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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《偽典 20》

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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
 【人間達の希望となった「剣神バハムート」】
 【「炎神の魂を持つ人間」アーデンの誕生】
 【「三人一緒なら・・・」兄弟の絆と、贖罪の旅】
 【禁断の救済・禁忌・アーデンの奇跡】

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 今回は、前回持ち越しにしてしまった「六神神話(地上・人間世界編)」ですが。
 鍵を握っているんだろうな・・・って「ソルハイム(王国・文明)」の事が、正直全然分からない。何て言うか・・・、

 ソルハイム(王国・文明)って「ラバティオ火山の近く(炎神イフリート由来ならコッチのイメージ?)」or「ニフルハイム帝国領(【エピソード・アーデン】の記録ではコッチ?)」どっちなの?・・・みたいな。

 という具合に、鍵になってる部分がアヤフヤなままなので・・・何時にも増してフィーリング頼り&後日修正の可能性も大です、スミマセン(毎回謝ってる自覚はあり)。

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【人間達の希望となった「剣神バハムート」】
 弟「剣神バハムート」を、人間達の自分勝手な幻想から守ってやりたい。
 そんな兄「炎神イフリート」の想いから始まり、結果、人間世界にも大きな被害を齎す事となった「魔大戦」は。

 人間達の「剣の神様」へのイメージが、
 「片刃の剣=敵対者を屈服させる為の武器」から、
 「両刃の剣=神様に祈りを捧げる神聖な物」へ。

 終結後「剣神バハムート」が、嘗ての神性を取り戻していた事からも分かるように、人間達は「神様」への信仰を取り戻していた。
 それは、その結果だけを見れば、弟を守りたかった「炎神イフリート」の望み通りだったのだけれど。

 それと引き換えに「炎神イフリート」は、人間を滅ぼそうと「魔大戦」を引き起こした「裏切者」「悪い神様」として、人間達の記憶・記録から抹消されてしまった。
 それは人間達の「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」という想いから生まれ生かされている「幻獣」にとっては、存在の消滅を意味していて。
 だからこそ、その存在を世界に留めておく為に「氷神シヴァ」は、永遠に溶ける事の無いダイアモンドダストで「炎神イフリート」を封印し。
 他の「六神」達は、永い眠りに就く事となる「炎神イフリート」が、また「炎神イフリート」として目覚めた時の事を想って、炎の神と崇められた彼に相応しい場所・・・ラバティオ火山に運び込み、そこで眠らせてやり。
 その後は、彼らも「魔大戦」で失った力、自身を構成する幻光虫の再構築を促す為に、それぞれに相応しい場所で眠りに就く事を選んだ。

 また何時か何処かの世界では、
 嘗てのような「仲の良い兄弟姉妹神」である事を願って。
 消えゆく定めにある「炎神イフリート」を、無理矢理世界に留め置く。
 こんな事は世界の理に・・・神様の意志に背く事かもしれない。
 でもその為には、こうするしか方法は無いのだと・・・そう信じて。

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 つまり「六神」達の都合で言えば、そう言った事情で彼らも眠りに就く事になっただけなんだけど。
 人間達にすれば「神様」が人間の前に姿を見せなくなった、という事実は。
 それはまるで「神様」に見限られたような。
 ある意味、人間世界からの「神様」の消失を意味していた。
 だから「炎神イフリート」が自身を犠牲にしてまで、人間達の「神様」への信仰を取り戻した人間世界だったけど。
 でもその結果、人間達は神様は勿論、その分身である「神様(幻獣)」の姿を見る事も、声を聴く事も出来なくなってしまったので。
 人間達は「神様」への信仰に縋りながらも、直に「神様」の加護を実感できない・・・精神的にも社会的にも疲弊した毎日を余儀なくされていた。

 尤も、神様の分身である「神様」が見えなくなっただけで、神様はいつだって人間達の傍に居たし。
 幸いな事に、他の「六神」達は「裏切者」「悪い神様」として人間達の記憶・記録から抹消されてしまった「炎神イフリート」と違って、人間達に「魔大戦の時に、人間の味方をしてくれた神様」と見られていたので。
 その信仰心故に、彼らが眠りに就いてしまっても人間達の記憶・記録から消える事は無かったので、彼らが世界から消滅する事は無かった。
 ただ人間達も想う様に、彼らは「自身に相応しい場所で眠っている」だけで。

