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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《偽典 30》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【まだ見ぬ待ち人を、想い待つ】
 【物言わぬ玉座は、静かに見詰め訴える】
 【どうかボクが、忘れてしまう前に】
 【辿り着けなかった、True Endへのフラグ】
 【2000年分の5秒の、真実の言葉】

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 前回の記事は、アーデン視点がメインで。
 その中でも、アーデンから見た「ソムヌスは、何を望んでこんな事をしているのか?」みたいなトコには触れましたが。
 今回はそれを踏まえた上で、アーデン視点だけでは見えなかった、ソムヌス視点を絡めた補足をしたいと思います。

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【まだ見ぬ待ち人を、想い待つ】
<Side:ARDYN>
 まずは前回で言うトコの「第一段階」・・・まだアーデンは「一応普通の人間」なので、そもそもソムヌスという存在を認識していません。
 とは言え、思い出せはしないけど、潜在的に「アーデン・イズニア」の「想い出・記憶」を持っているので。
 お屋敷に飾られていた「創世記絵画(レプリカ)」の剣神バハムートを見て、何となく違和感を感じたり。
 ソムヌスに似た特徴を持った人間に対して、何かしらの感情は向くかもしれない・・・その程度の感覚。

<Side:SOMNUS>
 今回こそ、兄上が還って来てくれると良いなぁ・・・って思いながら眠っている状態。
 ただ何度か書いていますが、ソムヌスは「アーデンが還って来る世界を創造する為」に、夢を見ている訳ではありません。
 彼はただ「アーデンが還って来る世界を願っている」⇒「その強い想いが、夢に反映される(但し夢なので、思う通りの夢を見る事は出来ない)」⇒「彼(クリスタルの中で眠る王)の夢が、幻光虫によって具現化」=これが「イオスの世界(子要素)」の成り立ちとなってしまっているだけです。
 そして勿論「アーデンが還って来れない世界になってしまった」からといって、意図して世界を終わらせ、新しい世界を創造している訳でも無い。
 アーデンが還って来れない・・・つまりその「イオスの世界(子要素)」で、アーデンが死んでしまうというのは、彼の還りを待つソムヌスにしたら最悪な悪夢なので。

 悪夢に魘され、目覚めてしまい(世界の終焉)。
 やっぱり還って来ない兄を想って、また兄を想い。
 その想いを抱えて、また眠りに就く(世界の再生)。

 悪夢を見たら目が覚めるし、眠りに就いたら夢を見る・・・そういう「当たり前の営み」が、世界の再生と終焉に直結してしまっているだけ。

 だから世界の創造主(=再生と終焉を繰り返している首謀者)は、ソムヌスに違いないんだけど。
 悪意を持って、意図的にやってる事では無いし。
 「怖い夢を見ても起きるな!」「眠くなっても寝るな!」って訳にも行かないので。
 ソムヌス自身を、所謂「今の世界を滅ぼして、新しい世界を創造する系のラスボス」って見るのは可哀想・・・そういう立ち位置で見ています。

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【物言わぬ玉座は、静かに見詰め訴える】
<Side:ARDYN>
 次の「第二段階(前)」は、アーデンが「アーデン・ルシス・チェラム」の「想い出・記憶」を継承した状態なので。
 自分の中にあった「アーデン・イズニア」の「想い出・記憶」とか、ヴァーサタイルのトコで得た「現在に伝わるイオスの世界の歴史・書籍・文献・調査結果」などの情報から、

 本当の自分は「アーデン・ルシス・チェラム」である事(本人の感覚的には「前世」位のモンかも)。
 「アーデン・ルシス・チェラム」を中心とした人間関係(ソムヌス&エイラ)の事。
 自分とエイラは特別な関係だったようだが、彼女は自分を庇ってソムヌスに斬り殺されてしまった事。
 初代王となる筈だった自分を亡き者にし、ソムヌスが王位を継いだ事。
 それ以降も、ルシス王家が自分達に都合が良いよう「改編・改竄」を繰り返し続けたせいで、「現在に伝わるイオスの世界の歴史」は、本当の「イオスの世界の歴史」とはかけ離れたモノになってしまっている。
 というトコまでは、手繰り寄せた。

