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落書き帳の10ページ目

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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《新約 12》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【テネブラエの惨劇後の対応&処理は?】
 【レイヴスが本当に守りたかったモノ】
 【レイヴスの、実父・レギスに対する想い】

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 前回書いた様に「新約の第二章:レイヴス君の物語」は20歳から始まるんだけど。
 16歳当時の「テネブラエ惨劇~ニフルハイム帝国に身を置くに至った経緯」をフォローする為、この部分は「レイヴスの回想シーンにノクティスがジャンクションした」事で、その「想い出・記憶」を得た・・・という事になっています。

 じゃあ16~20歳までの空白期間。
 レイヴス君は帝国でどんな毎日を経て来て、物語開始時のレイヴス(20歳)に至るのか?

 ここに関しては、その辺りのモブキャラ(帝国兵)との会話で垣間見える・・・程度で良いと思っています。一々全部、レイヴスの回想シーンのジャンクションを挟むのもテンポ悪いし、想像する余地がある方が楽しいので。

 でも、ここでモブキャラの会話を書いてても全然伝わらないと思うので。
 個別案件&時系列順に、レイヴス君の16~20歳までをザックリ押さえておきます。

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【テネブラエの惨劇後の対応&処理は?】
 まず最初片付けなきゃならないのが、あんだけの大事になったテネブラエの惨劇を、関係者各位はどう対応&処理したか・・・って件。

 ですが・・・結論から言えば、何一つ「真実」は語られません。

 こんな大事になった以上、今回の件に関わっているルシス王国・テネブラエ、そしてニフルハイム帝国の最高責任者クラスが集まり、秘密裏に「今回の件をどう公表するか?」と言う話し合いの場が持たれたものの。

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 まず一番被害が大きかったテネブラエですが。
 シルヴァ亡き今「何故、このような争いが起こったのか?」って問いに、正直に答えようって人間が居ない。
 だって現場に集められていたのは「証人=レイヴスの件を認めさせたい重鎮・臣下達」だったので。
 そんな腹の中ドロドロしてる連中が「シルヴァとレギスがレイヴスの件を公表しようとしたから、何としても妨害したかった(レイヴスの件=自爆)」とか「本当の狙いはシルヴァでは無かった(じゃあ、誰だよって話)」とか「レイヴスを狙う人間、ノクティスを狙う人間・・・色々混じってて訳分からなくなった(狙ってる事、前提なの?)」なんて馬鹿正直に言う訳がない・・・だってそれが世間に出て困るのは、その場に居た自分達なんだから。
 なので口を揃えて「自分達にも何が起こったのか分からない」「気が付いた時にはシルヴァ様は・・・」って、知らぬ存ぜぬ&当たり障りのない事を言うしかなかった。
 要は自国領内で戦闘行為が発生し、国家元首を失い、王子と王女を一時保護に匿われても(⇐「お前らは信用出来ん」って言われてるようなモノ)。
「我々はルシスの王族一行を歓迎する為、あの場に集められただけで。
 ・・・何故、この様な事になったのか見当も付きません。」
「シルヴァ様もこの様な事となり、ご無念いかばかりか・・・。
 早く平穏な日々を取り戻す事、きっとそれを望んでおられる筈。」
 自分達は何も知らなかった・・・それ以上の事は何も知らされていなかったと。
 白々しいと思われようが、一貫してシラを切り通す事を選んだ。

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 対するもう片方の当事国・ルシス王国側はと言えば。
 当然、ルシス国王・レギスは国の最高責任者として、そしてその場に居た当事者として、この話し合いの場への列席を求められており。
 この惨劇の原因は自分にあった・・・つまり「自分とシルヴァがレイヴスの件を公表しようとした」ので「その反勢力の武力行使により、その場は混乱状態」となり「結果、シルヴァはレイヴスを庇って亡くなってしまった」事を証言しようと思っていた。
 尊い彼女の死に報いる為にも、自分が知る「真実」を開示するべきだと思っていた・・・けど。

