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FF15:レガリア(TYPE-F)で1000年の時を超える話《偽典 18》
- 2024/06/24 (Mon) |
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《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
【「壮大な兄弟喧嘩」から「魔大戦」へ】
【「氷神(シヴァ)」の苦悩と決断】
【「剣神(バハムート)」の苦悩と決断】
【失われた、それぞれの精一杯の愛の物語】
《今回の御品書き (FF15・二次創作モドキです) 》
【「壮大な兄弟喧嘩」から「魔大戦」へ】
【「氷神(シヴァ)」の苦悩と決断】
【「剣神(バハムート)」の苦悩と決断】
【失われた、それぞれの精一杯の愛の物語】
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【「壮大な兄弟喧嘩」から「魔大戦」へ】
後の人間世界では「魔大戦」と呼ばれる、神々の戦。
その始まりは、仲の良い兄弟姉妹神「六神」による、弟神「剣神(バハムート)」と「炎神(イフリート)」を想っての「壮大な兄弟喧嘩」だった。
だから彼らの兄弟喧嘩で終わっていれば、そこまで人間世界に大きな被害は及ばなかったかもしれない。
だって彼らは仲の良い兄弟姉妹神・・・つまり実力行使もやむを得ないとなっても「どこで折り合いをつけるか?」「自分達にとっても、人間達にとっても、越えてはならないライン」というのが、分かっていた筈だから。
でも、実際の「魔大戦」では、人間世界にも大きな被害が及んだ。
神々の争いに巻き込まれた事で、人間達が築き上げてきた国家・文明は荒廃し。
勝手に「神様」という希望を見失った人間達の心も、傷付き荒んでいった。
では何故、そこまで「壮大な兄弟喧嘩」が、人間世界をも巻き込む「魔大戦」へと発展してしまったのかと言うと。
そこには「六神」以外の存在が、大きく関わっていたから。
そもそもこの争いは、人間達の自分勝手な幻想で「神と通じる聖なる御子」から「勝利を齎す戦の神」へと歪められてしまった弟神「剣神(バハムート)」を救ってやりたい・・・という「炎神(イフリート)」の想いから始まった。
でも神様の分身「幻獣」である彼は、直接それを食い止める事が出来ないので。
「剣神(バハムート)」を歪める原因となっている、人間達の自分勝手な幻想を改める・・・つまり、剣に対するイメージを「敵対者を屈服させる為の武器」から、原初の「神様に祈りを捧げる神聖な物」へと回帰するよう。
嘗て人間に「知恵を授けた」とされる「炎神(イフリート)」だからこそ、「人間がそれらを正しく扱えないのなら、それらを取り上げる事も自身の責任だ」・・・そう信じて、人間同士で争うなんて悪しき方向に発展してしまった人間達の「知識・力」を取り上げようと考えた。
人間同士で殺し合う・・・こんな「片刃の剣=敵対者を屈服させる為の武器」を必要とする世界なんて間違っている。
人間と「神様」が共存していた世界に・・・人間達が「両刃の剣=神と通じる聖なる御子」を必要とした世界に戻したい。
そうすれば、きっと人間達も再び「神様」を愛してくれる、見てくれる。
そうすれば、きっと人間達も再び「剣神(バハムート)」を、嘗ての「神と通じる聖なる御子」として愛してくれる、見てくれる。
そうなれば・・・きっと「剣神(バハムート)」も、原初の「神様に祈りを捧げる神聖な物」から生み出された「神様」としての神性を取り戻し、嘗ての様に心穏やかに過ごせるだろうから。
そんな「炎神(イフリート)」の、人間と「神様」が共存していた世界に戻す事が出来れば、きっと人間達も再び「神様」を愛してくれる、見てくれる・・・という考えに共感したのが、後の世界で「二十四使」等と呼ばれる存在。
彼らは元々「幻獣」・・・つまり「六神」同様、人間達に「神様」として崇められていた神様の分身だったのだけれど。
人間達の信仰を得られなくなった事で「神様」としての位を失ってしまった・・・人間達に「神様」とは見て貰えなくなってしまった存在なので。
そんな彼らにとって「炎神(イフリート)」が求める、嘗ての様な人間達と「神様」が共存していた世界・・・というのは、この上なく心惹かれる世界だった。
だって、そのような世界に戻す事が出来たなら。
もう一度、自分を「神様」として認めてくれるかもしれない。
もう一度、人間達が自分を愛してくれる、見てくれるかもしれない。
彼らもまた人間達の「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」という想いを基に生み出された存在である以上、とても「人間臭い(元)神様」だったので。
「貴方が私の存在を信じてくれるなら、
私はいつでも貴方の傍に居る。
だから私を信じて、私を見て・・・!」
人間達に愛して欲しい、忘れないで欲しい・・・何よりも、自分を求めて欲しい。
人間達と繋がっていたい・・・彼らがそう願う事は、ごく自然な事だった。
なので、嘗ての様な人間達と「神様」が共存していた世界を夢見て、彼らは「炎神(イフリート)」の側に付いた。
