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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《偽典 22》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【恋人同士のように、仲の良過ぎた兄妹】
 【救世主の喪失と、残された人間達】
 【新生ソルハイム王国から、ルシス王国へ】

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【恋人同士のように、仲の良過ぎた兄妹】
 エイラとソムヌスに「新しい国」の件を任せ。
 一人、救済の旅に出たアーデン。
 ・・・とは言っても、救世主であるアーデンが賊に襲われでもしたら、一大事どころの話では無いので。
 その旅にはアーデンの護衛や世話役として、信の置ける人間が10人程同行していた。

 そんな旅を続ける彼らにとって、主と同じ時を過ごせる食事の時間というのは特別なひと時で。
 アーデン自身が、自分達の事を多くは語らない事もあって。
 畏れ多く思いながらも、ついつい口から言葉が零れ出てしまう・・・という事も、しばしばあった。
 これもそんな、ある日の出来事。
 皆で同じ質素な食事を終え、食後のひと時を過ごしていた時に、話しの流れからこんな話題が持ち上がった。

 アーデン様とエイラ様は、恋人同士・・・ではないのですか?

 その従者の言葉に、アーデンは首を傾げた。
 だって「炎神イフリート」にとって「氷神シヴァ」が双子の妹神だったように。
 アーデンにとってエイラは妹で・・・恋人同士なんてあり得なかったから。

 でも意外な事に、同行していた人間のほとんどが「自分もそう思っていた」と、口々に言う。
 それにはアーデンも心底驚いて。
 肩をすくめ、少しお道化た様にこう答えた。

 大切な存在には違いないけれど、そういった関係では無いよ・・・と。

 アーデンにとってエイラはあくまでも妹であって、そんな風に思った事は無い。
 でも「神様の魂を持つ人間」として創造されたアーデンは、自分達の身の上を語る事がなかった・・・というか、語る事が出来なかったので。
 この時も、エイラは妹だと明言する事は避け・・・有耶無耶に、はぐらかした。

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 救済の旅から戻ったアーデンは、この時の事を土産話がてらにエイラに話した。

 彼らの話を聞いて驚いたよ。
 どうやら、オレとエイラは恋人同士・・・と、間違われていたらしい。
 しかもそれが一人ではなくて、その場に居たほとんどが「自分もそう思っていた」と言うんだ。
「本当に?そんなことあるの?」
 だって同行していたのは人間達の中でも付き合いの長い、特に貴方を想い慕う者達だったのでしょ?
 そんな人間達が、貴方と私が恋人同士なんて・・・そんな勘違い、信じられないわ。
「本当さ 誰にでも間違いはあるんだね」
 恋人同士なんて、オレも信じられないよ・・・本当は兄と妹なのにね。
「ね」

 兄妹である自分達が、恋人同士なんて。
 人間達には、そんな風に見えていたのか・・・と。

 アーデンは「そんな勘違いをする人間達」が、面白いと思った。
 きっとエイラも「そんな面白い事があったの?」と・・・そう言って笑ってくれるだろう。
 そう信じて疑わなかったからこそ。
 アーデンは「こんな面白い話があったんだ」と、エイラに屈託なく語った。
 そんなアーデンの土産話に対して、彼の期待通りエイラも「ね」と、同意してくれた。
 だから「やっぱり、エイラもそう思うよね」と・・・当たり前に、そう思った。

 当たり前に、そう思ってしまったからこそ。
 「アーデンとエイラが恋人同士」という人間達の勘違いに対して、どこか嬉しそうな反応を見せたエイラの真意にも。
 「本当は兄妹なのだから、恋人同士なんて間違いだ」というアーデンに対して、「ね」と同意しながらも見せた、どこかやるせない寂し気な表情にも。
 アーデンは、気付いてやる事が出来なかった。

 内心「アーデンとエイラが恋人同士」という人間達の勘違いが、エイラは嬉しかった。
 本当にそうであったらと・・・そう思わずにはいられなかった。
 内心「本当は兄妹なのだから、恋人同士なんて間違いだ」というアーデンの言葉が、エイラは悲しかった。
 アーデンの言葉に澱みが無いからこそ、それが彼の嘘偽りない本心なんだと思い知らされて。
 それが事実であっても・・・その事実を突き付けられるのは辛かった。

「エイラ ずっと一緒にいてくれ」
 その言葉が兄としての言葉ではなく、恋人としての言葉だったらと。
 そう思ってしまう、願ってしまう。
 自分が抱くこの想いは、
 彼に対する後ろ暗い「闇」であり「罪」・・・それが分かっていても。

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【救世主の喪失と、残された人間達】
 アーデン達に付いてきた人間達は、当然「新たな国」の「王」にはアーデンが就くものだと思っていた。
 でも、ソムヌスは「アーデンは、もう帰って来ない」と言う。
「兄の使命は、世界中の人間達を救う事。
 だからこの地に留まるのではなく、
 もっと多くの人間達を救う為に、旅立つ事を選んだ。」
 その言葉には渋々ではあるものの、人間達は納得せざるを得なかった。
 だって彼ら自身、そういうアーデンに惹かれ、ここまで付いてきたのだから。