 でも未だアーデンが探れる「想い出・記憶」は、「アーデン・イズニア」と「アーデン・ルシス・チェラム」のみ・・・つまりどちらも「人間」なので。
 人間の視点&感覚でしか捉えられない=ルシス王家のせいで「イオスの世界」の歴史がトンデモナイ事になっている事は分かっても。
 まさかそれが「イオスの世界」を跨いで行われている。
 ソムヌスによって「イオスの世界」は、再生と終焉を繰り返している・・・そこまでは分かっていなかった。

<Side:SOMNUS>
 ルシス王国の建国の際、本来なら新生ソルハイム王国として炎神イフリートが・・・彼と同じく「炎神の魂を持つ人間・アーデン」が王となるべきだった。
 でも彼は「闇に塗れた自分が、王となる訳にはいかない」と、自ら王位に就く事を拒み、抱え込んだ闇と共に永久の眠りに就く事を選んだ。
 兄が永久の眠りに就く事も。
 姉が彼を、永遠に溶ける事の無い氷の吐息で封じた事も。
 自分が二人を、二度と会えない事を覚悟の上で送り出した事も。
 全部、全部・・・世界の為を思っての事だった。
 そこに兄弟間の争いなんて微塵もなかった。

 それなのに・・・。

 兄は、殺しても死なない化け物扱いされ。
 姉は、アーデンを庇って死んでしまった事とされ。
 自分は「国や民を守る為」と言う大義名分を添えられ、アーデンを「ルシスの禁忌・アダギウム」として封印した・・・とされてしまった。

 だって、その方が王家にとって都合が良かったから・・・後の時代・世界の「忠実なる臣下達」が、そう歴史を「改編・改竄」してしまった。
 そして「それが民の為になるなら」と、時のルシス王家の人間は「改編・改竄」を是としてしまった。
 王となるべき兄がいたのに、その兄が突然姿を消し。
 その弟が王位を継いだと言うのであれば・・・弟の王位継承の正当性を示す為の「王位継承に相応しいシナリオ」があった方が都合が良いし。
 裏切者・炎神イフリートを崇めていた流れを汲み、新生ソルハイム王国として再興するよりも。新しい神・剣神バハムートを主神に掲げたルシス王国として、新たな国を興したとした方が「民達の為にも良いだろう」と・・・そう判断し、悪意無き「改編・改竄」してしまった。

 だからあの国は、本当はルシス王国ではなく、新生ソルハイム王国となる筈だった。
 だからあの玉座に座るべきは「炎神」の系統・・・炎神イフリートでありアーデンだった。
 だから今でも、あの場所・・・ルシス王国の玉座の間には、
 嘗て炎神イフリートが、アーデンが座っていた、
 ソルハイム王国時代の玉座が据えられている。

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【どうかボクが、忘れてしまう前に】
<Side:ARDYN>
 そして「第二段階(後)」では、同じ「炎神の魂を持つ存在」である炎神イフリートの「想い出・記憶」を継承した事により。
 アーデンは「神様」の視点を得て、「人間」の視点では捉える事が出来なかった、

 ソムヌスによって「イオスの世界(子要素)」は、再生と終焉を繰り返している事。
 自分と炎神イフリートの関係同様、ソムヌスとエイラも「神の魂を持つ存在」である事。
 炎神イフリートにとって、剣神バハムートは「守るべき幼い弟」で、彼をとても大事にしていた事。
 剣神バハムートにとって、炎神イフリートは「大好きな兄」で、彼をとても慕っていた事を思い出し。

 今までアーデンは、ソムヌスが全ての元凶(=悪者)と、思い込んでいたけど。
 炎神イフリートの「想い出・記憶」の中の剣神バハムートは、とてもそんな悪事を働くような「神様」には見えなかった。
 ただただ兄の事を慕い、兄の後ろを付いて歩く・・・幼く可愛らしい「神様」だった。
 その幼い剣神バハムートの「想い出・記憶」から、今まで記憶の奥底で眠ったままになっていた、別のソムヌスの「想い出・記憶」が呼び覚まされ。
 剣神バハムートとソムヌスは、同じ「剣神の魂を持つ存在」・・・つまりこの二者が似た性質を持つのなら。
 本当のソムヌスは剣神バハムートの様に、自分(=兄)を慕ってくれる「幼い弟」で。
 彼は悪意を持って「イオスの世界」の再生と終焉を繰り返しているのではなく。
「こんな滅茶苦茶な世界は嫌だ」と。
「大好きな兄姉と一緒の頃の世界がいい」と。
 今もグズリながら、嘗ての幸せだった頃の「イオスの世界」を夢見ているだけではないか・・・と思い当たった。