彼らが「炎神(イフリート)」が何の為に戦う事を選んだのか・・・それを知っていたかのかというと、それはもう分からない。
でも、彼らにとっては大事だったのは「彼が目指した世界への回帰」だったので。
「炎神が自分達が望む世界への回帰を目指すと言うのなら。
我らも、炎神の手助けをしよう!」
そんな想いから、他の「六神」相手に一人で戦う「炎神(イフリート)」を助ける為に、各々彼らは「炎神(イフリート)」の力になろうとした。
のだけど・・・その「二十四使」達の「炎神(イフリート)」への期待・想いが、事態を想定外の方向に運んでしまった。
どう言う事かと言うと、各々彼らは「炎神(イフリート)」の力になろうとした・・・つまり、彼らは「炎神(イフリート)」の意思とは関係無く動いていて。
そんな彼らの動きを「炎神(イフリート)」自身が、統率・制御する事も出来なかったので。
「自分達が望む世界への回帰を目指す、炎神の手助けをしよう!」
炎神を助けたい・・・良かれと思っての想い故に、戦いの規模が大きくなってしまった。
仲の良い兄弟姉妹神での兄弟喧嘩なら「どこで折り合いをつけるか?」「自分達にとっても、人間達にとっても、越えてはならないライン」というのが分かっていたので・・・人間世界への被害を最小限に抑える事が出来た筈だった。
巻き添えで一国が滅んでしまうような・・・そんな大きな被害を出すつもり「炎神(イフリート)」には毛頭無かったのに。
結果。人間世界は、もう一度「神様」という希望を必要とする程に疲弊し。
「きっと人間が神様を蔑ろにしたから、お怒りになったに違いない。」
「神を排斥しようなどと言う傲慢さが、神の逆鱗に触れたのだ。」
人間達を滅ぼそうとした悪=「炎神(イフリート)」と、彼に組した「二十四使」。
人間達を守ろうとした善=他の「六神」達・・・という構図を、勝手に作り上げた。
つまり「炎神(イフリート)」は、自分が助力を求めた訳でも何でもないんだけど。
各々の想いから味方をしてくれた「二十四使」達の、罪・責任まで負わされてしまう事となり。
彼らが求めた、人間と「神様」が共存していた世界・・・もう一度「神様」という希望を必要とする世界を取り戻したにも係わらず。
人間達の勝手な解釈により「炎神(イフリート)」は「六神」という「神様」の位を剥奪され、絵画や経典からも抹消されてしまった。
これが「壮大な兄弟喧嘩」が、「魔大戦」と呼ばれる程の「人間世界と、他の神々を巻き込む大きな戦」となった理由で。
殊更「炎神(イフリート)」だけが「裏切者」「悪い神様」として矢面に立たされ、全部を背負わされ、闇に葬り去られてしまった理由。
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【「氷神(シヴァ)」の苦悩と決断】
話は前後して・・・「炎神(イフリート)」の対とされる「氷神(シヴァ)」が、この「壮大な兄弟喧嘩」をどう見ていたかと言うと。
この二神は「対でありながらも仲の良い双子神」とされていたように、とても仲の良い・・・それこそ「六神=兄弟姉妹神」という関係が失われた後の世界では、人間達に「恋人同士」と勘違いされる程に仲が良かった二神なので。
本当は「炎神(イフリート)」の、味方になってあげたかった。
彼女自身「剣神(バハムート)」の事も気の毒だと思っていたし、出来る事なら助けてあげたいと思っていたので。
自分にとっても、守ってあげたい可愛い弟。
彼を助けようと孤軍奮戦する、大好きな兄。
気持ちとしては、どちらも失いたくなかった・・・自分も二人を助けてあげたかった。
でも、気持ちとしては「炎神(イフリート)」達に付きたくても。
神様の分身「幻獣」として、それは叶わない事だとも理解していた。
「それが世界の理なのだから、仕方がない。」
これは上の三神が言う様に、「幻獣」が守らなければならない世界の理だったから。
そんな彼女のどっち付かずな態度を、他の兄姉が責める事は無かったけど。
互いが互いを・・・兄弟を想う故の、兄弟だからこそ避けられなかった衝突。
それを、どちらにも付く事も出来ず・・・見守る事しか出来ない、決断する事が出来ない。
そんな自分自身を責めていたのは、他ならぬ彼女自身で。
そうこうしている間に・・・兄弟喧嘩に「二十四使」が加わった事で、事態は収拾がつかない状況になってしまい。
今までどちら陣営にも就かずに静観していた様に見えた「氷神(シヴァ)」も、遂に事態を収拾する為に「六神」側に付いた。
「炎神(イフリート)」を押さえる事が出来るのは、対である「氷神(シヴァ)」しかいない。
人間達がそう想うのなら・・・彼女は、そうするしかなかったから。
それに「氷神(シヴァ)」自身、被害が人間世界にまで及び、収拾がつかなくなっている状況には危機感を覚えていたので。
きっとこうする事が、兄にとっても皆にとっても最善に違いない・・・。
彼女は「炎神(イフリート)」を、彼を唯一封じる事が出来る自身の吐息で眠りに就かせる事を選んだ。
絶対に「幻獣」が抗えない、世界の理・・・その本当の理由。
それは「幻獣」が、人間達の「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」という想いを基に生み出される存在・・・という事は。