 そんな世界になってしまったからこそ、人間世界で力を持ったのが「剣神バハムート」だった。
 と言うのも、神性の変質により「戦う力を失った、戦いとは無縁な神様」となった彼は、実質「魔大戦」には加わっていなかったので、眠りに就く必要が無かった・・・「魔大戦」後も人間達の前に姿を見せてくれた数少ない「神様」で居られたし。
 人間達が「神様」の姿を見る事が出来なくなったからこそ、自分達の言葉を「神様」に伝えてくれる・・・「神様と人間と繋ぐ神様」と信じられた「剣神バハムート」への信仰は強くなり。
 たくさんの人間達の、様々な神様への想いを預かる「剣神バハムート」は、何時しか人間達にとっての最後の希望となっていた。

 大好きだった兄は、歴史の闇に葬られ。
 その他の兄姉も、永い眠りに就いた今。
 一人残された末っ子が、たった一人で人間達を守っていた。
 兄姉が目覚めた時に、人間達が幸せに暮らしている事。
 それこそが自分の為に戦ってくれた兄姉の為に対する、自分が果たすべき責任。
 自分自身に、そう言い聞かせて。

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【「炎神の魂を持つ人間」アーデンの誕生】
 そうは言っても、「魔大戦」により多くの「神様」を見失ってしまった人間達の嘆き・苦しみ・不安は大きく。
 神様と人間との橋渡し役を果たす「剣神バハムート」伝手に届く、人間達の悲痛な想い。
 眼下に広がる、実際に荒廃してしまった人間世界を見て。
 誰よりも心を痛めていたのは「炎神」と呼ばれる神様だった。

 この確かに存在はするんだけど、人間達が直接存在を捉える事が出来ない「炎神」という神様は。
 「炎神って神様は、きっとこんな神様に違いない」という人間の想いから生み出されたのが「炎神イフリート」=「炎神イフリート」は「炎神」のイメージを基にして生み出された、炎神の分身である「神様(幻獣)」と、いう関係になるので。
 魂だけの存在の「炎神」と、幻光虫で構成された魂の器(=体)を持つ「炎神イフリート」は、個としては別々の存在なんだけど。
 両者の魂は「炎神」という部分で繋がっている・・・つまり同じ「炎神の魂を持つ存在」=「自分自身に他ならない」という事になるので。

 自分の分身・・・と言うか、魂が自分と同じ「炎神イフリート」の行いによって、ここまで荒廃してしまった世界、疲弊してしまった人間達を見て。
 こんな事になってしまったのは、自分の行いのせいだと悔いた「炎神」は。
 何とかして人間達を導いてやりたい、復興の手助けをしてやりたい・・・我が事として、そう思わずにはいられなかった。

 でも自分の分身である「炎神イフリート」が「裏切者」「悪い神様」として、歴史・記憶から抹消されてしまった・・・と言う事は、それは「炎神」に対しても同じ事で。
 今回の「魔大戦」の一件で、人間達の「炎神」=「炎に関する神様」に対するイメージは悪い方に傾いてしまったので。
 いくら「炎神」が、「炎神イフリート」に代わる新たな「神様」を生み出して、人間達の為に尽力したい・・・そう思っても。
 「炎神イフリート」が「裏切者」「悪い神様」として、歴史・記憶から抹消されてしまった世界では、新たに「炎の神様は、きっとこんな神様に違いない」と、夢見てくれる人間なんて居る筈も無く。
 世界の理として「神様(幻獣)」は、神様を必要とする人間達の思いから生まれ生かされている存在・・・つまり「人間達の想い出・記憶という設計図」を必要とする以上、神様と言えども勝手に「神様(幻獣)」を生み出す事は出来なかった。

 それに、確かに「神様」の力は強大で、人間では成し得ない事まで叶える事が出来たけど。
 人間達の日々の有り触れた不満や要望を叶えるには、少々不向きだった。
 と言うのも、「神様」は確かに人間達の思いから生まれ生かされている存在だから「人間臭い神様」なんだけど、根本に在る魂はどうしたって神様なので。
 人間だからこその愛憎、葛藤、不自由・・・そう言った人間でなければ理解出来ない問題を、神様や「神様」は、我が事として共有し理解してやる事が出来なかった。

 なので「炎神」は、自身がその身となって苦楽を共にする事が出来れば、真に人間を理解する事が出来るかもしれない・・・そう考え。
 魂は自分と同じ「炎神」でありながら、人間としての器(=肉体)を持つ・・・つまり「人間としての自分」=「炎神の魂を持つ人間」を生み出した。