 勿論、それが「真実」かなんて分からない。
 過去の「想い出・記憶」が「事実」となり「真実」にすり替わっていくこの世界では、今ある「事実」が「真実」かなんて分からない。

 だからアーデンはソムヌスに会って、直接話しをしなければと思った。
 憶測や思い込みでは無い・・・本当の「真実」を聞かなければならない、と。
 きっとソムヌスは、アーデンを待っているだろう。
 そして剣神バハムートも、炎神イフリートを待っているだろう。
 幼い弟たちが、還らぬ兄を待ち続けているというのなら。
「一緒に行こう・・・オレが連れて行ってあげるよ。」
 自分たちは、会いに行かなければならない。
 消え逝く道を選ぼうとした炎神イフリートに、アーデンは手を差し伸べた。

<Side:SOMNUS>
 あの時、自分が「世界の理」を受け入れていれば。
 血に塗れた恐ろしい戦の神になんかなりたくないと、駄々を捏ねなければ。
 兄は今でも、人間達から尊ばれる「神様」で居られたに違いない。

 本当は炎神イフリートは、人間を滅ぼそうとした訳では無かった。
 ただ「人間に知恵を与えた神」の責任として、人間同士で傷つけ合うような「人間には過ぎた、悪しき知識・文明」を取り上げようとしただけだった。
 そうする事で、人間たちの「剣」へのイメージが嘗てのソレに還る事を望んだ・・・幼かった自分を守る為に。

 だから「魔大戦」での兄の力が、ラバティオ火山の噴火を誘発した際に。
 迫りくる溶岩を背に、兄は人間達を守ろうと立ち塞がった。
 神々との争いで傷付いて尚、兄は必死に人間達を守ろうとした。

 それなのに・・・。

 自分達の慢心が神の逆鱗に触れたのだと信じて疑わなかった人間達は、炎を背に現れた兄を見て「炎神が人間を裏切った」と、そう決め付け。
 嘗てソルハイム王国の王であり主神であった炎神イフリートを、裏切者として歴史から消し去ってしまった。

『兄上は、ボクの事、嫌いになってしまったのかな?
 だから、ボクの所に、帰って来てくれないのかな?』
 人間達が思い描く「剣神バハムート」となっても、何時も心の何処かが泣いている。
 苦しくて悲しくて・・・こんな想い出や記憶、忘れてしまいたい。
 きっと忘れてしまえば、楽になれるのに。
 忘れたくない、忘れられる筈が無い。
 だって忘れてしまえば「真実」が失われてしまう。
 どんなに苦しく悲しい「想い出・記憶」だったとしても、これが「真実」なのだから。
 大事に大事に抱え続けている・・・イオスの世界が、兄を忘れないように。

「大丈夫、兄上は必ず会いに来てくれる。
 そしたら兄上と姉上・・・三人でまた一緒にお昼寝出来る。」
 そしたらもう、怖い夢を見なくて済むよね・・・。
 同じ「剣神の魂」を持つ彼がそう言うのなら、きっとそうなのだろう。
 彼が彼の兄を信じる様に、自分も自分の兄を信じよう。
 今はどんなに遠く離れていても・・・二人で、二人の兄の還りを待ち続けている。

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【辿り着けなかった、True Endへのフラグ】
<Side:ARDYN>
 最後「第三段階」は、今まで未達だった【エピソード・アーデン】を完遂=アーデン&ソムヌス再会。彼の言葉を聞き、彼の本心を知り、この「イオスの世界」が再生と終焉を繰り返してしまっている本当の理由を知る。
 ですが・・・前回も書きましたが、今回の二次創作では【エピソード・アーデン】を完遂していないので、ここまでたどり着けません。全体像を把握しやすくする為、一応ザックリ書いておく程度です。
 イメージ的には「今回の二次創作のアーデンは、ここまで知らないまま」なんだけど「最終【FF15】のイオスの世界の時には、ちゃんとココまで分かってアーデンは動いてるんだな」位の感じで宜しくです。