「全ては我らが王のために」

 ルシス王家に忠実な臣下達は、それを正としなかった。
 だって、それを公表するという事は「この惨劇の原因は、自分にあった」と認める事に他ならず。捉えようによっては「シルヴァはレギスのせいで死んだ」と、テネブラエの民に思われかねない。
 古より続くルシス国王とテネブラエの関係を守る為には、その様な事は避けるべきだったし。
 シルヴァ亡き今、今まで隠し通して来た「レイヴスがレギスとシルヴァの実子」である事を公表した所で、誰がテネブラエの混乱を鎮めるのか?
 レギスはルシスの国王・・・テネブラエの統治者ではないのだから。
 今更その様な事を言ったところでテネブラエが混乱するだけ・・・「発言の責任が持てないのであれば、そのような事を言うべきでは無い」と苦言を呈され。

 そう言われてしまえば、レギスは彼らの言葉を是とするしかなかった。
 確かにシルヴァが亡くなった今、レイヴスの件を公にした所でテネブラエを更に混乱させるだけ。
 そしてその混乱は、テネブラエの兄妹を苦しめるだろう・・・でも自分はそれを傍で助けてやる事は出来ない。
 助けてやる事も出来ない・・・しかも二人を守る母を失った兄妹に、自分の独り善がりでそのような現実を突き付けるのは可哀想だと、レギスはそう思ってしまった。だから、

「テネブラエには、息子・ノクティスの怪我の療養の為に赴いた。
 何故あのような事になったのか・・・我々にも心当たりは無い。」

 ルシス王家に忠実な臣下達に言われたように、そう答えるしか無かった。
 遠く離れた二人の為には、今のままの方が良いのだと・・・そう自らに言い聞かせて。

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 そうなって来ると、ニフルハイム帝国としては困る訳です・・・だって当事者たちが揃いも揃って「何であんな事になったのか、自分達にも分かりません」って言い張ってるんだから。

 でもこれは、ある意味正しくて。
 だって「誰がシルヴァを殺したのか?」って言うのは、恐らく誰も分かっていない(だからこそモブキャラA⇒魔導兵として表現されている)。
 レイヴス自身が自分を殺そうとした人間が何処の誰か分からなかったという事は、見た目でテネブラエの人間なのか、ルシスの人間なのか分からなかった・・・という事だし。
 レイヴスを狙ったからと言って、それがどちらの国の「反レイヴス派」なのかは断定出来ないし。
 実行犯(=モブキャラA)に指示を出していた黒幕(=反勢力の重鎮・臣下)なら分かりそうなモノだけど。あの混乱極まる状況では自分の身を守るのに必死で、実際に手を下したのが自分の手駒だったのかなんて把握してない(=指示は出していたとしても、実際に殺したのが自分の手駒なのかは分かっていない状況)だろうし。
 実行犯がレイヴスを狙って用いたのは火炎放射器・・・これが事実で、背後からグラウカ将軍に刺し抜かれ、実行犯自らもその炎の中に倒れ込んだとすれば。後日ニフルハイム帝国が検分した所で、その遺体も炎に焼かれ判別不能になっていただろうから(+火炎放射器でなくても、森が全焼レベルなら調べようが無い)。
 白々しいまでの「何であんな事になったのか、自分達にも分かりません」と言う言葉は、ある意味正しく突き崩す事は難しい・・・だって本当に誰も、全てを知ってはいないんだから。

 そのような状況で、勝手な憶測から「ルシス側の人間に違いない」「テネブラエ内部の犯行だ」なんて実行犯を断定する事なんて出来る筈も無く。
 ニフルハイム帝国、テネブラエ、ルシス王国の三国共同声明として、
「ルシスの王族を歓迎する為に集まっていた所、
 紛れ込んだ何者かによって、神凪・シルヴァは殺害された。」
 皆が納得するかどうかは、この際関係無い・・・「真実」が隠されたままである以上、そう発表するしか無かった。

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 時系列としては「レイヴスとルナフレーナを帝国に連れ帰る」⇒「この会合で口裏を合わせる」⇒「アーデンがレイヴスを帝国に引き入れる&ルナフレーナはテネブラエに返す」って流れ。
 つまり前回の「アーデンの提案を受け、レイヴスは帝国に残る事を決意」したシーンは、この誰も「真実」を語ろうとも明らかにしようともしなかった会合の後だった・・・って事になるので。
 帝国宰相として、このクダラナイ会合に帝国皇帝イドラと共に赴いていたアーデンは、

(どいつもこいつも保身ばかりで、本当にどうしようもない。
 そんなだから「真実」が、世界から失われて行くんだ。)