「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」
そう想ってくれる人間が全て居なくなってしまっては・・・「幻獣」全て存在する事が出来なくなる、という事。
だから「幻獣」は、絶対に人間を守らなくてはならなかった。
確かに長い年月では、人間達の自分勝手により、姿形・神性を変質させられてしまう事もある。
嘗ての「水神(リヴァイアサン)」や「巨神(タイタン)」、そして今の「剣神(バハムート)」のように、全く違う「神様」に変えられてしまう事もある。
そうであっても人間達が存在し、神様を信じてくれている間は、「神様」として存在する事が出来る。
でも人間が絶滅してしまったら、人間の想いから生まれ生かされている「幻獣」は、存在する事が出来なくなってしまうし。
そもそも人間が居なくなってしまった世界には、神様の分身の「幻獣」なんて必要なくなってしまう。
それは「幻獣」にとって、絶対に避けなければならない事だったから。
例え、可愛い弟が「戦を統べる血に塗れた鬼神」となってしまっても。
愛する兄が「人間を滅ぼそうとした神様」となってしまっても。
また変われるかもしれない、嘗ての弟と兄に戻れるかもしれない。
人間が存在する限りは、希望を持ち続ける事は出来るのだから・・・そう自身に言い聞かせて。
人間達が、全て滅んでしまう。
その結果「幻獣」も全て滅んでしまう・・・そんな終焉の未来を回避する為に。
彼女は「魔大戦」と言われる程の規模になってしまった「壮大な兄弟喧嘩」を終結させる為。
人間達が想う「氷神(シヴァ)」として、「炎神(イフリート)」を封じる役割を果たす事を選んだ。
きっとそれは自分にしか出来ない・・・それこそが最愛の兄にしてやれる、精一杯の愛だと信じて。
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【「剣神(バハムート)」の苦悩と決断】
一方、兄姉神を傷付けまいと、自身の社に籠ってしまった「剣神(バハムート)」はと言うと。
神々の戦いに巻き込まれた人間達は、初めの頃こそ「神が人間に仇成すというのなら・・・」と、自慢の剣を手に「神様」達と戦おうと試みた。
でも当然の事ながら、人間達にはどうする事も出来なかったので(そもそも人間達は巻き添え=人間達を相手にしている訳では無いので、戦いにならない)。
「神様」の力を目の当たりにした人間達は、「最早、神など必要ない」という驕り高ぶった自分達の行いを悔い改め。
「神様」の前での自分達の無力さを痛感した人間達は、「神様どうか、我々を御救い下さい」と「神様」に救いを求めた。
そんな人間達の「神様」への心変わりに呼応するように、原初の神性を取り戻しつつあった「剣神(バハムート)」だったけれど。
人間達が「剣神(バハムート)」の神性を、
「勝利を齎す戦の神だったが、力に任せた己の行いを悔い改め。
人間達の為に、神と人間とを仲介する聖なる神となった。」
と、自分勝手に改編してしまったせいで、元通りに戻る事は出来なかった・・・特に見た目などは青年のままで、嘗てのような幼い子供の姿に戻る事は無かったけれど。
人間達が戦う為の剣を捨て、再び剣に神への祈りを捧げるようになった事で。
恐ろしい「戦を統べる血に塗れた鬼神」から、原初に近い「神と人間とを仲介する聖なる神」へ。
「剣神(バハムート)」は、血の衝動から解放され、嘗ての様な落ち着きを取り戻しつつあった。
でもそのせいで、彼は閉じ籠った社から出る事が出来ずにいた。
たくさんの「幻獣」を巻き込む事となった、神々の戦。
その原因は自分で・・・今尚、兄は自分の為に、他の兄姉と戦っている。
もう大丈夫だからと、伝えに行かなきゃならない。
もう戦わなくてイイんだと、止めに行かなきゃならない。
だって兄は、自分の為に戦っているんだから。
早く行かなきゃならない・・・これ以上、兄が「悪い神様」にされてしまう前に。
でも外の世界の戦いは、「二十四使」が加わった事で収拾が付かなくなっていて。
止めに行かなきゃならない・・・その想いは紛れも無い本心なんだけど。
既に「剣神(バハムート)」は、すっかり「戦う力を失った、争いとは無縁な神様」になってしまっていたので。
兄の元に、赴く事が出来なかった。
社の中から、神様に祈る事しか出来なかった。
「どうか、兄上・・・ご無事で・・・・・・。」
安全な所に籠って祈るだけ・・・なんて、臆病で卑怯だと思われるかもしれない。
でもそれが「神と人間とを仲介する聖なる神」となった「剣神(バハムート)」に出来る、精一杯だった。
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【失われた、それぞれの精一杯の愛の物語】
「魔大戦」の首謀者とされた「炎神(イフリート)」は、対である「氷神(シヴァ)」によって封じられ。
「炎神(イフリート)」という旗頭を失った事で、志を同じくしていた「二十四使」達は、散りじりとなり。
この戦いで力を使い果たした「六神」達は失った力を取り戻す為、それぞれ相応しい場所で眠りに就く事を選び。
こうして人間世界と多くの「幻獣」を巻き込んだ「魔大戦」は終結・・・となった。