 いくつかの「イオスの世界」を経て、漸くアーデンはインソムニアに還り付くも。
 建国の日を祝う民衆が崇めていたのは、人間達の「想い出・記憶」によって歪められてしまった可哀想な弟。
「これがソムヌス? ばかな」
 建国の日を祝いながらも、初代王の事を何も知らない人間達・・・あまりに愚か過ぎやしないか?
 そんな人間達が創り上げた「初代王」とされる騎士の像を見て、アーデンは怒気と共にそんな言葉を吐き捨てた。

 この長い歴史の中・・・本当に誰も、オカシイと思わなかったのだろうか?
 オカシイと思って尚、国が王家が権力者たちが知識人たちがそう言うのだからと、妄信的に信じて来たのか?
 それとも、今の自分達が良ければ、過去なんてどうでもイイと思っているのか?
 過去の歴史があって今がある、と・・・今の幸せを享受するだけの人間達には、そうは思えないのだろうか?
 自分で過去を見詰め、その真相を知ろうとは思わなかったのか?
 そんなだからこの世界は傾き続け、世界は「本当の終わり」を迎えようとしているんだ。

 世界自体がそんな調子だから・・・せっかく再会を果たしたソムヌスは、人間達の想う「初代王 ソムヌス・ルシス・チェラム」として、アーデンの前に立ちはだかった。

 一体どこから、こんなイメージになってしまったのだろう?
 甲冑に身を包み、剣を振るい・・・まるで「戦の神」みたいだ。
 そこまで考えて、ふと思い当たる。
 そう言えばソムヌスは「剣神の魂」を持つ存在で、本質は剣神バハムートと同じ。
 そして剣神バハムートは「両刃の剣」と「片刃の剣」の、二面性を持つ「剣の神様」だ。
 もしかしたら今のソムヌスのイメージは、「片刃の剣=戦の神」として恐れられた剣神バハムートから来ているのかもしれない。
 こうやって「想い出・記憶」と「想い出・記憶」が混じり合い、交錯し、誰も紐解こうとしないから、絡まったソレが「事実」とされ「真実」となって行くんだろう。尤も、
 「事実」と「真実」が先にあって、「想い出・記憶」が生まれるのか。
 「想い出・記憶」が先にあって、「事実」と「真実」が生まれるのか。
 再生と終焉を繰り返しているこの世界で、それを問うのはナンセンスだろう・・・恐らくそれは、本当の神様しか知り得ない、世界の理だろうから。

 全て全て、何もかも。
 弟が詫びる言葉ですら、彼の本心なのか分からない。
「心優しいソムヌス陛下は、本当は後悔し続けていて。
 自分がしてしまった事を、兄に詫びたいと思っているに違いない。」
 そんな都合の良い、誰かの「想い出・記憶」に、言わされているだけかもしれない。

「どこまで独りよがりなんだ お前は
 ふざけるな」
 それはオレだってそうだ、本当は「そんな風」に言いたい訳じゃない。でも、
「ルシスの禁忌・アダギウムは、
 自身を亡き者にした弟を恨んでいるに違いない。」
「言い逃れの様に、理由を二転三転させる自分勝手な弟を。
 彼は絶対に許さないだろう。」
 それこそ自分勝手な誰かの「想い出・記憶」に、言わされている・・・せっかく会いに来たのに弟にキツイ言葉を吐き捨てる、なんてヒドイ兄だ。

 長い長い時間と、いくつもの世界を経て・・・多くの人間たちの「想い出・記憶」から生まれたのが、今のオレたちの在り方だ。
 今の時代、今の世界では。
 兄弟の和解など、誰からも望まれていないらしい。

 でも・・・だったら、彼の最後の言葉。
「もう 安らかに眠ってくれ」
 どうして、そんな事を言う?
 もしかしたら、あの最後の言葉だけは彼の本当の言葉。
 まだ世界の誰からも歪められていない、今生まれたばかりの「真実」だったのかもしれない。
 尤も、オレがそう信じたいだけ・・・と言われれば、それまでだけど。