 都合が悪いからと言って葬り去られた「真実」を、イオスの世界に取り戻す。
 その為に選ばれた「運命の王子」レイヴスを「実を知る」へと導く事が、「導き手」であるアーデンの目的なので。

「テネブラエのお偉いさんも、ルシスの・・・あぁ、君の父上も。
 何であんな事になったのか、自分達には分かりません・・・って言ってたよ。
 誰も「真実」を知らないんだってさ。どう思う?」

 テネブラエに戻っても、誰も「真実」を教えてはくれないし。
 ルシスに赴いたトコで、肝心の王サマがあの調子じゃアテにならない。
 だからさ・・・テネブラエでもルシスでも無く、ウチにおいでよ。

 今回の回想シーンとしては端折ったけど、実際にはこの辺までレイヴスに告げていたイメージ(その辺は「だから俺は帝国を選んだ」みたいな感じで、レギスと対峙した時にでも挟めばイイ)。
 レイヴス君は責任感強そうなので「ニフルハイム帝国の方が都合が良い」位ではテネブラエを離れない・・・「テネブラエやルシスでは駄目だ」って思う理由が必要だと思うので。
 テネブラエの重鎮や臣下、そしてルシス王であり実父でもあるレギスが「何であんな事になったのか、自分達には分かりません」って「真実」を隠すようでは、もうテネブラエもルシス王国も信じられない。
 だからレイヴスは、ルナフレーナと離れる事になってでも。
 世界が覆い隠す「真実」を自ら解き明かす為、ニフルハイム帝国とアーデンを選んだ。

 これ位は積んどかなきゃ、レイヴスが自主的にニフルハイム帝国を選んだ・・・って事にするには弱いかな、と。

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【レイヴスが本当に守りたかったモノ】
 そんな大人たちの自分勝手な口裏合わせで「テネブラエの惨劇」の事後処理は一応の決着を付け。
 一時保護されていたレイヴスとルナフレーナは、テネブラエに戻る事となった。
 ・・・んだけど、レイヴスは自らの意思でニフルハイム帝国に残る事を選んだ。

 このレイヴスが帝国に身を置く事になる流れは、レイヴスが帝国に「付いて行く」事を選んだか「残る」事を選んだかの違いはあれど【FF15】でもあって。
 兄の考えが分からないルナフレーナは「何故、帝国に?」と、レイヴスに問い掛け。
 そのレイヴスの返答を聞いても、彼女は納得する事が出来なかった。
 この辺りの事が原因でギクシャクと言うか、溝が出来たと言うか・・・本来仲の良かった兄と妹の間に、分かり合えない「何か」が生まれてしまった。
 自分自身、そんな印象を持っているのですが。

 そもそもの話【FF15】では、レイヴスはルナフレーナに対して何て説明してるの?
 いや「レイヴスとルナフレーナの間で、その件については話し合った」筈だろうけど。
 実際そうだとしても、ルナフレーナに対して「テネブラエやお前を守る為に、俺は帝国に残る」って言えるかなって。
 かと言って「母を見捨てたレギスへの復讐の為に、俺は帝国に残る」ってのも・・・絶対理解されないよね?これ言って理解されなかったから、ギクシャクしてるって事?