 だからその「神の魂を持つ人間」は、存在の在り方としては「人間」なんだけど。
 人間の母体を介さず、神様である「炎神」自ら「炎神の魂=設計図」+「幻光虫=素材」から生み出した人間だったので。
 嘗て人間達が、自分に対して持っていたイメージ・・・つまり「炎神イフリート」のイメージが反映された結果。
 「炎神イフリート」同様、赤い髪を持つ、長身で、顔立ちの整った男性・・・という特徴を持つ肉体が構成された。
 この男性こそ、後に「アーデン」と呼ばれる事になる「人間」で。
 彼は「炎神の魂を持つ人間」として人間世界に降り立ち、人間達を救済する為の長い旅路を歩む事となった。

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【「三人一緒なら・・・」兄弟の絆と、贖罪の旅】
 人間達の為の救済の旅・・・それはある意味、贖罪の旅とも言えるアーデンの旅だったけれど。
 一人でその罪と責任を背負おうとする彼に、二人の「人間」が同行する事となった。

「兄上・・・今度は俺達も、ご一緒します。」
 それがアーデン同様「神の魂を持つ人間」として「剣神」によって生み出された、「剣神の魂を持つ人間」・・・後に「ソムヌス」と呼ばれる事になる「人間」で。

「一人では行かせないわ。
 だって貴方には、私が必要なんだから。」
 「神の魂を持つ人間」として「氷神」によって生み出された「氷神の魂を持つ人間」・・・後に「エイラ」と呼ばれる事になる「人間」。

 「氷神シヴァ」と「剣神バハムート」は「魔大戦」後も、「炎神イフリート」を助ける事が出来なかった事を悔い続けていて。
 「同じ魂を持つ存在」の「氷神」「剣神」も、同じ想いを抱き続けていた。
 だからこそ、彼女らの想いに共感した二神によって、二人は生み出され。
 その二人が、兄も人間達も救いたい・・・そんな想いから付いて来てくれる事になった。

 今また一人で全部背負い込もうとする兄を助けたい、支えとなりたい、守りたい・・・何よりも、今度こそずっと一緒に居たい。
 今度こそ一人では行かせない、背負わせない。
 長く辛い贖罪の旅になるとしても、三人一緒ならきっと大丈夫・・・そう言ってくれた。

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 そんな兄思いの妹弟の支えを得たアーデンは荒廃した世界を救うにあたり、「魔大戦」で一番甚大な被害を被った地域・・・機械文明の発展による慢心から「自分達の驕りが神の逆鱗に触れた」と誤解した、ラバティオ火山近郊(クレイン地方)のソルハイム王国の復興を目指し、その地を訪れた。

 これは、同じ「炎神の魂」を持つ三位一体の関係にあるアーデンにすれば「炎神イフリート」=「炎神」=「アーデン」なので。
 嘗て「炎神」を、心から畏れ敬い崇拝してくれた。
 その信仰から「炎神イフリート」を生み出し、「主神」と崇めてくれた。
 今の自分と同じ「炎神の魂を持つ人間」を、「王」として認めてくれた。
 そんな何処よりも「炎神」に所縁深く、故に「魔大戦」の被害を被ってしまった国を。
 「炎神」が「炎神イフリート」が、そして「アーデン」が・・・「自分が愛した国」であるソルハイム王国の復興を、
「自分の事を慕ってくれた、ソルハイムの人々を救いたい。」
 そう望むのは当然の事だった・・・のだけれど。

 「炎神イフリートの逆鱗に触れた」とされるソルハイムの地は、まるで火山の噴火による被害かと疑う程の大きな被害を受けてしまったので。
 何とか生き延びたソルハイムの人々は、焼け野原と化したその地を捨て。
 自分達が生きて行く為の新たな土地を求めて、世界中に散らばってしまっていた。
 アーデン達が訪れた時には、国も民も・・・全て失った文明の名残だけが取り残されていた。

 だからこそアーデン達は、どこか一か所に拠点を構えるのではなく。
 イオスの世界を巡り歩く事で、自分のせいで散り散りとならざるを得なかったソルハイムの人々を救済しようと考えた。

 その瞬間から、アーデンの贖罪の旅は「世界中の人々を救う旅」となった。

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 でも、彼らは確かに「神の魂を持つ存人間」ではあったけど、そもそもその神様が万能な訳では無い・・・つまりアーデンなら「炎神」に由来する力しか持っていなかったし。
 あくまでも肉体(=器)は人間だから、人間の肉体というキャパシティーを越える奇跡を起こす事は出来ない・・・と言う制限を受けるので。