<Side:SOMNUS>
 この「イオスの世界(子要素)」は「クリスタルの中で眠るソムヌスが見ている夢が、幻光虫によって具現化した世界」です。
 でも「ソムヌスが見る夢」は、あくまでも「夢」なので。
 思い通りの夢を見る事は出来ない・・・普通に人間がどんなに「こういう夢を見たい!」と願掛けしながら布団に入っても、その夢を見れる訳では無いのと同じ理屈。
 何なら世界再生の際、イオスの世界の人間達の「想い出・記憶」の影響を受けてしまうので。
 イオスの世界が傾き、その世界の人間達の「想い出・記憶」が歪めば歪む程「ソムヌスが望む夢」からは遠ざかってしまう・・・そういう感じ。

 やっと兄上が会いに来てくれたと言うのに・・・今の自分はどうだ。
 国や民の為なら、兄すら手に掛ける事もやむ無しと。
 自ら手に掛け、亡き者にし、闇から国を守った救世主・・・「偉大なる初代王」として語り継がれた自分。
 鎧に身を包み、剣を握り締め、
 その剣を、待ち続けた、兄上に、向ける。
 こんな事、自分は望んではいない。

 しかしこの世界は、人間たちの「想い出・記憶」の影響を受ける。
 元より、この世界が幻光虫によって構成されている以上。
 幻光虫に記録された、過去の世界の「想い出・記憶」の影響を受け。
 新しい世界の「想い出・記憶」も幻光虫に記録され、次の世界へと継承される。

 過去の世界での、自分や兄上に対する「想い出・記憶」から。
 彼らが「初代国王・ソムヌス」と「ルシスの禁忌・アダギウム」が相まみえれば、この様な再会となるだろう・・・そう思うのなら、それがこの「イオスの世界(子要素)」での「事実」となり。
 次の「イオスの世界(子要素)」での「真実」となる・・・そういう世界だ。

 それは自分や兄上は勿論、「神様」と呼ばれる炎神イフリートですら例外では無い。
 この世界の全ては、幻光虫で再現された「想い出・記憶」の世界だ。
 だからこの世界の住人は誰であろうと、その世界の理から逃れる事は出来ない。

 果たして今の兄上は、この世界の真相を・・・世界の理を、どこまで理解しているのだろうか?
「オレの判断は正しかった
 兄上はやはり化け物だ」
 違う・・・そんな事を言いたいんじゃない。
「シガイはやはり消すべき存在であり
 兄上は王になるべきではなかったと」
 確かに其れは、そうかもしれない。
 だが、そうではない・・・そういう意味ではない。

 しかしそれを、いくら心の中で否定しても。
 救世主たる自分達の初代王は、闇を広める「ルシスの禁忌」を許す筈が無いと。
 王はこうあるべきだと、こうに違いないと・・・信じて疑わない人間たちの「想い出・記憶」によって、自分が書き換えられてしまう。

 やめてくれ・・・。
 本当のオレの事を何も知らない・・・全部忘れてしまったクセに。
 オレの事を、好き勝手に解釈しないでくれ。

「許されるはずもないが
 すまないことをした」
 言葉だけで言えば、それはオレ自身もそう思っている・・・兄上には、すまない事をしてしまったと。
 だが、この言葉だって、自分の本当の意味からは外れている。
 きっと人間たちは違う意味で「ソムヌス陛下なら、こう言うだろう」と、思っているだけだ。

 全て全て、何もかも。
 人間たちの「想い出・記憶」の上でしか動けない。
 彼らが思い願う「ソムヌス像」でしか存在出来ない。
 せっかく兄上が、長い長い年月と、いくつもの世界を経て会いに来てくれたと言うのに。
 結局、自分は・・・自分自身の本当の想いを告げる事は出来ないのか?
 