 でも、彼らがどうしても納得出来ない事があった。
 それが「エイラも一緒に行ってしまった」という事。
 今まではアーデンが一人で旅立つ事はあっても、彼女は不在の彼に代わり人間達を導く為この地に残っていた。
 その彼女が一緒に行ってしまったという事は。
 彼らに残されたのは、見た目に幼いソムヌス一人で。
 既に国として成っているのなら兎に角、「建国の王」「初代王」に据えるには、あまりに頼りなく。

 エイラとの関係を「恋人同士では無い」とアーデン自身が否定した事で、「恋人同士ではないのに特別仲が良い=兄妹関係」と思い込んでいた人間達は。
 長兄・アーデンが行くと言うのなら、せめて妹・エイラだけでも呼び戻すべき・・・と。
 エイラに、ソルハイムの王族・チェラム一族の生き残りとして、ソルハイム王国の復興を・・・と、強く訴えた。

 そんな、まだまだ未熟な・・・導き手を失い、新たな導き手を求める人間達に対し。
 年若いソムヌスは出来る限りの威厳を込めて、こう言い放った。
「エイラはチェラムの人間では無い。
 だからチェラム一族による、ソルハイムの復興を望むと言うのなら。
 アーデンが去った今、王となるべきは自分だ。」と。

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 「魂を持つ人間」として生まれた三人は、それぞれの神様に由来する力を持っていて、その力は人間達の信仰心に比例している。
 だから眠りに就いている「氷神シヴァ=エイラ」や、存在を抹消されてしまった「炎神イフリート=アーデン」に比べ、今の世界で一身に信仰を集めている「剣神バハムート=ソムヌス」の、神様としての力は強大だった。

 でも、彼らに許された救済は「神様の力による救済」ではなく、人間達が自分自身の力で生きて行く為に「強い心」へと導く事。
 なので知識豊かなアーデンや、聖女を思わせるエイラの言葉ほどに、年若いソムヌスの言葉には重みが無く・・・二人の様に人間達を導く事は難しかった。
「強い心で、きっと良くなると信じれば。
 その病気は治りますよ。」
 二人の様にソムヌスが言ったところで、その言葉を人間達は信じてくれなかった。
 信じてくれないという事は・・・人間達を救う事が出来ないという事だった。

 それにソムヌスの見た目は少年だったので。
 暗に「新しい国」の「王」にと望まれていたアーデンや。
 将来「王」となるアーデンを支える役割を望まれたエイラと違って。
 年若いソムヌスは、何かの役割を求められる事は無かった。
 それは「少年であるソムヌスに、役割を押し付けるのは酷だ」という人間達の気遣いだったのかもしれないけれど。
 役割を求められないという事は、期待されていないと・・・何かを成す「力」も与えて貰えないという事。

 なので、二人よりも強大な神様の力を持っていながらも、その力を発揮する事は出来ず。
 その見た目ゆえに、人間達を導く(=治療する)事も難しく、何の役割も力も持っていなかった・・・少年のソムヌスでは不安だと、人間達が思うのは当然と言えた。

 それはソムヌス自身、一番良く分かっていた。
 自分にはアーデンやエイラの様に、人間達を導く力は無い、と。

 でもソムヌスは、何としても自分が「新たな国」の「王」に・・・その役割を果たそうとした。
「エイラはチェラムの人間では無い。
 だからチェラム一族による、ソルハイムの復興を望むと言うのなら。
 アーデンが去った今、王となるべきは自分だ。」
 兄弟では無い・・・チェラムの一族では無いエイラには、その資格は無いのだと「嘘」をついてでも。
 彼女を兄弟という柵から解放し、楽にしてあげたかった・・・自由にしてあげたかったから。

 彼らの「王」になるという事が、何れは「真の王」という生贄になる事だと分かっていても。
 自分が「王」となり・・・託された人間達を導き、守り続けようと誓った。

 だって、アーデンと共に行く事を選んだエイラを。
 ソムヌスはどうしても、呼び戻す様な事はしたくなかったから。

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 人間として生を受け、地上に降り立ったあの日。
 どこか言いにくそうに、そして吹っ切れた様に、エイラはソムヌスにこう言った。
「ねぇ、ソムヌス。
 これからは、私の事は名前で呼んで。」
「今まで通り、姉上では駄目なの?
 姉上・・・エイラは、
 僕や兄上と兄弟なのは、嫌になったの?」
「そんな顔をしないで。
 そうは言っていないわ。あのね・・・・・・、」

 別に兄弟が、嫌って訳じゃないのよ。
 だって二人は私にとって、大事な兄弟だから。
 ただ・・・せっかくだもの。
 人間として兄弟に囚われない、新しい関係にも憧れるの。
 だから、最初から兄弟って・・・決め付けられたくないなって。

 何故、エイラは兄弟と決め付けられる事を拒んだのか?
 その時のソムヌスには理解出来なかったけれど・・・今なら分かる気がする。
 エイラにとって兄弟という関係は、柵だったのではないか、と。
 彼女は一人の女性として、アーデンに愛して欲しかった。
 だから「妹」という柵から、解放されたかったのではないか、と。