 奇跡の様に海を割って歩ける訳でも、空を飛んで山を越えられる訳でも無く。
 神の力で人々の傷を癒したり、何処かから水や食べ物を出現させる訳でも無く。

「きっと明日は、今日よりも良くなります。
 だから希望を持ち続けて・・・明日という未来を信じて下さい。」
「例え姿は見えなくても、
 神様はいつでも貴方の傍に居るのだから。
 頑張る貴方の事、神様も応援してくれますよ。」

 心が弱ってしまった人間に寄り添い励まし、「未来」「希望」と言った「今日より明日は・・・きっと未来は良くなる」と信じさせる事で、人間自身の「心の強さ」を取り戻させようとした。
 だって人間にとっての「本当の幸せ」は、神様に与えてもらうモノでも、神様が施すモノでもなく「自分の手で幸せを掴む事」であって。
 その為に必要なのが、未来を信じて歩み続ける「心の強さ」なんだから。
 それさえあれば神様に頼らずとも、人間は自分の力で逞しく生きていける。

 そんな人間達の力を信じていたからこそ・・・身を以て知っていたからこそ。
 彼らは「人間」という不自由な体で何年何十年何百年と、荒廃したイオスの世界の人間達を励まし続けた、救う為の旅を続けた。

 そうする事で、肉体への疲労・出来る事の限界という「人間」の不自由さを知り。
 そうする事で、親切にしてくれた人間達から「人間」の思いやりを知り。
 そうする事で、どんな事をしてもらったら人間は嬉しいのかという「人間」の求めるものを知り。
 人間達と交わる長い長い旅の中で、「人間」という存在を学んでいった結果。
 彼らは「魂は神様」でありながらも、とても「人間」らしく振る舞えるようになった。

 まさか彼ら自身が、神様の化身だなんて・・・人間達には想像すら出来ない程に。

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【禁断の救済・禁忌・アーデンの奇跡】
 世界中に散らばったソルハイムの人々を救う・・・つまりは世界中の人々を救う旅を続け、どれくらい経ったか?

 何時しか、アーデン達の人柄に惹かれた人間達が、「自分も共に行きたい」と付いてくるようになり。
 そんなアーデン達を慕う人間達がたくさん集まれば、「自分達を導いて欲しい」と願うようになり。
 その結果・・・彼らが、アーデン達による統治「新たな国」の建国を望むようになるのは、当然の流れと言えた。

 そんな人間達の想いを受け、
「人間達が心穏やかに暮らしていけるのであれば、
 ソルハイム王国の復興に拘るつもりは無い。」
 そう考えたアーデン達は新たな国の候補地として、嘗てのソルハイムの地ではなく。
 未だ人の手の及んでいない、海上に浮かぶ孤立した島を選んだ。

 でもアーデンには一つ心配な事があった、それが「寄生虫」による流行り病。
 とは言っても、この病の原理をアーデン達は理解していたので、どうすれば良いかは分かっていた。
 この「寄生虫」と言うのは、万物の元・生命エネルギー体である「幻光虫」が、勝手に寄生するよう変異しただけの物で。
 変異した「勝手に寄生する」という性質を除けば、元々人間自身も持っているエネルギー体「幻光虫」と同じ物に過ぎない。

 じゃあ、何故「恐ろしい病」とされたのか、と言うと。
 それは人間自身の「恐ろしい病に罹ったかもしれない」というネガティブな想いによって、寄生した「幻光虫」が、本当にそのように変異してしまうから。

 つまり逆に考えれば・・・人間自身の思い込みで「恐ろしい病」に変異させているだけなのだから。
「大丈夫・・・きっと良くなると、気をしっかり持てば。
 今すぐには無理でも、10日後には良くなっていますよ。」
 そう声を掛ける事によって、人間自身の思考をポジティブに戻してやれば、寄生した「幻光虫」は本当にそのように変異してしまう・・・つまり「恐ろしい病は治る」という事。

 原理としては、たったそれだけの事・・・言ってみれば「究極の病は気から現象」なんだけど。

 思い込む力が強ければ強い程、その思いに囚われてしまい。
 自力で抜け出せなくなって・・・その思い込みに殺されてしまう事だってある。
 だからこそ、そこに救いの手が必要なら、アーデンは立ち止まる訳には行かなかった。