という様に・・・人間達に言わせれば「炎神(イフリート)」と「二十四使」側が敗北し、「六神」側が勝利した、という結末だったのだけど。
嘗て「六神」の中でも主神として崇められていていた「炎神(イフリート)」に、「二十四使」達が加勢した事もあって。
勝利したとはいえ、実際の所「水神(リヴァイアサン)」「巨神(タイタン)」「雷神(ラムウ)」の三神も、大きく力と自身を構成する幻光虫を削がれてしまい。
彼らは、それぞれ相応しい場所で眠りに就く事を余儀なくされた。
そしてそれは、敗者とされた「炎神(イフリート)」も同様で。
「氷神(シヴァ)」のダイアモンドダストによって封じられた「炎神(イフリート)」は、その姿形・神性を取り戻すその時まで、彼に相応しい場所に安置される事となった。
仲違いした訳でも、憎んでいた訳でもない。
この様な事になってしまったけど、今でも大事な兄弟だったから。
兄弟姉妹達は、ちゃんと彼を眠らせてあげた。
残念な事に「人間を滅ぼそうとした神様」とされ、人間達の記憶から抹消されてしまった「炎神(イフリート)」は、恐らくこのままでは姿形・神性を維持できない・・・いずれ霧散してしまう。
何故かと言うと、彼らは「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」という想いを基に生み出された存在であったように、「人間達の記憶・想い出=設計図」とし「幻光虫=素材」で構成されている存在。
なので「人間達の記憶・想い出」という設計図を失ってしまうと、それに従って自身を構成していた「幻光虫」は、その姿形を維持出来なくなってしまうし。
勿論「人間達の記憶・想い出」が無くなってしまえば「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」どころの話では無く、当然その神性は失われてしまう・・・どんな「神様」だったかなんて、そもそも「炎神(イフリート)」という「神様」が存在した事すら忘れられてしまう。
それが分かっていたからこそ「氷神(シヴァ)」は、自身の永遠に溶ける事の無いダイアモンドダストによって、「炎神(イフリート)」という存在全部を封じ込めた。
つまり彼女が自身で「炎神(イフリート)」を封じる事を選んだのは。
彼を倒す・・・無に還す為では無く、寧ろ逆で。
彼という存在を守る・・・この世界に留める為。
永遠に溶ける事が無いダイアモンドダストなら、例え「炎神(イフリート)」が「人間達の記憶・想い出」という設計図を失ったとしても。
彼を構成する幻光虫をそのままの状態で留め、閉じ込めておく事が出来る筈。
だから彼女は最愛の兄を、自らの吐息で氷漬けにした。
それは兄との永い別れとなるので、勿論とても悲しく辛い事だったけど。
これは自分にしか出来ない事なのだと・・・最愛の兄にしてやれる、彼女の精一杯の愛だった。
そして他の「六神」達も、いつか「炎神(イフリート)」が嘗ての「炎神(イフリート)」として目覚める事を願い。
目覚めた彼にとって心地良い場所、心と体を休ませるに相応しい場所は何処かと考えた結果。
彼らは「氷神(シヴァ)」のダイアモンドダストに守られた「炎神(イフリート)」を、ラバティオ火山に運び眠らせてやった。
永い眠りから目覚めた弟が、少しでも心穏やかで居られるように、少しでも早く本来の自分を取り戻せるように。
そして、少しでも「炎神(イフリート)」らしく有る様に。
彼らは人間にとっての「神様」であって神様ではないので、こんな事しかしてやれなかったけど・・・兄弟姉妹として愛しい兄弟にしてやれる、彼らの精一杯の愛だった。
また何時か何処かの世界では、
嘗てのような「仲の良い兄弟姉妹神」である事を願って。
遠い昔に失われた「六神」の物語。
それは兄弟姉妹が兄弟を想う・・・それぞれの精一杯の愛の物語だった。
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と・・・ここまでが、遠い昔に失われた「六神」の物語。
イメージとしては「六神神話 (高天原編)」って感じです・・・高天原=天上に存在する「神様」の国、みたいな。
勿論これは「剣神バハムートが、嘗ての世界を恋しがっている」って設定に説得力を持たせる為、七瀬が考えたクチダケの出任せなんですけど。
もしも本当に、こういう過去の出来事があったのなら。
改編・改竄された記憶から生まれた、今のイオスの世界を認めたくない。
歪んでしまう前の・・・原初のイオスの世界を思い出して欲しい、知って欲しい。
そしてその記憶から、嘗てのようなイオスの世界が生まれて欲しい。
兄上大好き「剣神バハムート」なら、そう望んでしまっても仕方がないんじゃないかなって。
だってこんな、滅茶無茶に伝わってしまった結果のイオスの世界。
自分の為に頑張ってくれた兄上が、あまりにも可哀想だもん。
他の「六神」だって、何かもう滅茶苦茶だし。
・・・とは言っても、現状「だとしても、何でルシス王国が巻き込まれなきゃならないんだ?」って感じだと思いますので。
次回「六神神話 (葦原中国編)」・・・つまり「地上(人間世界)編」を書いて。