 まぁ、第二章ではその辺りの事はちょっと違った捉え方になるんで、【FF15】でどうであっても別に構わないんですけど。

 これ、何でかって言うと。前にも書いた様に、第二章のルナフレーナって守る必要が無いから。
 だってテネブラエと帝国の関係は良好なので、帝国からの圧力&介入って問題は起きないし。
 テネブラエ内部の人間だって、ルナフレーナが神凪の力を持っていようがいまいが彼女が神凪になる事は揺るぎないので、彼女を排除したい勢力なんて存在し無い・・・何ならシルヴァ亡き今、次期神凪であるルナフレーナは国を挙げて守らなきゃらない存在だし(帝国の指示では無く、テネブラエ内部の「ルナフレーナ様を守る為」って名目で軟禁されてた?)。
 仮に何らかの不信感からテネブラエがニフルハイム帝国に反旗を翻したいと思っても、400年も帝国の支配下にあるテネブラエに、帝国と戦えるだけの軍事力があるとは思えないし(昔は持っていたとしても、軍事力なんて真っ先に取り上げられてるだろうから)。
 当然、戦う力も無い従属国が宗主国に盾突くなんて事は現実的では無いので、シルヴァの件など不満があったとしても、正面切って帝国とやり合うなんて事にはならない筈。
 そして帝国側も、テネブラエとは今まで通りの関係継続を望んでいる・・・って言うか「テネブラエの惨劇」だって助けに行った側なので。それこそテネブラエの方から喧嘩吹っ掛けでもしない限り、帝国のスタンスは変わり様が無い。
 なので世界の設定として「レイヴスが自分の身を犠牲にしてまで、テネブラエやルナフレーナを守る為に帝国に残らなきゃならない」って状況に無い訳です。テネブラエもルナフレーナも、帝国の脅威になんて晒されてないんだから(寧ろ帝国に守られている)。
 因みにこれはアーデンとの関係でも言える事で・・・こういう状況なので、当然「国やルナフレーナを盾に取られて、アーデンの言う事を聞かなきゃならない」って捩じれた関係にもなりません、白アーデン(=献身者)だし。

 じゃあ、母を見捨てたレギスへの復讐の為に帝国に残る・・・って線ですが。
 これはもう第二章のレイヴスの行動指針から外れてしまうので、率直に言って有り得ない。
 だって今のレイヴス君は「ルシスの王なら当然の事として、レギスの事を恨んではいなかった(=理解しようとした)」けど、実はレイヴスはシルヴァとレギスの実子・・・と言う事実を知り「一人の人間として、嘗て愛した女性(=母・シルヴァ)を見捨てた事を、どう思っているのか本心を知りたい」という想いで動いているので。
 そもそも「母を見捨てたレギスへの復讐」なんて物騒な話にはならないし。

 当然、ルナフレーナから見て「敵国であるニフルハイム帝国に残るなんて・・・」って話にもならない、だって敵国じゃないから。

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 でも第一章に、レイヴスが帝国に残った理由として「ルナフレーナを守る為」「レギスに固執し彼を狙っていた」って「想い出・記憶」が継承されているのなら。
 過去のイオスの世界に当たる第二章に、その「想い出・記憶」の原型となる出来事&設定を積んでおかなきゃならない。
 だとしたら第二章のレイヴスは、ルナフレーナの何を守り、何故レギスに固執していたのか・・・ですが。この二つを絡めて見えて来る答えは、

 レイヴスはルナフレーナの「思い出の家族像」を守る為、
 レギスとの関係を明かす事が出来なかった。
 優しいお兄ちゃんは、大事な妹の心を守ってあげたかった。
 だから自分がレギスを追う本当の理由を告げられなかった・・・という事。

 第二章でのフルーレ家の家族模様に関しては【新約】でダラダラ書いて来たように、実は「レイヴスはシルヴァとレギスの実子」なんだけど、この二人が正式に結ばれる事は叶わず「お腹の子の真実を知った上で、ルナ父はシルヴァと結婚」し、「レイヴス誕生から四年後、正真正銘二人の子であるルナフレーナが生まれた」・・・つまりレイヴスとルナフレーナは異父兄妹だった、と言う事になっています。
 でも当然の事ながら、レイヴスとルナフレーナはその事を知らなかった。
 前にも書きましたが、フルーレ家に生まれながらも男児故に神凪になれない・・・生まれが複雑なレイヴスがここまで真っ直ぐ育って来れたのは、ルナ父が分け隔てなく我が子として接し愛してくれたからこそで。レイヴスもルナフレーナも、自分達の父親が違うなんて想像した事も無かった。それ程までに愛情深い人だった。
 確かに神凪一族という事で、親子間であっても神凪の責務を優先しなければならない・・・所謂普通の家族とは言えなかったかもしれないけど。
 それでも普段は普通の家族と何ら変わらない・・・シルヴァ、ルナ父、レイヴス、ルナフレーナの四人はそれ程までに仲の良い親子だった。
 それ程までに仲が良い親子だったからこそ、レイヴスもルナフレーナもそれを心の拠り所に頑張って来られた。神凪一族という重責にも耐えて来られた。