 長い長い年月と、いくつもの世界・・・この瞬間を、ずっと待ち続けていた。
 だからせめて10秒・・・オレに時間を与えて欲しい。
 いや、5秒でもいい。一言でいい。
「もう 安らかに眠ってくれ」
 オレのこの言葉の本当の意味が、兄上に届く事を祈るしかない。

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【2000年分の5秒の、真実の言葉】
 平行&比較を意識して書いてみたんですが・・・なんて言うか「確かにそう」だけど「そうじゃない」って感じ。
 例えば【エピソード・アーデン】での再会を今回の二次創作ベースで考えれば、事実だけ追い掛ければ「確かにそう」な訳です。
 すべてはお前の仕業・・・イオスの世界(子要素)が再生と終焉を繰り返しているのは、不可抗力とは言えソムヌスのせいだし。
 シガイに穢れた者を王にはできない・・・のも、そりゃそうだろうし。
 オレの判断は正しかった 兄上はやはり化け物だ・・・闇を取り込み続け、人ならざる者となってしまったアーデンを化け物と表現するなら、そのソムヌスの判断は正しかっただろうし。
 笑えない冗談だ 化け物はお前だろう?・・・人ならざる者を化け物と表現するなら、世界の再生と終焉を繰り返しているソムヌスだって、ある意味「化け物」だろうし。
 そもそも世界の「想い出・記憶」のせいで、ここまで「化け」てしまているんだから、アーデンもソムヌス「化け物」に違いない。

 でも「そうじゃない」んだよ。
 そういう「言い方」をしたい訳じゃない、そういう「言い方」だから「違う意味」に取られちゃう。
 けど、世界の理としてソムヌスもアーデンも、世界の「想い出・記憶」が望むソムヌス&アーデンになってしまっているので、自分の言葉で伝える事が出来ない。
 そんな事を繰り返しているせいで更に「事実」「真実」が歪んでしまい、世界が傾いてしまう・・・そんな感じ。

 だけど、やっぱり、さっき書いた様に「確かにそう」ではあるので。
 今回の二次創作のアーデンはソムヌスに対して「自分の都合に、世界を巻き込んではいけない」と怒っている。
 だってアーデンは、彼の言い分を聞いた上で、
「必要なら、諫めなきゃならない。
 自分で止まれないのなら、止めてやらなきゃならない。」
 その思いを胸に、ここまでやって来たんだから。
 ソムヌスの最後の言葉を聞くまで、アーデンがソムヌスに対して「怒りに似た感情」を持って接していたのは事実。

 これはメタい理由から見ても、そうでなきゃ茶番になってしまうから。
 二人共が「本当は人間の勝手な幻想に付き合わされてるだけで、全部真実じゃないんだろうな」って分かって戦ってても・・・興醒めでしかないし。

 なので、最後の最後。
 ソムヌスの言葉を聞くまで、アーデンは本気で戦っていた。
 でもソムヌスが最後に告げた「もう 安らかに眠ってくれ」という言葉を聞いて。
 漸くソムヌスの本当の願い。
 彼は「兄姉と一緒の世界がいい」という自分勝手で、世界の再生と終焉を繰り返している訳では無く。
 「三人肩を並べて、安らかな眠りに就ける世界」それが、二人を長い苦しみから解放出来る世界だと。
 弟・ソムヌスが、兄・アーデンと、姉・エイラの為に、そんな幸せな世界を夢見ているだけだと理解した。

 ソムヌスの「もう 安らかに眠ってくれ」という最後の一言が聞けたからこそ、アーデンは「真実」に辿り着けた訳で。
 やっぱり人間、ちゃんとコミュニケーションを取る事が大事なんだな・・・って話。
 そもそもこの世界って、今のトコ絶対悪が存在する訳では無く「皆が皆、相手の事を想うあまり。皆が皆、少しずつ間違ってしまった」⇒「その結果、世界が傾き続け。今やひっくり返ってしまう直前(バタフライ効果)」ってトコまで来ている世界だし。