そこまで書いてから、全部まとめて補足します。でないと今の時点で補足を書いても、結局「パーツが出揃ってなくて中途半端⇒後からダブって補足」になってしまうので。
七瀬が思う「神様」の物語は、一先ず以上で終わりですが。
神様の物語は、まだ続くという事で・・・長くなりますがお付き合い頂ければと思います。
【「壮大な兄弟喧嘩」から「魔大戦」へ】
後の人間世界では「魔大戦」と呼ばれる、神々の戦。
その始まりは、仲の良い兄弟姉妹神「六神」による、弟神「剣神(バハムート)」と「炎神(イフリート)」を想っての「壮大な兄弟喧嘩」だった。
だから彼らの兄弟喧嘩で終わっていれば、そこまで人間世界に大きな被害は及ばなかったかもしれない。
だって彼らは仲の良い兄弟姉妹神・・・つまり実力行使もやむを得ないとなっても「どこで折り合いをつけるか?」「自分達にとっても、人間達にとっても、越えてはならないライン」というのが、分かっていた筈だから。
でも、実際の「魔大戦」では、人間世界にも大きな被害が及んだ。
神々の争いに巻き込まれた事で、人間達が築き上げてきた国家・文明は荒廃し。
勝手に「神様」という希望を見失った人間達の心も、傷付き荒んでいった。
では何故、そこまで「壮大な兄弟喧嘩」が、人間世界をも巻き込む「魔大戦」へと発展してしまったのかと言うと。
そこには「六神」以外の存在が、大きく関わっていたから。
そもそもこの争いは、人間達の自分勝手な幻想で「神と通じる聖なる御子」から「勝利を齎す戦の神」へと歪められてしまった弟神「剣神(バハムート)」を救ってやりたい・・・という「炎神(イフリート)」の想いから始まった。
でも神様の分身「幻獣」である彼は、直接それを食い止める事が出来ないので。
「剣神(バハムート)」を歪める原因となっている、人間達の自分勝手な幻想を改める・・・つまり、剣に対するイメージを「敵対者を屈服させる為の武器」から、原初の「神様に祈りを捧げる神聖な物」へと回帰するよう。
嘗て人間に「知恵を授けた」とされる「炎神(イフリート)」だからこそ、「人間がそれらを正しく扱えないのなら、それらを取り上げる事も自身の責任だ」・・・そう信じて、人間同士で争うなんて悪しき方向に発展してしまった人間達の「知識・力」を取り上げようと考えた。
人間同士で殺し合う・・・こんな「片刃の剣=敵対者を屈服させる為の武器」を必要とする世界なんて間違っている。
人間と「神様」が共存していた世界に・・・人間達が「両刃の剣=神と通じる聖なる御子」を必要とした世界に戻したい。
そうすれば、きっと人間達も再び「神様」を愛してくれる、見てくれる。
そうすれば、きっと人間達も再び「剣神(バハムート)」を、嘗ての「神と通じる聖なる御子」として愛してくれる、見てくれる。
そうなれば・・・きっと「剣神(バハムート)」も、原初の「神様に祈りを捧げる神聖な物」から生み出された「神様」としての神性を取り戻し、嘗ての様に心穏やかに過ごせるだろうから。
そんな「炎神(イフリート)」の、人間と「神様」が共存していた世界に戻す事が出来れば、きっと人間達も再び「神様」を愛してくれる、見てくれる・・・という考えに共感したのが、後の世界で「二十四使」等と呼ばれる存在。
彼らは元々「幻獣」・・・つまり「六神」同様、人間達に「神様」として崇められていた神様の分身だったのだけれど。
人間達の信仰を得られなくなった事で「神様」としての位を失ってしまった・・・人間達に「神様」とは見て貰えなくなってしまった存在なので。
そんな彼らにとって「炎神(イフリート)」が求める、嘗ての様な人間達と「神様」が共存していた世界・・・というのは、この上なく心惹かれる世界だった。
だって、そのような世界に戻す事が出来たなら。
もう一度、自分を「神様」として認めてくれるかもしれない。
もう一度、人間達が自分を愛してくれる、見てくれるかもしれない。
彼らもまた人間達の「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」という想いを基に生み出された存在である以上、とても「人間臭い(元)神様」だったので。
「貴方が私の存在を信じてくれるなら、
私はいつでも貴方の傍に居る。
だから私を信じて、私を見て・・・!」
人間達に愛して欲しい、忘れないで欲しい・・・何よりも、自分を求めて欲しい。
人間達と繋がっていたい・・・彼らがそう願う事は、ごく自然な事だった。
なので、嘗ての様な人間達と「神様」が共存していた世界を夢見て、彼らは「炎神(イフリート)」の側に付いた。
彼らが「炎神(イフリート)」が何の為に戦う事を選んだのか・・・それを知っていたかのかというと、それはもう分からない。
でも、彼らにとっては大事だったのは「彼が目指した世界への回帰」だったので。
「炎神が自分達が望む世界への回帰を目指すと言うのなら。
我らも、炎神の手助けをしよう!」
そんな想いから、他の「六神」相手に一人で戦う「炎神(イフリート)」を助ける為に、各々彼らは「炎神(イフリート)」の力になろうとした。
のだけど・・・その「二十四使」達の「炎神(イフリート)」への期待・想いが、事態を想定外の方向に運んでしまった。
どう言う事かと言うと、各々彼らは「炎神(イフリート)」の力になろうとした・・・つまり、彼らは「炎神(イフリート)」の意思とは関係無く動いていて。
