲気は、そこはかとなく和(刀)っぽい」と思った時点で、【FF15】で「和(刀)キャラ」って言ったらコルしか思い浮かばなかったから・・・ってのと。
 直球で書いてあるから、レイヴスの剣の名前は「アルバリオニス」=「アルバ/リオニス」=「コル・リオニス」って。なので「じゃあ、もうコルで良いやん?」と。
 で「その場合、前半分のアルバって何ぞ?」って思って調べたら、ちゃんと「アルバ」ってモンスターが居るという事なので。
「アルバに襲われた時、コルが助けてくれたから。
 コル=命の恩人&剣の師匠・・・って事か。」
 ・・・って、自己完結した。
 偏見で申し訳ないんですが・・・ノクティスは自分の剣に名前を付けるにしても、そういう発想は無さそうだけど。レイヴスは真面目に「謂れ」とか「誓い」とかを込めた名前付けてそう。
 因みに、件のアルバなるモンスターが、どういう外見&特徴&テネブラエ近辺に出現するのかは知らない。コッチを見付けた途端襲い掛かって来るような好戦的なモンスターだと具合が悪いので、大人し目のモンスターにはさせてもらったけど。その辺りは「アルバって名前が残ってればイイや(=とにかく「想い出・記憶」が残ってる事が大事)」程度にしか思ってないから適当。

 そんな単純な理由でココまで引っ張って来た「レイヴスの師匠=コル将軍」というネタですが・・・実は他にも、話を消化するのに都合が良い点があって。
 それが、本来【FF15】ではノクティス8歳が持っていた「モンスターに襲われ、足に怪我を負ってしまった」って要素を、この時のルナフレーナを8歳にする事で、第二章から第一章へ継承出来るのと。
 モンスターに襲われるのはレイヴス自身では無くルナフレーナにする事で、「ルナフレーナを守る」って、ある意味レイヴスというキャラを構成するのに一番外せない重要要素をここで持たせられる事。

 実際には「モンスターに襲われる」って要素が出て来た時点では、ノクティスが8歳の頃にモンスターに襲われた件と繋がってるんだろうな・・・ってイメージだけだったので。ノクティスの対がレイヴスなら、第二章でも「モンスターに襲われるのはレイヴス(8歳)」のイメージだったんだけど。
 もう少し話が進んで「この事件がキッカケで、レイヴスがコルに師事するようになった」なら、さすがにレイヴス(8歳)では年齢的に厳しいな、と。
 なので「実際にモンスターに襲われ、足に怪我をするのはルナフレーナ(8歳)」に請け負ってもらい。レイヴス自身は12歳にする事で、何とか剣を持たせてもらえそうな年齢まで引き上げる。
 まぁ、12歳でも大概だけど、コル自身が15歳でレギスの護衛に就いてた位なので。自分自身の経験上、一般論は無視で「12歳なら、剣を持つのに早いと言う事は無い」って思ってそう・・・かなって。

 だから順番としては、当然【FF15】のノクティスの話が先にあって。そこからインスピレーションを受けて、第二章のルナフレーナ&レイヴスの話が出来た・・・って流れなんだけど。
 物語の流れとしては、先に第二章のルナフレーナ&レイヴスの話があったから。
 第一章では、本当は事実は違う(=原因は反ノクティス派の偽装工作)のに「ノクティスが8歳の時に怪我をした理由は、モンスターに襲われたから」ってなり。怪我の具合も「テネブラエに療養に行く程だから、きっと大きな怪我だったに違いない」ってなり。怪我の場所も「レギスが担いで逃げる程だから、きっと自分で歩けなかった=足を怪我していたに違いない」っていう風に、時の王家の都合が良いように寄って行ってしまった。
 前の世界(=第二章)の「誰かが子供の時にモンスターに襲われて、足を怪我したらしいよ」って「想い出・記憶」が、朧気に次の世界(=第一章)にも残っていたんだけど。
 その「想い出・記憶」はそのままではなく、次の世界の都合と帳尻が合うよう「改編・改竄」された結果、似ているけど違う「想い出・記憶」に変異してしまった・・・そういうイメージ。