 それらは自分にとっても大切な想い出で・・・だからこそ告げる事が出来なかった。
 実は自分の本当の父親は、ルシスの王だという事を。
 だってそれを告げるという事は、ルナフレーナが大事に大事に抱えて来た・・・彼女が心の支えとして来た、優しい家族像を壊してしまうという事だから。
 勿論、それを告げた所で、父と母が自分達に向けてくれた愛情が失われる訳では無い。
 ルナフレーナだって、その事は分かってくれる筈。
 でもレイヴスは、ルナフレーナの顔を心を曇らせたくは無かった。
 自分達を愛し育ててくれた父と母が・・・実は自分達にそんな隠し事をしていたのかと、そう思わせたくは無かった。
 ただただレイヴスは、幼い妹の「想い出の家族像」を守ってやりたかった・・・それだけで。

「レギス陛下と話を付けねばならない・・・それが俺の使命だ。」

 だから自分は帝国に残ると告げても、ルナフレーナは分からないと涙ながらに首を横に振った。
 それはそうだろう・・・でもレイヴスは、今はそれで良いと思った。
 自分が何故ルシスの王を追うのかなんて、ルナフレーナは知らない方が良い。

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 という訳で・・・第二章のレイヴス君は「自分が犠牲になってでも、帝国の暴挙を未然に防ごうとした」とか「自分が帝国で力を持つ事で帝国内部から、ルナフレーナや国を守ろうとした」訳では無く。
 レギスに対しても「母を見捨てたレギスへの復讐」なんて微塵も思っておらず。

 ルナフレーナを悲しませたくなかった、彼女の心を守ってやりたかった。
 無念の死を迎えた母の為に、レギスの本心が・・・「真実」が知りたかった。
 妹の為、母の為・・・自分の事なんて何時も後回しで。
 レイヴスを突き動かすのは何時だって「大事な人」の為だった。

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【レイヴスの、実父・レギスに対する想い】
 ここまで書くと「妹&母親優先で、実際レイヴスはレギスの事をどう思ってたの?」ってなってしまいますが。
 レイヴスの場合はそれだけ「妹&母親への想いが強かった」だけで、決して「自分とレギスの関係なんて些細な事」と思っていた訳ではありません・・・それだと話が成り立たなくなるので困ります。だから、

 嘗てのレイヴス少年は、偶にやって来るルシスの王・・・レギスの事が大好きだった。
 レイヴスがフルーレ家の長兄である以上、神凪になる資格は無くとも、周囲の人間達は「神凪の一族」として彼を扱った。
 聡い子供だったレイヴス少年は、周囲の人間達の「神凪の一族」への期待を子供心に感じ取っていた。
 神凪にはなれないと言うのに、当たり前のように向けられる「神凪の一族」への期待。
 大半の人間に悪意は無いのだろうけど、まだ幼かったレイヴスは「神凪の一族」だから大事にされているようで・・・それが少し悲しかった。

 でもレギスは他の人間達とは違った。
「君のような息子が居て、母上も頼もしい事だろう。」
 視線を合わせる為にしゃがみ込み、大きな手で頭を撫でながらそう言ってくれた。
 大きな手、その指に光る指輪の輝きを・・・その指で髪を梳かれるのが嬉しかった事を、今でも覚えている。
 フルーレ家の子、神凪の兄なのだから・・・無意識に向けられる「神凪の一族」への言葉では無く。
 自分の事を見てくれている・・・レギスの言葉、眼差し、温もりは、レイヴス自身への想いとして真っ直ぐに届いた。
 そんな一人の子供として見てくれる、愛情を向けてくれるレギスに対し、父に申し訳なく思いながらも「もしも、レギス陛下が父上だったら・・・」と、夢見た事もあった。
 レイヴスはレギスの事を、ルシスの王と敬愛しながらも。
 彼が自分の父親であったらと・・・そうも思っていた。それ程までに、彼の事が大好きだった。

 けど・・・それは事実から返せば当然の事で。
 だってレギスはレイヴスの事を、フルーレ家の子、神凪の兄、神凪の一族・・・そうは思っていなかった。
(何時か自分の事を、父上と呼んで欲しい。)
 レギスがレイヴスに向けていた愛情は、正しく愛しい「我が子」への其れだったのだから。

 互いが互いを「父親」として「我が子」として求めていた。
 でもそれが夢ではなく「真実」と突き付けられた時。
 そうであれば良いと望んだ想いは、紛れも無い本心だった筈なのに。
 その「真実」が連れて来たのは、レイヴスにとってあまりに残酷な「現実」だった。

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