 でも、そんな彼女の細やかな望みが叶う事は無く。
 結局、彼女が兄弟という柵から解放される事は無かった。
 どんなに兄弟ではない関係に憧れても、やっぱり兄弟という柵に囚われてしまう。
 まるでそれが、逃れられない運命だとでもいう様に。

 だからソムヌスは、エイラをその柵から解放してあげたかった。
 エイラはチェラムの一族ではない。
 自分達の兄弟ではないと「嘘」をついてでも、自由にしてあげたかった。
 例えこの「嘘」で、真実が歪んでしまうとしても。
 大好きな姉だからこそ、大好きな兄と一緒に・・・幸せになって欲しかった。

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【新生ソルハイム王国から、ルシス王国へ】
 こうして人間達は、ソルハイム復興の象徴であるチェラム一族の長兄・アーデンと、妹・エイラを失ったものの。
 一人残った末弟・ソムヌスを「初代王」に、念願の「新生ソルハイム王国」の建国に漕ぎ着けた。

 でも「新生ソルハイム王国」とは言っても、ソルハイムの主神であった「炎神イフリート」は既に人々の記憶に薄く、未だ眠り就いたままだったし。
 「剣神の魂を持つ人間」であるソムヌスが治める以上、主神が「剣神バハムート」となるのも自然な流れで。

 この時代の人間達が「ソルハイムの復興」を目指したのは、間違いない事実だったのだけれど。
 後の時代の人間達が「ソルハイムとは関連の無い地に興った事」や、「崇める主神が異なる」といった客観的事実と。
 何より「自国の嘗ての主神が、裏切り者の炎神イフリート」であり「王家の人間は、その血を継いでいる」事を、自国の穢れと・・・「その様な事実は、国にとって不都合なのでは?」と考えた結果。

「古代ソルハイムより続く、新生ソルハイム王国ではなく。
 寧ろソルハイムとは別の国として、分かれた方が良いのではないか?」
 という、自国を想っての思い込みから。
 ソルハイムをルーツに持ちながらも、それらを否定し。
 ソムヌスを「初代王」とした「ルシス王国」の建国へと、歴史を改編・改竄してしまった。
 裏切者である「炎神イフリート」を主神と崇めていたような、古い国との繋がりを闇に葬り。
 聖神となった「剣神バハムート」を主神と崇める、新しい国として再出発する事を選んだ。

 これにより、たくさんの「王の剣」が、打ち捨てられてしまった。
 だってルシス王国が認めたのは、新しい時代の「王」達の、輝かしい記憶・想い出だけで。
 自分達にとって都合が悪い、古の時代の「王」達の記憶など・・・誰も必要としなかったから。

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 ここまでが、思っていた以上に長くなった「六神神話(地上・人間世界編)」となります。
 因みに、この辺りの事は【エピソード・アーデン】での情報しか持っていないので、イメージしにくく・・・何時にも増して、大分ザックリです。

 そんなザックリながらも大前提として見ているのが、
①チェラム一族はソルハイム時代から続く血統で、ソルハイム王家(だから「炎神イフリート」はアーデンを一目見ただけで「チェラムの者」と分かった)。
②つまりソルハイム王国は、ルシス王国の前身(チェラム一族で繋がっている)。
③但し、ソルハイム王国は「兄・炎神イフリート(の魂を持つ人間)」の一族&ルシス王国は「弟・剣神バハムート(の魂を持つ人間)」の一族。
④だからチェラム一族で繋がってはいるんだけど、大本が兄&弟で分かれている=故に後年、ソルハイムとルシスに分かれる事になった。
⑤ルシス王国初代国王・ソムヌスは「神の力を授かった(人間)」ではなく、「剣神」という神様によって生み出された「剣神の魂を持つ人間」=そもそも人間ではなく、神様の化身・分身のような存在(アーデン&エイラも同様の存在)。
⑥アーデンはソムヌスに殺された&封印されたのではなく、エイラによって氷漬けにされ眠りに就いた(身に宿した闇を解放しない為)。
⑦アーデンは「葬られた」のではなく、世界の為に自ら「葬られる事を選んだ」・・・だから「剣神バハムート」は、献身者・アーデンを「愚かな男」と憐れんだ。
⑧想像以上に、エイラがヤンデレ&メンヘラ気味だった。
⑨エイラが犯した罪とは密告云々ではなく、「兄・アーデンの特別な存在になりたい」or「一人の女性として愛して欲しい」と、願ってしまった事。
⑩それを察していたから、ソムヌスはエイラを「兄弟関係」という柵から「解放」してやった(「兄弟関係」でなければ、エイラのアーデンへの想いは「罪」にはならない)。

 この辺りの補足を次回書いて。
 最後「炎神の魂の輪の外の存在=アーデン・イズニア」が何者だったのかを書いたら、この「偽典」で書きたかった事は一通り終わり(予定)。
 やっとゴールが見えて来たという事で・・・もうしばらくお付き合い頂ければと思います。

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