 で、もう一つの大事な部分が、レイヴスに「ルナフレーナを守る」って志を持たせてやれる事。
 何度も書いている様に、第二章のルナフレーナは「守る必要が無い(=守らなくても大丈夫)」立場にあります。
 でもだからと言って「ルナフレーナを守らない&守らなくても良いと思ってるレイヴス」というのは、それはもう「そんなん、レイヴスじゃないやろ?!」って話になってしまうので。
 現状のテネブラエの惨劇以降のルナフレーナは、レイヴスが守ってやらなくても大丈夫⇒だからレイヴスは帝国に残る道を選べた・・・って話に落とし込むつもりなら。
 そのテネブラエの惨劇以前に、既に「ルナフレーナは自分が守る」ってレイヴスが決意するに至る何かがあった・・・って流れを作って提示しておかなきゃならない。
 それをこの「ルナフレーナ(8歳)&レイヴス(12歳)」の時点で回収しておければ、まぁ・・・剣の事も含め、色々と帳尻が合って都合が良いよね、と(こうやって「想い出・記憶」は改竄されていく)。

 神に仕える一族の王子でありながら、12歳の頃には「ルナフレーナは自分が守る!」って、大事な人を守る力を得る為、剣の道を選んだレイヴス君。
 確かに、ここまでの第二章のレイヴスは「ルナフレーナの心を守る為に、レギスとの関係を告げられなかった」等、精神的側面からルナフレーナを守っては居たんだけど。反面「ルナフレーナを守る為に、強くなる」と言った、戦闘能力&実際に戦う意志は見え辛かったので。
 この過去の話でちゃんと「妹を守る為に、強くなるんだ!」って、美しい兄妹愛を提示する事が出来れば、第一章のレイヴスの「彼が敵国であるニフルハイム帝国に身を置く事にした理由=ルナフレーナを守る為」にもバトンを渡せるので良いかと・・・そんな風に思ってる。
 だって、あの状況で「敵国であるニフルハイム帝国に身を置く理由」になる為には、よっぽど「自分が、ルナフレーナを守る」って「想い出・記憶」が色濃く残ってないと無理だろうから。

 最後はちょっと毛色が違うんだけど・・・。
 確か【FF15】ロキの設定で「コル将軍の事を、ライバル視している」ってのがあったと思うのですが。
 レイヴスの剣の師匠がコルと言う事は、ロキにとっては「コル=自分の上官・レイヴスの剣の師匠」って事になるので。
 基本、自分の事を語らないレイヴス君が、剣の話を振ると嬉しそうに話してくれるとか。
 その内容が、命の恩人でもあり剣の師匠でもあるコルの事をべた褒め・・・だったりしたら、確かにロキとしてはオモシロくないかもな、って。
 尤も「レイヴスの師匠であるコルを倒せたら、自分の方が上官より強いって事か!?」って謎方程式なのか。
 若しくは「コルがレイヴスにとって特別(師匠&命の恩人)ってのが、なんかモヤモヤする(但し、ロキ本人に自覚は無い)」って乙女発想なのかによって、大分印象は変わりますが。

■■□■□■□■□■□■□■□■□

【息子の事が可愛くて仕方が無いお実父さん(オマケ)】
「コル!レイヴスの剣が完成したそうだな?」
「はい。こちらになります。」
「サーベルのようだが・・・刀、なのか?」
「私は両刃剣は扱えませんので。
 教授しやすいよう、刀身には刀を仕込んでおります。」
「それはお前に任せる・・・が、」
「何か問題が?」
「真っ黒って・・・地味過ぎやしないか?」
「剣が華美である必要は無いかと。」
「にしてもだな!
 レイヴスは神凪の王子なのだから、
 もう少し見栄えという物が・・・、」
「・・・・・・・・・」
「せめて鞘を白くするとか、」
「・・・・・・」
「テネブラエらしい意匠を入れるとか・・・、」
「・・・私には理解しかねますので。
 鞘に関しては、陛下御自身が考案なさっては?」
「任せておけ!!」
(・・・・・・これが所謂、親バカという物なのか?)

「レイヴスを、コルに取られてしまった・・・寂しい。」
「あら・・・何を落ち込んでいるのかと思えば。」
「こんな事なら、私が直々教えてやれば良かった。」
「貴方がお願いした事でしょう?」
「これが、娘を嫁に持って行かれる父親の心境か・・・。」
「娘って・・・レイヴスは息子ですよ。
 何、馬鹿な事を言ってるの?」

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