そんな彼らの動きを「炎神(イフリート)」自身が、統率・制御する事も出来なかったので。
「自分達が望む世界への回帰を目指す、炎神の手助けをしよう!」
炎神を助けたい・・・良かれと思っての想い故に、戦いの規模が大きくなってしまった。
仲の良い兄弟姉妹神での兄弟喧嘩なら「どこで折り合いをつけるか?」「自分達にとっても、人間達にとっても、越えてはならないライン」というのが分かっていたので・・・人間世界への被害を最小限に抑える事が出来た筈だった。
巻き添えで一国が滅んでしまうような・・・そんな大きな被害を出すつもり「炎神(イフリート)」には毛頭無かったのに。
結果。人間世界は、もう一度「神様」という希望を必要とする程に疲弊し。
「きっと人間が神様を蔑ろにしたから、お怒りになったに違いない。」
「神を排斥しようなどと言う傲慢さが、神の逆鱗に触れたのだ。」
人間達を滅ぼそうとした悪=「炎神(イフリート)」と、彼に組した「二十四使」。
人間達を守ろうとした善=他の「六神」達・・・という構図を、勝手に作り上げた。
つまり「炎神(イフリート)」は、自分が助力を求めた訳でも何でもないんだけど。
各々の想いから味方をしてくれた「二十四使」達の、罪・責任まで負わされてしまう事となり。
彼らが求めた、人間と「神様」が共存していた世界・・・もう一度「神様」という希望を必要とする世界を取り戻したにも係わらず。
人間達の勝手な解釈により「炎神(イフリート)」は「六神」という「神様」の位を剥奪され、絵画や経典からも抹消されてしまった。
これが「壮大な兄弟喧嘩」が、「魔大戦」と呼ばれる程の「人間世界と、他の神々を巻き込む大きな戦」となった理由で。
殊更「炎神(イフリート)」だけが「裏切者」「悪い神様」として矢面に立たされ、全部を背負わされ、闇に葬り去られてしまった理由。
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【「氷神(シヴァ)」の苦悩と決断】
話は前後して・・・「炎神(イフリート)」の対とされる「氷神(シヴァ)」が、この「壮大な兄弟喧嘩」をどう見ていたかと言うと。
この二神は「対でありながらも仲の良い双子神」とされていたように、とても仲の良い・・・それこそ「六神=兄弟姉妹神」という関係が失われた後の世界では、人間達に「恋人同士」と勘違いされる程に仲が良かった二神なので。
本当は「炎神(イフリート)」の、味方になってあげたかった。
彼女自身「剣神(バハムート)」の事も気の毒だと思っていたし、出来る事なら助けてあげたいと思っていたので。
自分にとっても、守ってあげたい可愛い弟。
彼を助けようと孤軍奮戦する、大好きな兄。
気持ちとしては、どちらも失いたくなかった・・・自分も二人を助けてあげたかった。
でも、気持ちとしては「炎神(イフリート)」達に付きたくても。
神様の分身「幻獣」として、それは叶わない事だとも理解していた。
「それが世界の理なのだから、仕方がない。」
これは上の三神が言う様に、「幻獣」が守らなければならない世界の理だったから。
神様が、自分の分身を「人間がイメージする自分」と望まれるのであれば。
人間がそういう「神様」である事を望んでいるのなら、「幻獣」がその姿形となるのは当然の事で。
神様より生み出された「幻獣」が、神様の意に背いて「人間がイメージする神様像」を拒む事は出来ない・・・それは絶対だった。
だから「炎神(イフリート)」と、上の三神とが争いになった当初、彼女はどちら側にも付けずにいた。そんな彼女のどっち付かずな態度を、他の兄姉が責める事は無かったけど。
互いが互いを・・・兄弟を想う故の、兄弟だからこそ避けられなかった衝突。
それを、どちらにも付く事も出来ず・・・見守る事しか出来ない、決断する事が出来ない。
そんな自分自身を責めていたのは、他ならぬ彼女自身で。
そうこうしている間に・・・兄弟喧嘩に「二十四使」が加わった事で、事態は収拾がつかない状況になってしまい。
今までどちら陣営にも就かずに静観していた様に見えた「氷神(シヴァ)」も、遂に事態を収拾する為に「六神」側に付いた。
「炎神(イフリート)」を押さえる事が出来るのは、対である「氷神(シヴァ)」しかいない。
人間達がそう想うのなら・・・彼女は、そうするしかなかったから。
それに「氷神(シヴァ)」自身、被害が人間世界にまで及び、収拾がつかなくなっている状況には危機感を覚えていたので。
きっとこうする事が、兄にとっても皆にとっても最善に違いない・・・。
彼女は「炎神(イフリート)」を、彼を唯一封じる事が出来る自身の吐息で眠りに就かせる事を選んだ。
絶対に「幻獣」が抗えない、世界の理・・・その本当の理由。
それは「幻獣」が、人間達の「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」という想いを基に生み出される存在・・・という事は。
「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」
そう想ってくれる人間が全て居なくなってしまっては・・・「幻獣」全て存在する事が出来なくなる、という事。