 因みに「ソムヌスの言葉を聞いて」と言うのなら、もう少し手前。ソムヌスの姿に戻った時点から「ソムヌス自身の言葉」にしてもイイんじゃないか・・・って可能性ですが。
 自分的には「全て書き換えられた想い出・記憶」の上で、本当に「最後の言葉だけが真実」の方がキレイじゃないかなって思ったので、「もう 安らかに眠ってくれ」だけを「この世界で生まれた、唯一の真実」として拾っています。
 そもそもこれは逆からの発想で。
 さすがに「全て書き換えられた想い出・記憶」=「本当の想いを、何も言わせてもらえない」ってのは救いがない⇒「最後の言葉だけは真実」ってのが様式美に適ってるんじゃないか・・・と、思っての事なので。
 確かにあのシーンのソムヌスの言葉が真実なら「本当にアーデンに対して申し訳ないと思ってたんだな」って救いにはなるんだろうけど。あの部分も敢えて「想い出・記憶によって言わされている言葉」という扱いで見ています。

 ・・・ソムヌスの見た目も、本当は違うだろうし(オリジナルのソムヌスは、もっと分かり易くノクティスに似てると思う)。

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 ただ最後に後一つ・・・これだけは付け足しておきたいのが。
 確かにアーデンは世界の理により、世界の「想い出・記憶」が望む・・・あんなアーデンにされてしまったけど。
 それでも尚、アーデンの深い深い何処かには、ソムヌスに対する信頼があったんじゃないかな・・・って思ってます。

 これはソムヌスに対するアーデンの最後の言葉「どこまで独りよがりなんだ お前は ふざけるな」って言う台詞。
 ここに至るまで、アーデンの言葉を借りるなら「全部ただの言い訳だ 罪を償え」という様に、
 アーデンの事を化け物呼ばわり&シガイに穢れた者を王に出来ないとか。
 神から人を救う力を与えられたアーデンの事が妬ましかったのかもしれない&自分には何も与えられなかったとか。
 勝負が決した後は、ルシスの人の未来を守るため&それが自分たちに与えられた使命だったとか。
 最後には急にしおらしくなって、詫びだしたりとか・・・言ってる事がそれこそ二転三転するんだけど、総じて「自分にはそうしなければならない理由があった」って主張が強く、どうしても正当化&自己保身の為の言い訳に聞こえてしまう。

 でも、それならソムヌスに対するアーデンの台詞は「どこまで自分勝手なんだ お前は ふざけるな」の方が自然じゃないかな・・・と思って。
 いやだって言われてる本人にしたら、すっごい腹立つと思うよ「自分は悪くない(だってこういう理由があったから)」って、ずっと言い訳聞かされるんだもん。そりゃ「ふざけるな」って言いたくもなる。

 でもアーデンはココで「自分勝手」ではなく、敢えて「独りよがり」って言葉を使ってる。
 確かに深い理由なく「自分勝手より、独りよがりの方がアーデンらしくてイイよね」位の話かもしれないけど。
 この「独り善がり」って言葉を「他人の意見を無視して、自分だけでよいと思い込んでいること」という意味で捉えれば。
 この状態でもアーデンは「ソムヌスが言っている事は、どこまでも独りよがり」=「彼が言う事は確かに言い訳にも聞こえるけど、少なくとも内容は彼にとっての独善」=「それらの事実は、本心からルシスの人の為だと信じて行ってきた事」・・・そう思えたって事。
 もっとざっくり書けば、

「確かに言い訳にも聞こえるけど。
 その内容は自分を正当化する為に、尤もらしい事を言ってるんじゃなくて。
 兄も姉も傍に居ない・・・相談出来る近しい人間も居ない世界で。
 弟は本当にルシスの人の為・・・善かれと思ってやって来たんだろう。」

 つまりアーデンは、あのソムヌスの言葉の内容を・・・自分自身を穢れとして封印した事すら「ソムヌスは本当に、ルシスの人の為に善かれと思ってやって来た」って無意識下で思えていた。
 だからこそ、あの激高した状況にも関わらず。
 咄嗟に「自分勝手」では無く、「独りよがり」という言葉が口から出た。
 ・・・のだとしたら。それはやっぱり、アーデンの中の何処かに「ソムヌスを信じる心、信頼」が無いと、そうはならないんじゃないかなって。

 どんなに世界の「想い出・記憶」に歪められても。
 アーデンのずっとずっと奥深いトコには、弟を信じる気持ちが燻っている。
 もし、そうだとしたら。
 この兄弟も、少しは救われるんじゃないかな・・・って希望。

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