 なので新たな国の件は、ソムヌスとエイラに任せ。
 アーデンは再び、一人で世界を巡る救済の旅に出た。
 勿論、二人もアーデンに付いて行こうとしたのだけど。
 人間達が新たな国の建国を求めるのなら、その想いを捨て置く事は心苦しい。
 だから自分に代わって、導いてやって欲しい・・・と。
 そんなどこまでも人間思いな兄の言葉に、二人は従うしかなかった。
 そんなどこまでも人間思いな兄から託されたのだから、二人は従うしかなかった。

 結局また・・・一人で全部背負ってしまう兄の背を、見送る事しか出来なかった。

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 こうして一人「寄生虫」による病を治療する旅に出たアーデンは。
 その巧みな話術と知識でもって、人間達が「未来を信じる強い心」を思い出し、自力で「恐ろしい病」に打ち勝てるよう、人々を導いて行った。
 あくまでもアーデンの救済は「この病気は治るんだ!」と、思い込ませる事だけだったけど。
 それが出来れば「この病気は治る」んだから・・・それで良かった。

 良かった筈・・・だった。
 でも人間達は、そうは思ってくれなかった。

 正しい知識を持たない人間達にすれば「原因不明の恐ろしい病」なんて、一刻も早く「何とか」したい。
 だから人間達は「原因不明の恐ろしい病」に罹った人間を、一刻も早く殺す事で「原因不明の恐ろしい病」を、自分の目の前から消し去ろうとした。
 本当は「この病気は治るんだ!」と・・・そう思い込めば治る、たったそれだけの事なのに。
 その1週間、10日先の未来を待ってはくれない。
 今、治らなければ殺されてしまう・・・何物にも代えがたい、大事な命が奪われてしまう。

 だから・・・アーデンは「禁忌」を犯した。
 本来アーデンに許される救済は、人間自身に「この病気は治るんだ!」と思い込ませ、自らの「未来を信じる強い心」でもって「恐ろしい病」が治るよう導く事。
 でも人間達が、それまでの時間を待ってはくれないのなら。
 化け物だと決めつけ、自身を正当化し・・・今、目の前の命を摘み取ってしまうのなら。
 だったら今、その「恐ろしい病」を治してみせる為に。
 その「恐ろしい病」に変異した「幻光虫」そのものを、アーデン自身が取り込んでしまう・・・それしか方法は残されていなかった。

 そうなると・・・今でなければ殺されてしまうかもしれない彼らが、自分もその奇跡の力で今すぐ治して欲しい、と願うのは当然で。
 我も我もと多くの人間達が「アーデンの奇跡」を求めるようになってしまい。
 アーデンの言葉は、人間の心を動かす事なんて出来ない・・・空しく上滑りするだけの言葉になってしまった。
「どうかこの子を、お救い下さい!
 でなければ・・・この子は殺されてしまいます・・・!」
「どうか彼女に救いを・・・神の奇跡を!」
 我が子を想う母親や、恋人を想う若者の悲痛な叫び・・・そんな自分に縋る指先を、振り払う事などアーデンには出来なかった。
 それが「禁忌」とされる行為であっても、それが分かっていても・・・アーデンは「命を救う」という使命を果たす為、その「治療」を続けてしまった。

 当然の事ながら、人間自身の「恐ろしい病」というネガティブに汚染された「幻光虫」を、自ら取り込み自身に「寄生」させるという行為は、アーデン自身を蝕んで行った。
 確かに彼は、神様である「炎神」自ら「炎神の魂=設計図」+「幻光虫=素材」から生み出した「炎神の魂を持つ人間」なので、どんなに肉体に「人間のネガティブに汚染された幻光虫」が寄生しようが、その「魂」が闇に堕ちる事は無い。
 だって「魂」は、どうしたって神様なんだから。
 でも「肉体(=魂の器)」の方は、そうはいかない。
 何故なら彼の肉体は「幻光虫=素材」に構成されているので、「人間のネガティブに汚染された幻光虫」を取り込むという事は、良くも悪くも「素材が雑じり合ってしまう」という事。
 しかも取り込んだ時の付随物として、その人間の「ネガティブな記憶・想い出」を一緒に抱え込んでしまうので。

 アーデンは「禁忌」の奇跡によって何百人、何千人と人間を救う事で、その人間の「ネガティブに汚染された幻光虫」と「ネガティブな記憶・想い出」を取り込み続けた結果。
 神様である「炎神」自ら「炎神の魂=設計図」+「幻光虫=素材」から生み出した「炎神の魂を持つ人間」でありながら。
 人間達の「ネガティブに汚染された幻光虫」と「ネガティブな記憶・想い出」に侵食された、イレギュラーな存在・・・「世界の理の外側」の存在となってしまった。

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