だから「幻獣」は、絶対に人間を守らなくてはならなかった。
確かに長い年月では、人間達の自分勝手により、姿形・神性を変質させられてしまう事もある。
嘗ての「水神(リヴァイアサン)」や「巨神(タイタン)」、そして今の「剣神(バハムート)」のように、全く違う「神様」に変えられてしまう事もある。
そうであっても人間達が存在し、神様を信じてくれている間は、「神様」として存在する事が出来る。
でも人間が絶滅してしまったら、人間の想いから生まれ生かされている「幻獣」は、存在する事が出来なくなってしまうし。
そもそも人間が居なくなってしまった世界には、神様の分身の「幻獣」なんて必要なくなってしまう。
それは「幻獣」にとって、絶対に避けなければならない事だったから。
例え、可愛い弟が「戦を統べる血に塗れた鬼神」となってしまっても。
愛する兄が「人間を滅ぼそうとした神様」となってしまっても。
また変われるかもしれない、嘗ての弟と兄に戻れるかもしれない。
人間が存在する限りは、希望を持ち続ける事は出来るのだから・・・そう自身に言い聞かせて。
人間達が、全て滅んでしまう。
その結果「幻獣」も全て滅んでしまう・・・そんな終焉の未来を回避する為に。
彼女は「魔大戦」と言われる程の規模になってしまった「壮大な兄弟喧嘩」を終結させる為。
人間達が想う「氷神(シヴァ)」として、「炎神(イフリート)」を封じる役割を果たす事を選んだ。
きっとそれは自分にしか出来ない・・・それこそが最愛の兄にしてやれる、精一杯の愛だと信じて。
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【「剣神(バハムート)」の苦悩と決断】
一方、兄姉神を傷付けまいと、自身の社に籠ってしまった「剣神(バハムート)」はと言うと。
神々の戦いに巻き込まれた人間達は、初めの頃こそ「神が人間に仇成すというのなら・・・」と、自慢の剣を手に「神様」達と戦おうと試みた。
でも当然の事ながら、人間達にはどうする事も出来なかったので(そもそも人間達は巻き添え=人間達を相手にしている訳では無いので、戦いにならない)。
「神様」の力を目の当たりにした人間達は、「最早、神など必要ない」という驕り高ぶった自分達の行いを悔い改め。
「神様」の前での自分達の無力さを痛感した人間達は、「神様どうか、我々を御救い下さい」と「神様」に救いを求めた。
そんな人間達の「神様」への心変わりに呼応するように、原初の神性を取り戻しつつあった「剣神(バハムート)」だったけれど。
人間達が「剣神(バハムート)」の神性を、
「勝利を齎す戦の神だったが、力に任せた己の行いを悔い改め。
人間達の為に、神と人間とを仲介する聖なる神となった。」
と、自分勝手に改編してしまったせいで、元通りに戻る事は出来なかった・・・特に見た目などは青年のままで、嘗てのような幼い子供の姿に戻る事は無かったけれど。
人間達が戦う為の剣を捨て、再び剣に神への祈りを捧げるようになった事で。
恐ろしい「戦を統べる血に塗れた鬼神」から、原初に近い「神と人間とを仲介する聖なる神」へ。
「剣神(バハムート)」は、血の衝動から解放され、嘗ての様な落ち着きを取り戻しつつあった。
でもそのせいで、彼は閉じ籠った社から出る事が出来ずにいた。
たくさんの「幻獣」を巻き込む事となった、神々の戦。
その原因は自分で・・・今尚、兄は自分の為に、他の兄姉と戦っている。
もう大丈夫だからと、伝えに行かなきゃならない。
もう戦わなくてイイんだと、止めに行かなきゃならない。
だって兄は、自分の為に戦っているんだから。
早く行かなきゃならない・・・これ以上、兄が「悪い神様」にされてしまう前に。
でも外の世界の戦いは、「二十四使」が加わった事で収拾が付かなくなっていて。
止めに行かなきゃならない・・・その想いは紛れも無い本心なんだけど。
既に「剣神(バハムート)」は、すっかり「戦う力を失った、争いとは無縁な神様」になってしまっていたので。
兄の元に、赴く事が出来なかった。
社の中から、神様に祈る事しか出来なかった。
「どうか、兄上・・・ご無事で・・・・・・。」
安全な所に籠って祈るだけ・・・なんて、臆病で卑怯だと思われるかもしれない。
でもそれが「神と人間とを仲介する聖なる神」となった「剣神(バハムート)」に出来る、精一杯だった。
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【失われた、それぞれの精一杯の愛の物語】
「魔大戦」の首謀者とされた「炎神(イフリート)」は、対である「氷神(シヴァ)」によって封じられ。
「炎神(イフリート)」という旗頭を失った事で、志を同じくしていた「二十四使」達は、散りじりとなり。
この戦いで力を使い果たした「六神」達は失った力を取り戻す為、それぞれ相応しい場所で眠りに就く事を選び。
こうして人間世界と多くの「幻獣」を巻き込んだ「魔大戦」は終結・・・となった。
という様に・・・人間達に言わせれば「炎神(イフリート)」と「二十四使」側が敗北し、「六神」側が勝利した、という結末だったのだけど。
嘗て「六神」の中でも主神として崇められていていた「炎神(イフリート)」に、「二十四使」達が加勢した事もあって。
勝利したとはいえ、実際の所「水神(リヴァイアサン)」「巨神(タイタン)」「雷神(ラムウ)」の三神も、大きく力と自身を構成する幻光虫を削がれてしまい。
彼らは、それぞれ相応しい場所で眠りに就く事を余儀なくされた。
そしてそれは、敗者とされた「炎神(イフリート)」も同様で。
「氷神(シヴァ)」のダイアモンドダストによって封じられた「炎神(イフリート)」は、その姿形・神性を取り戻すその時まで、彼に相応しい場所に安置される事となった。
仲違いした訳でも、憎んでいた訳でもない。
この様な事になってしまったけど、今でも大事な兄弟だったから。
兄弟姉妹達は、ちゃんと彼を眠らせてあげた。
残念な事に「人間を滅ぼそうとした神様」とされ、人間達の記憶から抹消されてしまった「炎神(イフリート)」は、恐らくこのままでは姿形・神性を維持できない・・・いずれ霧散してしまう。
何故かと言うと、彼らは「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」という想いを基に生み出された存在であったように、「人間達の記憶・想い出=設計図」とし「幻光虫=素材」で構成されている存在。
なので「人間達の記憶・想い出」という設計図を失ってしまうと、それに従って自身を構成していた「幻光虫」は、その姿形を維持出来なくなってしまうし。
勿論「人間達の記憶・想い出」が無くなってしまえば「〇〇って神様は、きっとこんな神様に違いない」どころの話では無く、当然その神性は失われてしまう・・・どんな「神様」だったかなんて、そもそも「炎神(イフリート)」という「神様」が存在した事すら忘れられてしまう。
それが分かっていたからこそ「氷神(シヴァ)」は、自身の永遠に溶ける事の無いダイアモンドダストによって、「炎神(イフリート)」という存在全部を封じ込めた。
つまり彼女が自身で「炎神(イフリート)」を封じる事を選んだのは。
彼を倒す・・・無に還す為では無く、寧ろ逆で。
彼という存在を守る・・・この世界に留める為。
永遠に溶ける事が無いダイアモンドダストなら、例え「炎神(イフリート)」が「人間達の記憶・想い出」という設計図を失ったとしても。
彼を構成する幻光虫をそのままの状態で留め、閉じ込めておく事が出来る筈。
だから彼女は最愛の兄を、自らの吐息で氷漬けにした。
それは兄との永い別れとなるので、勿論とても悲しく辛い事だったけど。
これは自分にしか出来ない事なのだと・・・最愛の兄にしてやれる、彼女の精一杯の愛だった。
そして他の「六神」達も、いつか「炎神(イフリート)」が嘗ての「炎神(イフリート)」として目覚める事を願い。
目覚めた彼にとって心地良い場所、心と体を休ませるに相応しい場所は何処かと考えた結果。
彼らは「氷神(シヴァ)」のダイアモンドダストに守られた「炎神(イフリート)」を、ラバティオ火山に運び眠らせてやった。
永い眠りから目覚めた弟が、少しでも心穏やかで居られるように、少しでも早く本来の自分を取り戻せるように。
そして、少しでも「炎神(イフリート)」らしく有る様に。
彼らは人間にとっての「神様」であって神様ではないので、こんな事しかしてやれなかったけど・・・兄弟姉妹として愛しい兄弟にしてやれる、彼らの精一杯の愛だった。
また何時か何処かの世界では、
嘗てのような「仲の良い兄弟姉妹神」である事を願って。
遠い昔に失われた「六神」の物語。
それは兄弟姉妹が兄弟を想う・・・それぞれの精一杯の愛の物語だった。
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と・・・ここまでが、遠い昔に失われた「六神」の物語。
イメージとしては「六神神話 (高天原編)」って感じです・・・高天原=天上に存在する「神様」の国、みたいな。
勿論これは「剣神バハムートが、嘗ての世界を恋しがっている」って設定に説得力を持たせる為、七瀬が考えたクチダケの出任せなんですけど。
もしも本当に、こういう過去の出来事があったのなら。
改編・改竄された記憶から生まれた、今のイオスの世界を認めたくない。
歪んでしまう前の・・・原初のイオスの世界を思い出して欲しい、知って欲しい。
そしてその記憶から、嘗てのようなイオスの世界が生まれて欲しい。
兄上大好き「剣神バハムート」なら、そう望んでしまっても仕方がないんじゃないかなって。
だってこんな、滅茶無茶に伝わってしまった結果のイオスの世界。
自分の為に頑張ってくれた兄上が、あまりにも可哀想だもん。
他の「六神」だって、何かもう滅茶苦茶だし。
・・・とは言っても、現状「だとしても、何でルシス王国が巻き込まれなきゃならないんだ?」って感じだと思いますので。
次回「六神神話 (葦原中国編)」・・・つまり「地上(人間世界)編」を書いて。
そこまで書いてから、全部まとめて補足します。でないと今の時点で補足を書いても、結局「パーツが出揃ってなくて中途半端⇒後からダブって補足」になってしまうので。
七瀬が思う「神様」の物語は、一先ず以上で終わりですが。
神様の物語は、まだ続くという事で・・・長くなりますがお付き合い頂ければと思います。
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